10.3. IBM Power System L サーバーへの RHEL インストールの準備
このセクションは、IBM L サーバーに Red Hat Enterprise Linux をインストールする方法を説明します。
10.3.1. サポート対象の IBM Power System L サーバー
RHEL は、以下の IBM Power System L サーバーにインストールできます。
- 8247-22L (IBM Power System S822L)
- 8247-21L (IBM Power System S812L)
- 8247-42L (IBM Power System S824L)
サポートされるすべてのディストリビューションは Supported Linux distributions for POWER8 and POWER9 Linux on Power systems を参照してください。
10.3.2. IBM Power System L サーバーへのインストールプロセスの概要
この情報を使用して、非仮想化システムまたはベアメタル IBM Power System L サーバーに RHEL をインストールします。
インストールワークフローには、以下の一般的な手順が含まれます。
- 前提条件を完了する
ASMI に接続する
- DHCP を使用した接続
- 静的 IP を使用した接続
- IPMI を有効にする
IPMI を使用してサーバーの電源を入れる
- Linux ノートブックからの接続
- Windows ノートブックからの接続
- Petitboot を設定して Red Hat Enterprise Linux をインストールする
10.3.3. L サーバーで前提条件を完了し、ファームウェアを起動
Red Hat Enterprise Linux をインストールする前に、以下の項目を決める必要があります。
- イーサネットケーブル
- VGA モニター。VGA の解像度は 1024x768-60Hz に設定する必要があります。
- USB キーボード
- システムの電源コードおよびコンセント
システムの電源を入れる前に、次の手順を行います。
- システムがラックにある場合は、システムをそのラックにインストールします。詳細は IBM Power Systems の情報 (https://www.ibm.com/support/knowledgecenter/) を参照してください。
- 電源からの出荷用ブラケットを取り外します。電源がシステムに完全に固定されていることを確認します。
- サーバーのコントロールパネルにアクセスします。
- システムに電源コードを接続し、コンセントに差し込みます。
この時点で、ファームウェアが起動しています。コントロールパネルの電源の緑色の LED が点滅 (使用する準備ができていることを示す) し、ディスプレイにプロンプト 01 N OPAL T が表示されるのを待ちます。
10.3.4. 高度なシステム管理インターフェイスへの接続
DHCP または静的 IP アドレスを使用して、Advanced System Management Interface (ASMI) に接続できます。
10.3.4.1. DHCP を使用した ASMI への接続
ASMI (Advanced System Management Interface) に接続するには、ネットワーク接続を設定する必要があります。DHCP または静的 IP を設定できます。
DHCP を使用している場合は、このタイプの接続を使用します。この手順に従って、サービスプロセッサーの IP アドレスを見つけ、ASMI Web インターフェイスに接続します。サーバーが使用している IP アドレスが分かっている場合は、手順 1 を完了してから、手順 5 の有効化に進みます。
- Power システムの背面にある HMC1 ポートまたは HMC2 ポートにつないたイーサネットケーブルを、DHCP ネットワークに接続します。
- サーバーのコントロールパネルにアクセスします。
-
上矢印
(↑)
または下矢印(↓)
ボタンを使用して function 02 にし、Enter を押します。 -
Enter を押して、カーソルを N に移動します。
02 A N< T
のように表示されます。 -
上矢印
(↑)
ボタンまたは下矢印(↓)
ボタンを使用して N を M に変更し、手動モードを開始します。02 A M< T
のように表示されます。 - Enter を 2 回押して、モードメニューを終了します。
- 増減ボタンを使用して、30 にします。
-
Enter を押して、サブ機能に入ります。
30**
のように表示されます。 -
上矢印
(↑)
ボタンまたは下矢印(↓)
ボタンを使用して、ネットワークデバイスを選択します。3000 の場合は、ETH0 (HMC1) に割り当てられている IP アドレスを表示します。3001 の場合は、ETH1 (HMC2) に割り当てられている IP アドレスを表示します。 - Enter を押して、選択した IP アドレスを表示します。この IP アドレスを書き留めておいてください。
-
上矢印
(↑)
または下矢印(↓)
ボタンを使用して、サブ機能の終了を選択します (30**)。 - Enter を押してサブ機能モードを終了します。
-
上矢印
(↑)
または下矢印(↓)
ボタンを使用して 02 にし、Enter を押します。 -
モードを N に変更します。
02 A N< T
のように表示されます。
10.3.4.2. 静的 IP アドレスで ASMI への接続
静的 IP アドレスを使用している場合は、このタイプの接続を使用してください。この接続は、ASMI へのコンソールインターフェイスを設定します。
- PC やノートブックから、マネージドシステムの背面に HMC1 というラベルが付いたイーサネットポートに、イーサネットケーブルを接続します。
- 使用している電源システムのデフォルト値に一致するように、PC またはノートブックに IP アドレスを設定します。PC またはノートブックの IP アドレスは以下のようになります。
169.254.2.140 Subnet mask: 255.255.255.0 The default IP address of HMC1: 169.254.2.147
169.254.2.140 Subnet mask: 255.255.255.0
The default IP address of HMC1: 169.254.2.147
HMC1 のデフォルト値はすでに設定されており、変更する必要はありません。IP アドレスを確認する場合は、DHCP を使用した ASMI への接続の手順に従って、コントロールパネルで IP アドレスを確認します。
PC またはノートブックで Linux を実行している場合は、次の手順を実行して IP アドレスを設定します。
- root でログインします。
- 端末セッションを開始します。
- ifconfig -a コマンドを実行します。あとでネットワーク接続をリセットできるように、この値を記録しておきます。
-
ifconfig ethx 169.254.2.140 netmask 255.255.255.0
と入力します。ethx を、eth0 または eth1 に置き換えます (使用している PC またはノートブックにより異なります)。
PC またはノートブックで Windows 7 を実行している場合は、次の手順を実行して IP アドレスを設定します。
- Start > Control Panel を クリック します。
- Network and Sharing Center を 選択 します。
- 接続に表示するネットワークを クリック します。
- プロパティーを クリック します。
- セキュリティーダイアログボックスが表示されたら、続行を クリック します。
- Internet Protocol Version 4 を 選択 します。
- プロパティーを クリック します。
- Use the following IP address を 選択 します。
-
IP アドレスに
169.254.2.140
を、そしてサブネットマスクに255.255.255.0
を 使用 します。 - OK > Close > Close を クリック します。
HMC1 が占有されている場合は、HMC2 を使用します。PC またはノートブックで、IP アドレス 169.254.3.140 とサブネットマスク 255.255.255.0 を使用します。HMC2 のデフォルトの IP アドレスは 169.254.3.147 です。
10.3.5. IPMI を有効にする
本項では、IPMI の有効化について説明します。
手順
- ファームウェアに最初に接続するときに、管理者 ID admin と、パスワード admin を入力します。ログインすると、パスワードの変更が求められます。このパスワードを記録しておいてください。
-
メインメニューから、System Configuration
Firmware Configuration を選択します。OPAL が、Hypervisor Mode として選択されています。 以下の手順に従って、IPMI セッションにパスワードを設定します。
-
メインメニューで、Login Profile
Change Passwords の順に選択します。 - ユーザー ID のリストから IPMI を選択します。
- (手順 2 で指定した) 管理者の現在のパスワードを入力し、IPMI のパスワードを入力して確認します。
- 続行をクリックします。
-
メインメニューで、Login Profile
電源システムが DHCP を使用していない場合は、ネットワークアクセスを設定する必要があります。メインメニューから、Network Services > Network Configuration を選択します。ネットワークアクセスを設定するには、以下の手順を行います。
- ネットワーク設定画面で、IPv4 を選択して続行します。
- このインターフェイスを設定しますか ? を選択します。
- IPv4 が有効になっていることを確認します。
- IP アドレスの種類で、静的を選択します。
- ホストシステムの名前を入力します。
- システムの IP アドレスを入力します。
- サブネットマスクを入力します。
- ページ下部で、DNS サーバーのデフォルトゲートウェイ、ドメイン名、および IP アドレスを入力します。
- ネットワーク設定に値を設定したら、続行をクリックします。
- 設定の保存をクリックします。
- PC やノートブックに接続している場合は、PC またはノートブックからイーサネットケーブルを削除して、ネットワークスイッチに接続できます。コンソール接続を続行するには、デフォルトの IP アドレスを、サービスプロセッサーに割り当てた IP アドレスに変更します。
10.3.6. IPMI を使用して、L サーバーの電源をオン
IPMI (Intelligent Platform Management Interface) は、電源システムを設定する際に使用するデフォルトコンソールです。Linux ノートブックまたは PC を使用している場合は、ipmitool
ユーティリティーを使用します。Windows ノートブックまたは PC を使用している場合は、ipmiutil
ユーティリティーを使用します。
システムの電源を入れると、次の操作が確認できます。
- システムが起動している間、コントロールパネルのディスプレイにシステムの参照コードが表示されます。
- システム冷却ファンが約 30 秒後に起動し、動作速度まで加速します。
- コントロールパネルの電源 LED が点滅を停止し、オンのままになります。これは、システムの電源がオンであることを示しています。
システムの電源を入れると、Petitboot インターフェイスが読み込まれます。10 秒以内にキーを押して起動プロセスを中断しないと、Petitboot が最初のオプションを自動的に起動します。
10.3.6.1. Linux を実行しているノートブックまたは PC からシステムの電源を入れる
Linux を実行しているノートブックまたは PC からサーバーの電源を入れる場合は、次の手順を行います。
- 端末プログラムを開きます。
サーバーの電源を入れるには、次のコマンドを実行します。
ipmitool -I lanplus -H fsp_ip_address -P _ipmi_password_ power on
ipmitool -I lanplus -H fsp_ip_address -P _ipmi_password_ power on
Copy to Clipboard Copied! ipaddress は、Power システムの IP アドレスで、ipmi_password は、IPMI に設定しているパスワードです。
このコマンドを実行して IPMI コンソールをすぐにアクティベートします。
ipmitool -I lanplus -H fsp_ip_address -P ipmi_password sol activate
ipmitool -I lanplus -H fsp_ip_address -P ipmi_password sol activate
Copy to Clipboard Copied! ヒントキーボードの上矢印を使用して、前に実行した
ipmitool
コマンドを表示します。前に実行したコマンドを編集すれば、コマンド全体を再入力しなくてすみます。
システムを再起動する必要がある場合は、次の手順を行います。
このコマンドを実行して、コンソールを非アクティブにします。
ipmitool -I lanplus -H fsp_ip_address -P ipmi_password sol deactivate
ipmitool -I lanplus -H fsp_ip_address -P ipmi_password sol deactivate
Copy to Clipboard Copied! このコマンドを実行して、システムの電源を切ります。
ipmitool -I lanplus -H fsp_ip_address -P ipmi_password power off
ipmitool -I lanplus -H fsp_ip_address -P ipmi_password power off
Copy to Clipboard Copied! このコマンドを実行して、システムの電源を入れます。
ipmitool -I lanplus -H fsp_ip_address -P ipmi_password power on
ipmitool -I lanplus -H fsp_ip_address -P ipmi_password power on
Copy to Clipboard Copied!
DVD ドライブに DVD を挿入したり、ネットワーク内のインストーラーイメージを確認していない場合は、ここで行います。
10.3.6.2. Windows を実行しているノートブックまたは PC からシステムの電源を入れる
Windows を実行しているノートブックまたは PC からサーバーの電源を入れる場合は、次の手順を行います。
-
コマンドプロンプトを開き、ディレクトリーを
C:\Program Files\sourceforge\ipmiutil
に変更します。 サーバーの電源を入れるには、次のコマンドを実行します。
ipmiutil power -u -N ipaddress -P ipmi_password
ipmiutil power -u -N ipaddress -P ipmi_password
Copy to Clipboard Copied! ipaddress は、Power システムの IP アドレスで、ipmi_password は、IPMI に設定しているパスワードです。
このコマンドを実行して IPMI コンソールをすぐにアクティベートします。
ipmiutil sol -a -r -N ipaddress -P ipmi_password
ipmiutil sol -a -r -N ipaddress -P ipmi_password
Copy to Clipboard Copied!
キーボードの上矢印を使用して、前に実行した ipmiutil
コマンドを表示します。前に実行したコマンドを編集すれば、コマンド全体を再入力しなくてすみます。
システムを再起動する必要がある場合は、次の手順に従います。このコマンドを実行して、コンソールを非アクティブにします。
ipmiutil sol -d -N ipaddress -P ipmi_password
ipmiutil sol -d -N ipaddress -P ipmi_password
- このコマンドを実行して、システムの電源を切ります。
ipmiutil power -d -N ipaddress -P ipmi_password
ipmiutil power -d -N ipaddress -P ipmi_password
- このコマンドを実行して、システムの電源を入れます。
ipmiutil power -u -N ipaddress -P ipmi_password
ipmiutil power -u -N ipaddress -P ipmi_password
DVD ドライブに DVD を挿入したり、ネットワーク内のインストーラーイメージを確認していない場合は、ここで行います。
10.3.7. Petitboot を設定し、Red Hat Enterprise Linux をインストールする
システムの電源が入ると、Petitboot ブートローダーは、ローカルのブートデバイスとネットワークインターフェイスをスキャンして、システムで利用できる起動オプションを検出します。ネットワーク接続、またはディスクドライブにインストール DVD がない場合は、起動オプションが検出されません。
以下の例で示すように、Power Systems サーバーの場合には、Petitboot はデバイスに関連付けられている起動オプションがなくてもブートメニューが特定した暗号化デバイスのリストを表示します。起動デバイスの選択時に、暗号化デバイスは無視できます。この例では、disk、system、device は、特定のディスク、システム、およびデバイス情報を示しています。
Petitboot (v1.11) [Disk: sda2 / disk ] Red Hat Enterprise Linux (system) 8.x *[Encrypted Device: rhel device / device System information System configuration System status log Language Rescan devices Retrieve config from URL Plugins (0) Exit to shell
Petitboot (v1.11)
[Disk: sda2 / disk ]
Red Hat Enterprise Linux (system) 8.x
*[Encrypted Device: rhel device / device
System information
System configuration
System status log
Language
Rescan devices
Retrieve config from URL
Plugins (0)
Exit to shell
手順
- Petitboot メイン画面で、DVD ドライブから Red Hat Enterprise Linux 8 を起動しているのを確認します。
- Red Hat Enterprise Linux インストーラーの起動オプションを選択して、Enter を押します。
- インストールプロセスが開始します。
Petitboot ウィンドウが表示されてから 10 秒以内にキーを押して起動プロセスを中断しないと、Petitboot が最初のオプションを自動的に起動します。