B.4. 推奨されるパーティション設定スキーム
Red Hat は、以下のマウントポイントで、異なるファイルシステムを作成することを推奨します。ただし、必要に応じて /usr
、/var
および /tmp
のマウントポイントでファイルシステムを作成することもできます。
-
/boot
-
/
(root) -
/home
-
swap
-
/boot/efi
-
PReP
このパーティションスキームは、ベアメタルのデプロイメントに推奨されますが、仮想およびクラウドのデプロイメントには適用されません。
/boot
パーティション (最小限 1 GiB のサイズを推奨)/boot
にマウントするパーティションには、オペレーティングシステムのカーネルが含まれます。これにより、起動プロセス中に使用されるファイルと共に Red Hat Enterprise Linux 9 が起動します。大概のファームウェアには制限があるため、そのファームウェアを格納する小さいパーティションを作成することが推奨されます。ほとんどの場合は、1 GiB の boot パーティションで十分です。その他のマウントポイントとは異なり、LVM ボリュームを/boot
に使用することはできません。/boot
は、別のディスクパーティションに置く必要があります。警告通常、
/boot
パーティションは、インストールプログラムにより自動的に作成されます。ただし、/
(ルート) パーティションが 2 TiB を超え、起動に (U)EFI を使用する場合は、マシンを正常に起動させるため、2 TiB 未満の/boot
パーティションを別途作成する必要があります。注記RAID カードを実装している場合、BIOS タイプは、RAID カードからの起動に対応していない場合がある点に注意してください。これに該当する場合は、
/boot
パーティションは別のディスクなどの RAID アレイ以外のパーティションに作成する必要があります。/
(10 GiB のサイズを推奨)/
(ルート) ディレクトリーを置く場所です。ルートディレクトリーは、ディレクトリー構造のトップレベルです。デフォルトでは、書き込み先のパスに別のファイルシステムがマウントされていない限り (/boot
、/home
など)、すべてのファイルがこのファイルシステムに書き込まれます。root ファイルシステムが 5 GiB の場合は最小インストールが可能ですが、パッケージグループをいくつでもインストールできるように、少なくとも 10 GiB を割り当てておくことが推奨されます。
重要/
ディレクトリーと、/root
ディレクトリーを混合しないように注意してください。/root
ディレクトリーは、root ユーザーのホームディレクトリーになります。/root
ディレクトリーは、root ディレクトリーと区別するため、スラッシュルート と呼ばれることがあります。/home
(1 GiB 以上のサイズを推奨)-
システムデータとユーザーデータを別々に格納する場合は、
/home
ディレクトリー用の専用ファイルシステムを作成します。ファイルシステムのサイズは、ローカルで保存するデータ量やユーザー数などを基に決定してください。こうすることで、ユーザーデータのファイルを消去せずに Red Hat Enterprise Linux 9 をアップグレードしたり、再インストールできるようになります。自動パーティション設定を選択する場合は、インストールに少なくとも 55GiB のディスク領域を確保して、/home
ファイルシステムが作成されるようにすることが推奨されます。 swap
パーティション: 最小限 1 GB のサイズを推奨しています仮想メモリーは、swap ファイルシステムによりサポートされています。つまり、システムが処理しているデータを格納する RAM が不足すると、そのデータは swap ファイルシステムに書き込まれます。swap サイズはシステムメモリーのワークロードに依存するため、システムメモリーの合計ではありません。したがって、システムメモリーサイズの合計とは等しくなりません。システムメモリーの作業負荷を判断するためには、システムで実行するアプリケーションの種類、およびそのアプリケーションにより生じる負荷を分析することが重要になります。アプリケーションにより生じる負荷に関するガイダンスは、アプリケーション提供元または開発側より提供されます。
システムで swap 領域が不足すると、システムの RAM メモリーがすべて使用されるため、カーネルがプロセスを終了します。swap 領域が大き過ぎても、割り当てられているストレージデバイスがアイドル状態となり、リソース運用面では効率が悪くなります。また、swap 領域が大き過ぎるとメモリーリークに気付きにくくなる可能性があります。swap パーティションの最大サイズおよび詳細は、
mkswap(8)
の man ページを参照してください。システムの RAM の容量別に推奨される swap サイズと、ハイバネートするのに十分なサイズを以下の表に示します。インストールプログラムでシステムのパーティション設定を自動的に設定すると、swap パーティションのサイズはこのガイドラインに沿って決められます。自動パーティション設定では、ハイバネートは使用しないことを前提としています。このため、swap パーティションの上限がディスクの合計サイズの最大 10% に制限され、インストールプログラムでは、1 TiB を上回るサイズの swap パーティションが作成されません。ハイバネートを行うために十分な swap 領域を設定したい場合、もしくはシステムのストレージ領域の 10% 以上を swap パーティションに設定したい場合、または 1 TiB を超えるサイズにしたい場合は、パーティション設定のレイアウトを手動で編集する必要があります。
システム内の RAM の容量 | 推奨されるスワップ領域 | ハイバネートを許可する場合に推奨されるスワップ領域 |
---|---|---|
2 GB 未満。 | RAM 容量の 2 倍 | RAM 容量の 3 倍 |
2 GiB - 8 GiB | RAM 容量と同じ | RAM 容量の 2 倍 |
8 GiB - 64 GiB | 4 GiB から RAM 容量の半分まで | RAM 容量の 1.5 倍 |
64 GB 以上 | ワークロードによる (最小 4GB) | ハイバネートは推奨されない |
/boot/efi
パーティション (サイズは 200 MiB を推奨)- UEFI ベースの AMD64、Intel 64、および 64 ビットの ARM は、200 MiB の EFI システムパーティションが必要です。推奨される最小サイズは 200 MiB で、デフォルトサイズは 600 MiB で、最大サイズは 600 MiB です。BIOS システムは、EFI システムパーティションを必要としません。
値が、範囲の境界線上にある場合 (システムの RAM が 2 GiB、8 GiB、または 64 GiB などの場合)、swap 領域の決定やハイバネートへのサポートは適宜判断してください。システムリソースに余裕がある場合は、スワップ領域を増やすとパフォーマンスが向上することがあります。
swap 領域を複数のストレージデバイスに分散させても、swap 領域のパフォーマンスが向上します (高速ドライブやコントローラー、インターフェイスなどを備えたシステムで特に効果的)。
多くのシステムでは、パーティションおよびボリュームの数は上述の最小数より多くなります。パーティション設定は、システム固有のニーズに応じて決定してください。
- すぐに必要となるパーティションにのみストレージ容量を割り当ててください。必要に応じて空き容量をいつでも割り当てることができます。
- パーティションを設定する方法が分からない場合は、インストールプログラムで提供されているデフォルトの自動パーティションのレイアウトをご利用ください。
PReP
起動パーティション (4 - 8 MiB のサイズを推奨)-
IBM Power System サーバーに Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、ディスクの最初のパーティションに
PReP
起動パーティションが含まれている必要があります。これには、他の IBM Power Systems サーバーで Red Hat Enterprise Linux を起動できるようにする GRUB2 ブートローダーが含まれます。