第10章 IBM Power Systems の準備


10.1. IBM Power System LC サーバーへの RHEL インストールの準備

10.1.1. サポート対象の IBM Power System LC サーバー

以下の IBM Power Systems LC サーバーに Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。

  • 8335-GCA (IBM Power System S822LC)
  • 8335-GTA (IBM Power System S822LC)
  • 8335-GTB (IBM Power System S822LC)
  • 8001-12C (IBM Power System S821LC)
  • 8001-22C (IBM Power System S822LC for Big Data)
  • 9006-12P (IBM Power System LC921)
  • 9006-22P (IBM Power System LC922)

10.1.2. IBM Power System LC サーバーにおけるインストールプロセスの概要

以下を参照して、非仮想化システムやベアメタルの IBM Power System LC サーバーに Red Hat Enterprise Linux 8 をインストールします。

インストールワークフローは、以下の一般的な手順に従います。

  • システム要件を確認する
  • 必要なインストール ISO イメージをダウンロードする
  • インストールメディアを作成する
  • 前提条件に対応してファームウェアを起動する
  • BMC ファームウェアに接続して、ネットワーク接続を設定する
  • IPMI を使用して BMC ファームウェアに接続する
  • インストーラーの起動方法を選択する:

    • USB デバイスからインストーラーを起動する
    • ベースボード管理コントローラー (BMC) を使用してインストーラーを起動する
  • Red Hat Enterprise Linux をインストールする

10.1.3. 前提条件を完了してファームウェアの起動

システムの電源を入れる前に、以下のアイテムがあることを確認します。

  • イーサネットケーブル
  • VGA モニター。VGA の解像度は 1024x768-60Hz に設定する必要があります。
  • USB キーボード
  • システムの電源コードおよびコンセント

    • レベル 1.8.15 以上の IPMItool ツールが含まれる PC またはノートブック。(確認中)
    • 起動可能な USB デバイス

次の手順を完了します。

  1. システムがラックにある場合は、システムをそのラックにインストールします。詳細は IBM Power Systems の情報 (https://www.ibm.com/support/knowledgecenter/) を参照してください。
  2. システム背面の、シリアルポートの隣にある組み込みイーサネットポートに、イーサネットケーブルを接続します。反対側をネットワークに接続します。
  3. システムの背面にある VGA ポートに、VGA モニターを接続します。
  4. 利用可能な USB ポートに、USB キーボードを接続します。
  5. システムに電源コードを接続し、コンセントに差し込みます。

この時点で、ファームウェアが起動しています。電源の緑色の LED が点滅する (使用する準備ができていることを示す) のを待ちます。システムに緑色の LED インジケータライトがない場合は、1~2 分待ちます。

10.1.4. ファームウェアによるネットワーク接続の設定

BMC (Baseboard Management Controller) ファームウェアにネットワーク接続を設定して有効にするには、Petitboot ブートローダーインターフェイスを使用します。

  1. システムの前面にある電源ボタンを使用して、サーバーの電源を入れます。システムは、Petitboot ブートローダーメニューで電源を入れます。このプロセスは、完了するまでに 1~2 分かかります。システムから離れないでください。Petitboot を読み込むと、モニターがアクティブになり、任意のキーを押してブートプロセスを中断する必要があります。
  2. Petitboot ブートローダーメインメニューで、Exit to Shell を選択します。
  3. ipmitool lan print 1 を実行します。このコマンドが IP アドレスを返した場合は、IP アドレスが正しいことを確認して続行します。静的な IP アドレスを設定するには、次の手順を実行します。

    1. ipmitool lan set 1 ipsrc static コマンドを実行して、モードを静的に設定します。
    2. ipmitool lan set 1 ipaddr ip_address コマンドを実行して、IP アドレスを設定します。ip_address は、このシステムに割り当てる静的な IP アドレスになります。
    3. ipmitool lan set 1 netmask netmask_address コマンドを実行して、ネットマスクを設定します。netmask_address は、システムのネットマスクです。
    4. ipmitool lan set 1 defgw ipaddr gateway_server コマンドを実行してゲートウェイサーバーを設定します。gateway_server は、このシステムのゲートウェイです。
    5. もう一度 ipmitool lan print 1 コマンドを実行して、IP アドレスを確認します。

      このネットワークインターフェイスは、次の手順を実行するまでアクティブにはなりません。

  4. ファームウェアをリセットするには、ipmitool mc reset cold コマンドを実行します。

    このコマンドは、プロセスを続行する前に完了する必要がありますが、情報は返しません。このコマンドが完了したことを確認するには、システムの BMC アドレス (IPMItool コマンドで使用される IP アドレスと同じアドレス) に ping します。ping が返ってきたら、次の手順に進みます。

    1. 妥当な時間 (2 ~ 3 分) 内に ping が返ってこない場合は、以下の手順を実行してください。

      1. ipmitool power off コマンドを使用して、システムの電源を切ります。
      2. システムの背面から電源コードを抜きます。30 秒待ってから、電力を供給して BMC を起動します。

10.1.5. IPMI を使用してサーバーの電源をオン

IPMI (Intelligent Platform Management Interface) は、OPAL ファームウェアに接続する際に使用するデフォルトコンソールです。

IPMI のデフォルト値を使用します。

  • デフォルトユーザー - ADMIN
  • デフォルトパスワード - admin
注記

システムの電源を入れると、Petitboot インターフェイスが読み込まれます。10 秒以内にキーを押して起動プロセスを中断しないと、Petitboot が最初のオプションを自動的に起動します。Linux を実行している PC またはノートブックの電源を入れるには、次の手順を実行します。

  1. お使いの PC またはノートブックの端末プログラムを開きます。
  2. サーバーの電源を入れるには、次のコマンドを実行します。

    ipmitool -I lanplus -H server_ip_address -U ipmi_user -P ipmi_password chassis power on
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    server_ip_ipaddress は、Power システムの IP アドレスで、ipmi_password は、IPMI に設定しているパスワードです。

    注記

    システムの電源がすでに入っている場合は、IPMI コンソールのアクティベートを続行します。

  3. このコマンドを実行して IPMI コンソールをアクティベートします。

    ipmitool -I lanplus -H server_ip_address -U ipmi_user -P ipmi_password sol activate
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
注記

キーボードの上矢印を使用して、前に実行した ipmitool コマンドを表示します。前に実行したコマンドを編集すれば、コマンド全体を再入力しなくてすみます。システムの電源をオフするか、再起動する必要がある場合は、次のコマンドを実行して、コンソールを無効にします。

ipmitool -I lanplus -H server_ip_address -U user-name -P ipmi_password sol deactivate
Copy to Clipboard Toggle word wrap

システムを再起動するには、以下のコマンドを実行します。

ipmitool -I lanplus -H server_ip_address -U user-name -P ipmi_password chassis power reset
Copy to Clipboard Toggle word wrap

10.1.6. IBM LC サーバーでのインストーラー起動方法の選択

USB デバイスまたは仮想メディアから Red Hat Enterprise Linux のインストーラーを起動できます。

USB デバイスからインストールを起動するには、USB デバイスを使用したインストールへの Petitboot の設定 を参照してください。

仮想メディアを使用してインストールを起動するには、BMC Advanced System Management インターフェイスにアクセスして仮想メディアの設定 を参照してください。

10.1.6.1. USB デバイスを使用したインストールへの Petitboot の設定

システムの電源が入ると、Petitboot ブートローダーは、ローカルのブートデバイスとネットワークインターフェイスをスキャンして、システムで利用できる起動オプションを検出します。起動可能な USB デバイスの作成方法は、起動可能な DVD または CD の作成 を参照してください。

次のいずれかの USB デバイスを使用します。

  • 1.0 アンペアより下にするため、1 つの USB ケーブルを使用した、USB 接続 DVD プレーヤー
  • 8 GB の 2.0 USB フラッシュドライブ

手順

Petitboot を設定するには、以下の手順を実行します。

  1. 前面の USB ポートに、起動可能な USB デバイスを挿入します。Petitboot には、次のオプションが表示されます。

    [USB: sdb1 / 2015-10-30-11-05-03-00]
        Rescue a Red Hat Enterprise Linux system (64-bit kernel)
        Test this media & install Red Hat Enterprise Linux 8  (64-bit kernel)
     *  Install Red Hat Enterprise Linux 8 (64-bit kernel)
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    注記

    USB デバイスが表示されない場合は、デバイスの再スキャンを選択します。デバイスが検出されない場合は、別のタイプのものを試してみてください。

  2. USB デバイスの UUID を記録します。たとえば、上記の例では、2015-10-30-11-05-03-00 が USB デバイスの UUID です。
  3. Install Red Hat Enterprise Linux 8 (64-bit kernel) を選択し、e (Edit) を押すと、Petitboot Option Editor 画面が開きます。
  4. カーソルを、Boot 引数セクションに移動して、次の情報を追加します。

    inst.stage2=hd:UUID=your_UUID
    where your_UUID is the UUID that you recorded.
    Petitboot Option Editor
    qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq
    
      Device:    ( ) sda2 [f8437496-78b8-4b11-9847-bb2d8b9f7cbd]
                 (*) sdb1 [2015-10-30-11-05-03-00]
                 ( ) Specify paths/URLs manually
    
                         Kernel:         /ppc/ppc64/vmlinuz
                         Initrd:         /ppc/ppc64/initrd.img
                         Device tree:
                         Boot arguments: ro inst.stage2=hd:UUID=2015-10-30-11-05-03-00
    
                            [    OK    ]  [   Help   ]  [  Cancel  ]
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  5. OK を選択して、オプションを保存して、メインメニューに戻ります。
  6. Install Red Hat Enterprise Linux 8 (64-bit kernel) が選択されていることを確認し、Enter を押してインストールを開始します。

10.1.6.2. BMC Advanced System Management インターフェイスにアクセスして仮想メディアの設定

Baseboard Management Controller (BMC) Advanced Systems Management は、サーバーのシステム情報、ステータス、その他のプロセスにアクセスするために使用されるリモート管理コントローラーです。BMC Advanced Systems Management を使用してインストールを設定し、CD イメージを Power System への仮想メディアとして提供します。ただし、実際のインストールには、IPMI を経由した SOL (serial-over-LAN) 接続が必要です。

BMC Advanced Systems Management にアクセスするには、Web ブラウザーで http://ip_address を開きます。ip_address は、BMC の IP アドレスになります。次のデフォルト値を使用してログインします。

  • デフォルトのユーザー名 - ADMIN
  • デフォルトパスワード - admin

BMC Advanced Systems Management を完全に使用するには、ノートブックまたは PC の Java コントロールパネルでの例外リストに BMC ファームウェアの IP アドレスを追加する必要があります。Windows システムでは、通常、コントロールパネル > Control Panel for Java を選択することで、これを配置します。

Linux システムでは、通常、コントロールセンターを選択し、Java の Web ブラウザーのプラグインを選択することで、これを配置します。

Java 用のコントロールパネルにアクセスし、セキュリティータブを選択します。Edit Site List をクリックし、Add をクリックして、BMC ファームウェアの IP アドレスを例外リストに追加します。IP アドレスを入力して、OK をクリックします。

仮想 CD/DVD を作成するには、次の手順を実行します。

  1. デフォルトのユーザー名およびパスワードを使用して、PC またはノートブックから、BMC Advanced Systems Management インターフェイスにログインします。
  2. Remote Control > Console Redirection を 選択 します。
  3. Java コンソールを 選択 します。コンソールが開いたら、Open with Java Web Start を選択して OK をクリックし、Web ブラウザーで直接 jviewer.jnlp ファイルを開くようにしないといけない場合があります。警告を承認し、Run をクリックします。
  4. コンソールリダイレクト画面で、メニューから、Media > Virtual Media ウィザードを 選択 します。
  5. Virtual Media ウィザードで、CD/DVD Media:1 を 選択 します。
  6. CD イメージと、Linux ディストリビューションの ISO ファイルへのパスを 選択 します。たとえば、/tmp/RHEL-7.2-20151030.0-Server-ppc64el-dvd1.iso のようになります。Connect CD/DVD をクリックします。接続に成功すると、Device redirected in Read Only Mode メッセージが表示されます。
  7. CD/DVD が、Petitboot のオプション (sr0) として表示されていることを確認します。

           CD/DVD: sr0
                           Install
                           Repair
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    注記

    CD または DVD が表示されない場合は、デバイスの再スキャンを選択します。

  8. インストールを 選択 します。インストールを選択すると、リモートコンソールが非アクティブになる場合があります。インストールを完了するには、IPMI コンソールを開くか、再アクティブにします。お待ちください。インストールが開始するまで数分かかる場合があります。
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