第3章 アップグレードの準備
アップグレード後に問題を回避し、システムを RHEL の次のメジャーバージョンにアップグレードできることを確認するには、アップグレード前に必要なすべての準備手順を完了してください。
すべてのシステムで、アップグレードに向けた RHEL 9 システムの準備 で説明されている準備手順を実行する必要があります。さらに、Satellite Server に登録されているシステムでは、アップグレードのための Satellite 登録システムの準備 で説明されている準備手順も実行する必要があります。
3.1. アップグレードに向けた RHEL 9 システムの準備
この手順では、Leapp
ユーティリティーを使用して RHEL 10 へのインプレースアップグレードを実行する前に必要な手順を説明します。
アップグレードプロセス中に Red Hat Subscription Manager (RHSM) を使用しない場合は、Performing an in-place upgrade without Red Hat Subscription Manager の手順に従ってください。
前提条件
- システムが、アップグレードの計画 に記載されている条件を満たしている。
- システムを以前 RHEL 8 から RHEL 9 にアップグレードした場合は、アップグレード後に必要な手順をすべて完了した。詳細は、「RHEL 8 から RHEL 9 へのアップグレード」ガイドの アップグレード後のタスクの実行 を参照してください。
- オプション: ナレッジベース記事 The best practices and recommendations for performing RHEL Upgrade using Leapp のベストプラクティスを確認した。
- RHSM を使用して、システムが Red Hat コンテンツ配信ネットワーク (CDN) または Red Hat Satellite に正常に登録されている。
- Satellite に登録済みのシステムのみ: アップグレードに向けた Satellite システムの準備 の手順を完了して、システムがアップグレードの要件を満たしていることを確認した。
手順
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オプション: アップグレードに必要のないシステム以外の OS ファイルシステムをアンマウントし、
/etc/fstab
ファイルからコメントアウトします。たとえば、システム自体とは関係のないデータファイルのみを含むファイルシステムは、アップグレードに不要です。これにより、アップグレードプロセスに必要な時間が短縮されます。また、アップグレード時にカスタムまたはサードパーティーのアクターによって適切に移行されないサードパーティーアプリケーションに関連する、潜在的な問題を防ぐことができます。 RHSM を使用してアップグレードする場合は、Simple Content Access (SCA) が有効なアカウントにシステムが登録されていることを確認します。
subscription-manager status
# subscription-manager status +-------------------------------------------+ System Status Details +-------------------------------------------+ Overall Status: Disabled Content Access Mode is set to Simple Content Access. This host has access to content, regardless of subscription status. System Purpose Status: Disabled
Copy to Clipboard Copied! 適切なリポジトリーが有効になっていることを確認します。次のコマンドは、64 ビット Intel アーキテクチャーの Base リポジトリーと AppStream リポジトリーを有効にします。他のアーキテクチャーについては、RHEL 9 リポジトリー を参照してください。
subscription-manager repos --enable rhel-9-for-x86_64-baseos-rpms --enable rhel-9-for-x86_64-appstream-rpms
# subscription-manager repos --enable rhel-9-for-x86_64-baseos-rpms --enable rhel-9-for-x86_64-appstream-rpms
Copy to Clipboard Copied! 注記オプション: CodeReady Linux Builder (Optional とも呼ばれます) リポジトリーまたは Supplementary リポジトリーを有効にします。これらのリポジトリーの内容に関する詳細は、パッケージマニフェスト を参照してください。
システムのリリースバージョンを設定します。
subscription-manager release --set 9.6
# subscription-manager release --set 9.6
Copy to Clipboard Copied! 指定したバージョンにパッケージをロックするために
dnf versionlock
プラグインを使用している場合は、次のコマンドを実行してロックを解除します。dnf versionlock clear
# dnf versionlock clear
Copy to Clipboard Copied! leapp
およびleapp-repository
パッケージが最新であることを確認します。RHEL 9.6: バージョン
0.19.0
のleapp
パッケージとバージョン0.22.0
のleapp-repository
パッケージ。leapp-repository
パッケージには、leapp-upgrade-el9toel10
RPM パッケージが含まれています。注記インターネット非接続のシステムのみ: Red Hat カスタマーポータル から次のパッケージをダウンロードします。
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leapp
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leapp-deps
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python3-leapp
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leapp-upgrade-el9toel10
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leapp-upgrade-el9toel10-deps
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Leapp
ユーティリティーをインストールします。dnf install leapp-upgrade
# dnf install leapp-upgrade
Copy to Clipboard Copied! すべてのパッケージを最新の RHEL 9 バージョンに更新して再起動します。
dnf update reboot
# dnf update # reboot
Copy to Clipboard Copied! -
オプション:
rpmnew
ファイルとrpmsave
ファイルを確認し、修正してから削除します。 設定管理システムを使用する場合は、そのシステムがインプレースアップグレードプロセスに干渉しないことを確認します。
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設定管理システムに Puppet、Salt、Chef などのクライアント/サーバーアーキテクチャーがある場合は、
leapp preupgrade
コマンドを実行する前にシステムを無効にしてください。アップグレード時に問題が発生するのを防ぐために、アップグレードが完了するまで設定管理システムを有効にしないでください。 設定管理システムにエージェントレスアーキテクチャーがある場合は、設定およびデプロイメントファイルを実行しないでください。たとえば、システムに Ansible がある場合は、アップグレード中に Ansible Playbook を実行しないでください。
警告設定管理システムを使用したアップグレード前およびアップグレードプロセスの自動化は、Red Hat ではサポートされていません。詳細は、Using configuration management systems to automate parts of the Leapp pre-upgrade and upgrade process on Red Hat Enterprise Linux を参照してください。
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設定管理システムに Puppet、Salt、Chef などのクライアント/サーバーアーキテクチャーがある場合は、
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ISO イメージを使用してアップグレードする場合は、ISO イメージにアップグレード先の OS バージョン (RHEL 10.0 など) が含まれていることを確認します。また、アップグレードプロセス全体を通じて
Leapp
ユーティリティーがイメージにアクセスできるように、イメージが永続的なローカルマウントポイントに保存されていることを確認します。