3.8. フェイルオーバードメインの設定


フェイルオーバードメインは、ノード障害時にクラスターサービスを実行するのに有効なクラスターノードの名前付きサブセットです。フェイルオーバードメインは以下の特性を持つことができます:
  • Unrestricted(制限なし) — 優先するメンバーのサブセットを指定できるようにしますが、このドメインに割り当てられたクラスターサービスはいずれの利用可能なメンバーでも実行できます。
  • Restricted(制限あり) — 特定のクラスターサービスを実行できるメンバーを制限できるようにします。制限されたフェイルオーバードメインのメンバーがどれも使用できない場合は、クラスターサービスを (手動あるいはクラスターソフトウェアによっても) 開始できません。
  • Unordered(優先順なし) — クラスターサービスが優先順なしのフェイルオーバードメインへ割り当てられる場合、クラスターサービスを実行するメンバーは、優先順なしの利用可能なフェイルオーバードメインメンバーから選択されます。
  • Ordered(優先順あり) — フェイルオーバードメインのメンバー間で優先順を指定できるようにします。一覧のトップにあるメンバーが最優先となり、次に一覧の 2 番目のメンバー、その後も順に続きます。
  • Failback(フェイルバック) — フェイルオーバードメイン内のサービスが、ノード障害の前に元々実行していたノードへフェイルバックするかどうかを指定できるようにします。この特性の設定が役立つのは、ノードが繰り返し失敗し、それが優先順ありのフェイルオーバードメインの一部であるような状況です。この状況では、ノードがフェイルオーバードメイン内の優先ノードである場合には、優先ノードと別のノード間でサービスがフェイルオーバーとフェイルバックを繰り返す可能性があるため、パフォーマンスに重大な影響を与えることになります。

    注記

    優先順のあるフェイルオーバーが設定されている場合にのみ、フェイルバックの特性が利用できます。

注記

フェイルオーバードメイン設定を変更しても、現在実行中のサービスには影響しません。

注記

フェイルオーバードメインは、運用には必須 ではありません。
デフォルトでは、フェイルオーバードメインは制限なしで優先順がありません。
複数のメンバーを持つクラスター内では、制限ありのフェイルオーバードメインを使用することで、クラスターサービス (httpd など) を実行するためのクラスターを設定する作業を最小限にできます。このためには、クラスターサービスを実行する全てのメンバー上で、設定を同一にする必要があります。クラスターサービスを実行するようクラスター全体を設定する代わりに、クラスターサービスに関連付ける制限ありのフェイルオーバードメイン内のメンバーのみを設定するだけで済みます。

注記

優先するメンバーを設定するには、1 つだけのクラスターメンバーから成る制限なしのフェイルオーバードメインを作成します。そうすることで、クラスターサービスが主にそのクラスターメンバー (優先メンバー) 上で実行することになりますが、クラスターサービスは他のどのメンバーにでもフェイルオーバーできるようになります。
以下のセクションでは、フェイルオーバードメインの追加、修正、及び削除について説明しています:

3.8.1. フェイルオーバードメインの追加

フェイルオーバードメインを追加するには、このセクションの以下のステップに従ってください。
  1. クラスター固有のページから、クラスターディスプレイの上部にある Failover Domains(フェイルオーバードメイン) をクリックすることで、クラスター用のフェイルオーバードメインを設定できます。これにより、このクラスター用に設定したフェイルオーバードメインが表示されます。
  2. Add(追加) をクリックします。Add をクリックすると 図3.7「luci フェイルオーバードメイン設定のダイアログボックス」 で示してあるように、Add Failover Domain to Cluster(フェイルオーバードメインをクラスターに追加)ダイアログボックスが表示されます。
    luci フェイルオーバードメイン設定のダイアログボックス

    図3.7 luci フェイルオーバードメイン設定のダイアログボックス

  3. Add Failover Domain to Cluster ダイアログボックスで、Name(名前) テキストボックスでフェイルオーバードメイン名を指定します。

    注記

    名前は、クラスター内で使用されている他の名前に対して、その目的を区別できるような説明的な名前にすることをお勧めします。
  4. フェイルオーバードメイン内のメンバーのフェイルオーバー優先度のセッティングを有効にするには、Prioritized(優先度設定) チェックボックスをクリックします。Prioritized にチェックマークを入れると、その優先度の値 Priority(優先度) をフェイルオーバードメインのメンバーとして選択した各ノードに設定できます。
  5. このフェイルオーバードメイン内のメンバーにフェイルオーバーを限定するには、Restricted(制限あり) チェックボックスをクリックします。Restricted にチェックマークを入れると、このフェイルオーバードメインに割り当てられたサービスはこのフェイルオーバードメイン内のノードのみにフェイルオーバーします。
  6. ノードがこのフェイルオーバードメイン内にフェイルバックしないように指定するには、No Failback(フェイルバックなし) チェックボックスをクリックします。No Failback にチェックマークを入れた場合に、サービスが優先ノードからフェイルオーバーすると、サービスは回復後にそのオリジナルノードにフェイルバックしません。
  7. このフェイルオーバードメインのメンバーを設定します。フェイルオーバードメインのメンバーになる予定の各ノードの Member(メンバー) チェックボックスをクリックします。Prioritized にチェックマークが入っている場合は、フェイルオーバードメインの各メンバー用の Priority テキストボックス内で優先度を設定します。
  8. Create(作成) をクリックします。これにより、新規に作成したフェイルオーバードメインを表示する Failover Domains ページが表示されます。新規のドメインが作成されたことを示すメッセージが表示されます。ページをリフレッシュしてステータスを更新してください。
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