B.5. パーティション設定に関するアドバイス
すべてのシステムに最善となる分割方法はありません。インストール済みシステムをどのように使用するかによって異なります。ただし、次のヒントは、ニーズに最適なレイアウトを見つけるのに役立つかもしれません。
- たとえば、特定のパーティションを特定のディスクに配置する必要がある場合など、特定の要件を満たすパーティションを最初に作成します。
-
機密データを格納する可能性があるパーティションやボリュームには、暗号化を検討してください。暗号化を行うと、権限を持たない人が物理ストレージデバイスにアクセスできても、暗号化したパーティションにあるデータにアクセスできなくなります。ほとんどの場合は、少なくともユーザーデータが含まれる
/home
パーティションを暗号化してください。 -
場合によっては、
/
、/boot
、および/home
以外のディレクトリーに個別のマウントポイントを作成すると役に立つかもしれません。たとえば、MySQL
データベースを実行するサーバーで、/var/lib/mysql
用のマウントポイントを別に持つことで、後でバックアップからデータベースを復元しなくても、再インストール中にデータベースを保存できます。ただし、不要なマウントポイントがあると、ストレージ管理がより困難になります。 -
特定のディレクトリーには、どのレイアウトに配置できるかについて、特別な制限がいくつか適用されます。特に、
/boot
ディレクトリーは常に、(LVM ボリュームではなく) 物理パーティションに存在する必要があります。 - Linux を初めて使用する場合は、さまざまなシステムディレクトリーとそのコンテンツの詳細を、 Linux ファイルシステム階層標準 を確認してください。
- 各カーネルには約 60MiB (initrd 34MiB、11MiB vmlinuz、および 5MiB System.map) が必要です。
- レスキューモードの場合 :100MiB (initrd 76MiB、11MiB vmlinuz、および 5MiB システムマップ)
システムで
kdump
を有効にすると、さらに約 40 MiB(33 MiB の別の initrd) が必要になります。最も一般的なユースケースでは、
/boot
にはデフォルトの 1 GiB のパーティションサイズが必要です。ただし、複数のカーネルリリースまたはエラータカーネルを保持する予定がある場合は、このパーティションのサイズを増大させることが推奨されます。-
/var
ディレクトリーには、Apache Web サーバーなど、多数のアプリケーションのコンテンツが格納されていて、DNF パッケージマネージャーが、ダウンロードしたパッケージの更新を一時的に保管するのに使用されます。/var
を含むパーティションまたはボリュームは、最低 5 GB となることを確認してください。 -
/usr
ディレクトリーには、一般的な Red Hat Enterprise Linux インストールの大抵のソフトウェアが格納されています。このディレクトリーを含むパーティションまたはボリュームは、最小インストールの場合は最低 5 GiB、グラフィカル環境のインストールの場合は最低 10 GiB 必要です。 /usr
または/var
のパーティションをルートボリュームとは別の場所に設定すると、これらのディレクトリーには起動に欠かせないコンポーネントが含まれているため、起動プロセスが非常に複雑になります。iSCSI ドライブや FCoE などの場所に配置してしまった場合には、システムが起動できなくなったり、電源オフや再起動の際にDevice is busy
のエラーでハングしたりする可能性があります。これらの制限は
/usr
と/var
にのみ適用され、その下のディレクトリーには適用されません。たとえば、/var/www
向けの個別パーティションは、問題なく機能します。重要一部のセキュリティーポリシーでは、管理がより複雑になりますが、
/usr
と/var
の分離が必要になります。-
LVM ボリュームグループ内の一部領域を未割り当てのまま残しておくことを検討してください。このように未割り当ての領域を残すことで、領域の要件が変化した際に、その他のボリュームからデータを削除したくない場合に、柔軟性が得られます。また、パーティションに
LVM シンプロビジョニング
デバイスタイプを選択し、ボリュームに未使用の領域を自動的に処理させることもできます。 - XFS ファイルシステムのサイズを縮小することはできません。このファイルシステムのパーティションまたはボリュームを小さくする必要がある場合は、データのバックアップを作成し、ファイルシステムを破棄して、代わりに小規模なファイルシステムを新たに作成する必要があります。したがって、後でパーティションレイアウトを変更する予定の場合には、代わりに ext4 ファイルシステムを使用してください。
-
インストール後に、ディスクの追加、または仮想マシンのディスクの拡張によりストレージを拡張することを予定している場合は、論理ボリューム管理 (LVM) を使用してください。LVM を使用すると、新しいドライブに物理ボリュームを作成し、必要に応じてそのボリュームをボリュームグループおよび論理ボリュームに割り当てることができます。たとえば、システムの
/home
(または論理ボリュームに存在するその他のディレクトリー) は簡単に拡張できます。 - システムのファームウェア、起動ドライブのサイズ、および起動ドライブのディスクラベルによっては、BIOS の起動パーティションまたは EFI システムパーティションの作成が必要になる場合があります。システムで BIOS ブートまたは EFI システムパーティションが 必要ない 場合は、グラフィカルインストールで BIOS ブートまたは EFI システムパーティションを作成することはできません。この場合は、メニューに表示されなくなります。