B.2. インストールプログラムの設定とフロー制御のためのキックスタートコマンド
このリストのキックスタートコマンドは、インストールのモードとコースを制御し、最後に何が起こるかを制御します。
B.2.1. cdrom
キックスタートコマンドの cdrom
は任意です。これは、システムの最初の光学ドライブからインストールを実行します。
構文
cdrom
注記
- このコマンドにはオプションはありません。
-
実際にインストールを実行するには、カーネルコマンドラインで
inst.repo
オプションが指定されていない限り、cdrom
、harddrive
、hmc
、nfs
、liveimg
、ostreesetup
、rhsm
、またはurl
のいずれかを指定する必要があります。
B.2.2. cmdline
キックスタートコマンドの cmdline
は任意です。完全に非対話式のコマンドラインモードでインストールを実行します。対話のプロンプトがあるとインストールは停止します。
構文
cmdline
注記
-
完全に自動となるインストールでは、キックスタートファイルで利用可能なモード (
graphical
、text
、またはcmdline
) のいずれかを指定するか、起動オプションconsole=
を使用する必要があります。モードが指定されていないと、可能な場合はグラフィカルモードが使用されるか、VNC モードおよびテキストモードからの選択が求められます。 - このコマンドにはオプションはありません。
- このモードは、x3270 端末と共に 64 ビットの IBM Z システムで使用する場合に便利です。
B.2.3. driverdisk
キックスタートコマンドの driverdisk
は任意です。このコマンドを使用して、インストールプログラムに追加ドライバーを提供します。
ドライバーディスクは、キックスタートを使用したインストール中に、デフォルトでは含まれていないドライバーを追加する場合に使用します。ドライバーディスクのコンテンツを、システムのディスクにあるパーティションのルートディレクトリーにコピーする必要があります。次に、driverdisk
コマンドを使用して、インストールプログラムがドライバーディスクとその場所を検索するように指定する必要があります。
構文
driverdisk [partition|--source=url|--biospart=biospart]
オプション
この方法のいずれかで、ドライバーディスクの場所を指定する必要があります。
-
partition - ドライバーディスクを含むパーティション。パーティションを指定する場合はパーティション名 (
sdb1
など) だけでは なく、完全パス (/dev/sdb1
など) を使用してください。 --source=
- ドライバーディスクの URL。以下のようになります。driverdisk --source=ftp://path/to/dd.img
driverdisk --source=http://path/to/dd.img
driverdisk --source=nfs:host:/path/to/dd.img
-
--biospart=
- ドライバーディスクを含む BIOS パーティション (82p2
など)。
注記
ドライバーディスクは、ネットワーク経由や initrd
から読み込むのではなく、ローカルディスクまたは同様のデバイスから読み込むこともできます。以下の手順に従います。
- ディスクドライブ、USB、または同様のデバイスにドライバーディスクを読み込みます。
- このデバイスにラベルを設定します (DD など)。
キックスタートファイルに以下の行を追加します。
driverdisk LABEL=DD:/e1000.rpm
DD を具体的なラベルに置き換え、e1000.rpm を具体的な名前に置き換えます。LABEL ではなく、inst.repo
コマンドがサポートするものを使用して、ディスクドライブを指定してください。
B.2.4. eula
キックスタートコマンドの eula
は任意です。ユーザーとの対話なしでエンドユーザーライセンス契約 (EULA) に同意するには、このオプションを使用します。このオプションを使用すると、インストールを終了して、システムを最初に再起動した後に、ライセンス契約に同意するように求められなくなります。
構文
eula [--agreed]
オプション
-
--agreed
(必須) - EULA に同意します。このオプションは必ず使用する必要があります。使用しないとeula
コマンド自体を使用する意味がなくなります。
B.2.5. firstboot
キックスタートコマンドの firstboot
は任意です。初めてシステムを起動した時に、初期セットアップ
アプリケーションを開始するかどうかを指定します。有効にする場合は、initial-setup パッケージをインストールする必要があります。何も指定しないとデフォルトで無効になるオプションです。
構文
firstboot OPTIONS
オプション
-
--enable
または--enabled
- システムの初回起動時に、初期セットアップを開始します。 -
--disable
または--disabled
- システムの初回起動時に、初期セットアップを開始しません。 -
--reconfig
- システムの起動時に、初期セットアップが再設定モードで開始します。このモードでは、デフォルトのオプションに加えて、root パスワード、時刻と日付、ネットワークとホスト名の設定オプションが有効になります。
B.2.6. graphical
キックスタートコマンドの graphical
は任意です。これは、グラフィカルモードでインストールを実行します。これがデフォルトになります。
構文
graphical [--non-interactive]
オプション
-
--non-interactive
- 完全に非対話式のモードでインストールを実行します。このモードでは、ユーザーの対話が必要になるとインストールを終了します。
注記
-
完全に自動となるインストールでは、キックスタートファイルで利用可能なモード (
graphical
、text
、またはcmdline
) のいずれかを指定するか、起動オプションconsole=
を使用する必要があります。モードが指定されていないと、可能な場合はグラフィカルモードが使用されるか、VNC モードおよびテキストモードからの選択が求められます。
B.2.7. halt
キックスタートコマンドの halt
は任意です。
インストールが正常に完了するとシステムを一時停止します。手動インストールと同じく、Anaconda のメッセージが表示され、ユーザーがキーを押すのを待ってから再起動が行われます。キックスタートを使用したインストールで、完了方法が指定されない場合は、このオプションがデフォルトとして使用されます。
構文
halt
注記
-
halt
コマンドはshutdown -H
コマンドと同じです。詳細は、shutdown(8) の man ページを参照してください。 -
他の完了方法は、
poweroff
、reboot
、shutdown
などのコマンドをご覧ください。 - このコマンドにはオプションはありません。
B.2.8. harddrive
キックスタートコマンドの harddrive
は任意です。ローカルドライブにある完全インストール用の ISO イメージまたは Red Hat インストールツリーからインストールします。ドライブは、インストールプログラムがマウントできるファイルシステムでフォーマットする必要があります (ext2
、ext3
、ext4
、vfat
、または xfs
)。
構文
harddrive OPTIONS
オプション
-
--partition=
- インストールするパーティションを指定する場合に使用します (sdb2
など)。 -
--dir=
- 完全インストール用 DVD の ISO イメージやインストールツリーのvariant
ディレクトリーを格納しているディレクトリーを指定する場合に使用します。
例
harddrive --partition=hdb2 --dir=/tmp/install-tree
注記
-
harddrive
コマンドは、install
コマンドとともに使用する必要がありました。install
コマンドが非推奨になり、(install
が暗黙的に使用されるようになったため)harddrive
は独立して使用できるようになりました。 -
実際にインストールを実行するには、カーネルコマンドラインで
inst.repo
オプションが指定されていない限り、cdrom
、harddrive
、hmc
、nfs
、liveimg
、ostreesetup
、rhsm
、またはurl
のいずれかを指定する必要があります。
B.2.9. liveimg
キックスタートコマンドの liveimg
は任意です。パッケージの代わりに、ディスクイメージからインストールを実行します。
構文
liveimg
--url=SOURCE
[OPTIONS]
必須オプション
-
--url=
- インストール元となる場所です。HTTP
、HTTPS
、FTP
、file
が対応プロトコルになります。
任意のオプション
-
--url=
- インストール元となる場所です。HTTP
、HTTPS
、FTP
、file
が対応プロトコルになります。 -
--proxy=
- インストール実行時に使用するプロキシー (HTTP
、HTTPS
、またはFTP
) を指定します。 -
--checksum=
- 検証に使用するイメージファイルのチェックサムSHA256
を使用するオプションの引数です。 -
--noverifyssl
-HTTPS
サーバーへの接続の際に、SSL 確認を無効にします。
例
liveimg --url=file:///images/install/squashfs.img --checksum=03825f567f17705100de3308a20354b4d81ac9d8bed4bb4692b2381045e56197 --noverifyssl
注記
-
イメージは、ライブ ISO イメージの
squashfs.img
ファイル、圧縮 tar ファイル (.tar
、.tbz
、.tgz
、.txz
、.tar.bz2
、.tar.gz
、または.tar.xz
)、もしくはインストールメディアでマウントできるファイルシステムであればどれでも構いません。ext2
、ext3
、ext4
、vfat
、xfs
などが対応ファイルシステムになります。 -
ドライバーディスクで
liveimg
インストールモードを使用している場合、ディスク上のドライバーがインストールされるシステムに自動的に含まれることはありません。これらのドライバーが必要な場合は、手動でインストールするか、キックスタートスクリプトの%post
セクションでインストールします。 -
実際にインストールを実行するには、カーネルコマンドラインで
inst.repo
オプションが指定されていない限り、cdrom
、harddrive
、hmc
、nfs
、liveimg
、ostreesetup
、rhsm
、またはurl
のいずれかを指定する必要があります。
B.2.10. logging
キックスタートコマンドの logging
は任意です。インストール時に Anaconda に記録されるエラーログを制御します。インストール済みのシステムには影響しません。
ロギングは TCP でのみサポートされています。リモートロギングの場合は、--port=
オプションで指定するポート番号がリモートサーバーで開いていることを確認してください。デフォルトのポートは 514 です。
構文
logging OPTIONS
任意のオプション
-
--host=
- 指定したリモートホストにログ情報を送信します。ログを受け取るには、リモートホストで設定した syslogd プロセスが実行している必要があります。 -
--port=
- リモートの syslogd プロセスがデフォルト以外のポートを使用する場合は、このオプションを使用して設定します。
B.2.11. mediacheck
キックスタートコマンドの mediacheck
は任意です。このコマンドを使用すると、インストール開始前にメディアチェックの実行が強制されます。インストール時の介入が必要となるため、デフォルトでは無効になっています。
構文
mediacheck
注記
-
このキックスタートコマンドは、
rd.live.check
起動オプションに相当します。 - このコマンドにはオプションはありません。
B.2.12. nfs
キックスタートコマンドの nfs
は任意です。指定した NFS サーバーからインストールを実行します。
構文
nfs OPTIONS
オプション
-
--server=
- インストール元となるサーバーを指定します (ホスト名または IP)。 -
--dir=
- インストールツリーのvariant
ディレクトリーを格納しているディレクトリーを指定する場合に使用します。 -
--opts=
- NFS エクスポートのマウントに使用するマウントポイントを指定します (オプション)。
例
nfs --server=nfsserver.example.com --dir=/tmp/install-tree
注記
-
実際にインストールを実行するには、カーネルコマンドラインで
inst.repo
オプションが指定されていない限り、cdrom
、harddrive
、hmc
、nfs
、liveimg
、ostreesetup
、rhsm
、またはurl
のいずれかを指定する必要があります。
B.2.13. ostreesetup
キックスタートコマンドの ostreesetup
は任意です。これは、OStree ベースのインストールを設定するのに使用されます。
構文
ostreesetup --osname=OSNAME [--remote=REMOTE] --url=URL --ref=REF [--nogpg]
必須オプション:
-
--osname=OSNAME
- OS インストール用の root の管理 -
--url=URL
- インストール元となるリポジトリーの URL -
--ref=REF
- インストールに使用するリポジトリーのブランチー名
任意のオプション:
-
--remote=REMOTE
- リモートリポジトリーの場所。 -
--nogpg
- GPG 鍵の検証の無効化
注記
- OStree ツールの詳細は、アップストリームのドキュメント https://ostreedev.github.io/ostree/ を参照してください。
B.2.14. poweroff
キックスタートコマンドの poweroff
は任意です。インストールが正常に完了したら、システムをシャットダウンして電源を切ります。通常、手動のインストールでは Anaconda によりメッセージが表示され、ユーザーがキーを押すのを待ってから再起動が行われます。
構文
poweroff
注記
-
poweroff
オプションはshutdown -P
コマンドと同じです。詳細は、shutdown(8) の man ページを参照してください。 -
他の完了方法は、
halt
、reboot
、shutdown
などのキックスタートコマンドをご覧ください。キックスタートファイルに完了方法が明示的には指定されていない場合は、halt
オプションがデフォルトの完了方法になります。 -
poweroff
オプションは、使用中のハードウェアに大きく依存します。特に、BIOS、APM (advanced power management)、ACPI (advanced configuration and power interface) などの特定ハードウェアコンポーネントは、システムカーネルと対話できる状態にする必要があります。使用システムの APM/ACPI 機能の詳細に関しては、ハードウェアのマニュアルを参照してください。 - このコマンドにはオプションはありません。
B.2.15. reboot
キックスタートコマンドの reboot
は任意です。インストールが正常に完了したらシステムを再起動するように、インストールプログラムに指示します (引数なし)。通常、キックスタートは、メッセージを表示し、ユーザーがキーを押してから再起動します。
構文
reboot OPTIONS
オプション
-
--eject
- 再起動の前に起動可能なメディア (DVD、USB、またはその他のメディア) の取り出しを試みます。 --kexec
- 完全な再起動を実行する代わりにkexec
システムコールを使用します。BIOS やファームウェアが通常実行するハードウェアの初期化を行わずに、インストールしたシステムを即座にメモリーに読み込みます。重要このオプションは非推奨になっており、テクノロジープレビューとしてのみ利用できます。テクノロジープレビュー機能に対する Red Hat のサポート範囲の詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
kexec
の使用時には、(完全なシステム再起動では通常クリアされる) デバイスレジスターにデータが残ります。デバイスドライバーによってはこれが問題になる可能性もあります。
注記
-
インストールメディアやインストール方法によっては、
reboot
オプションを使用するとインストールプロセスがループして完了しなくなる場合があります。 -
reboot
オプションはshutdown -r
コマンドと同じです。詳細は、shutdown(8) の man ページを参照してください。 -
64 ビットの IBM Z でコマンドラインによるインストールを行う際は、
reboot
を指定してインストールを完全自動化します。 -
その他の完了方法は、
halt
、poweroff
、shutdown
などのキックスタートオプションをご覧ください。キックスタートファイルに完了方法が明示的には指定されていない場合は、halt
オプションがデフォルトの完了方法になります。
B.2.16. rhsm
キックスタートコマンドの rhsm
は任意です。ここでは、インストールプログラムにより、CDN から RHEL が登録されインストールされるようになっています。
キックスタートコマンド rhsm
は、システムの登録時にカスタムの %post
スクリプトを使用する要件を削除します。
オプション
-
--organization=
- 組織 ID を使用して CDN から RHEL を登録してインストールします。 -
--activation-key=
- アクティベーションキーを使用して、CDN から RHEL を登録してインストールします。使用するアクティベーションキーがサブスクリプションに登録されている限り、アクティベーションキーごとに 1 回使用するオプションを複数回使用できます。 -
--connect-to-insights
- ターゲットシステムを Red Hat Insights に接続します。 -
--proxy=
- HTTP プロキシーを設定します。 -
--server-hostname=
- 登録用の Satellite インスタンスのホスト名を設定します。
rhsm
キックスタートコマンドを使用してインストールソースリポジトリーを CDN に切り替えるには、次の条件を満たす必要があります。-
カーネルコマンドラインで、
inst.stage2=<URL>
を使用してインストールイメージを取得したが、inst.repo=
を使用してインストールソースを指定していない。 -
キックスタートファイルで、
url
、cdrom
、harddrive
、liveimg
、nfs
、およびostree
セットアップコマンドを使用してインストールソースを指定していない。
-
カーネルコマンドラインで、
-
起動オプションを使用して指定したインストールソース URL、またはキックスタートファイルに含まれるインストールソース URL は、キックスタートファイルに有効な認証情報を持つ
rhsm
コマンドが含まれている場合でも CDN よりも優先されます。システムが登録されていますが、URL インストールソースからインストールされています。これにより、以前のインストールプロセスが通常通りに動作するようになります。
B.2.17. shutdown
キックスタートコマンドの shutdown
は任意です。インストールが正常に完了したら、システムをシャットダウンします。
構文
shutdown
注記
-
キックスタートオプションの
shutdown
は、shutdown
コマンドと同じです。詳細は、shutdown(8) の man ページを参照してください。 -
その他の完了方法は、
halt
、poweroff
、reboot
などのキックスタートオプションをご覧ください。キックスタートファイルに完了方法が明示的には指定されていない場合は、halt
オプションがデフォルトの完了方法になります。 - このコマンドにはオプションはありません。
B.2.18. sshpw
キックスタートコマンドの sshpw
は任意です。
インストール中に、SSH
接続によりインストールプログラムと対話操作を行い、その進捗状況を監視できます。sshpw
コマンドを使用して、ログオンに使用する一時的なアカウントを作成します。コマンドの各インスタンスにより、インストール環境でしか存在しない個別アカウントが作成されます。ここで作成されたアカウントは、インストールが完了したシステムには転送されません。
構文
sshpw --username=name [OPTIONS] password
必須オプション
-
--username
=name - ユーザー名を入力します。このオプションは必須です。 - password - このユーザーに使用するパスワードです。このオプションは必須です。
任意のオプション
--iscrypted
- このオプションを追加すると、パスワード引数はすでに暗号化済みと仮定されます。--plaintext
と相互排他的になります。暗号化したパスワードを作成する場合は Python を使用します。$
python3 -c 'import crypt,getpass;pw=getpass.getpass();print(crypt.crypt(pw) if (pw==getpass.getpass("Confirm: ")) else exit())'
上記の例では、ランダムの salt を使用して、パスワードの sha512 暗号と互換性があるハッシュが生成されます。
-
--plaintext
- このオプションを使用すると、パスワードの引数はプレーンテキストであると仮定されます。--iscrypted
と相互排他的になります。 -
--lock
- このオプションを指定すると、このアカウントはデフォルトでロックされます。つまり、ユーザーはコンソールからログインできなくなります。 -
--sshkey
- このオプションを指定すると、<password> 文字列が ssh 鍵の値として解釈されます。
注記
-
デフォルトでは、
ssh
サーバーは、インストール時に起動しません。インストール時にssh
を使用できるようにするには、カーネル起動オプションinst.sshd
を使用してシステムを起動します。 インストール中、別のユーザーの
ssh
アクセスを許可する一方で、root のssh
アクセスを無効にする場合は、次のコマンドを実行します。sshpw --username=example_username example_password --plaintext
sshpw --username=root example_password --lock
単に root の
ssh
アクセスを無効にするには、以下のコマンドを使用します。sshpw --username=root example_password --lock
B.2.19. text
キックスタートコマンドの text
は任意です。テキストモードでキックスタートインストールを実行します。キックスタートインストールは、デフォルトでグラフィカルモードで実行します。
構文
text [--non-interactive]
オプション
-
--non-interactive
- 完全に非対話式のモードでインストールを実行します。このモードでは、ユーザーの対話が必要になるとインストールを終了します。
注記
-
完全に自動となるインストールでは、キックスタートファイルで利用可能なモード (
graphical
、text
、またはcmdline
) のいずれかを指定するか、起動オプションconsole=
を使用する必要がある点に注意してください。モードが指定されていないと、可能な場合はグラフィカルモードが使用されるか、VNC モードおよびテキストモードからの選択が求められます。
B.2.20. url
キックスタートコマンドの url
は任意です。これは、FTP、HTTP、または HTTPS プロトコルを使用して、リモートサーバーのインストールツリーイメージからインストールするのに使用されます。URL は 1 つだけ指定できます。
--url
、--metalink
、または --mirrorlist
オプションのいずれかを指定する必要があります。
構文
url
--url=FROM
[OPTIONS]
オプション
-
--url=FROM
- インストール元となるHTTP
、HTTPS
、FTP
、またはファイル
の場所を指定します。 -
--mirrorlist=
- インストール元となるミラー URL を指定します。 -
--proxy=
- インストール時に使用するHTTP
、HTTPS
、またはFTP
プロキシーを指定します。 -
--noverifyssl
-HTTPS
サーバーへの接続時に SSL 検証を無効にします。 -
--metalink=URL
- インストール元となるメタリンク URL を指定します。変数の置換は、URLの$releasever
および$basearch
で行います。
例
HTTP サーバーからインストールするには、以下を行います。
url --url=http://server/path
FTP サーバーからインストールするには、以下を行います。
url --url=ftp://username:password@server/path
注記
-
実際にインストールを実行するには、カーネルコマンドラインで
inst.repo
オプションが指定されていない限り、cdrom
、harddrive
、hmc
、nfs
、liveimg
、ostreesetup
、rhsm
、またはurl
のいずれかを指定する必要があります。
B.2.21. vnc
キックスタートコマンドの vnc
は任意です。これにより、VNC を介して、リモートにグラフィカルインストールを表示できます。
テキストインストールではサイズと言語の一部が制限されるため、通常はテキストモードよりもこの方法が好まれます。追加のオプション指定がないと、このコマンドは、パスワードを使用せずに、インストールシステムで VNC サーバーを開始し、接続に必要な詳細を表示します。
構文
vnc [--host=host_name] [--port=port] [--password=password]
オプション
--host=
- 指定したホスト名でリッスンしている VNC ビューアープロセスに接続します。
--port=
- リモート VNC ビューアープロセスがリッスンしているポートを指定します。このオプションを使用しないと、Anaconda は VNC のデフォルトポートである 5900 を使用します。
--password=
- VNC セッションへの接続に必要なパスワードを設定します。これはオプションですが、推奨されます。
B.2.22. %include
キックスタートコマンドの %include
は任意です。
%include
コマンドを使用して、キックスタートファイル内の別のファイルのコンテンツが、キックスタートファイルの %include
コマンドの場所にあるかのように設定します。
この包含は、%pre
スクリプトセクションの後にのみ評価されるため、%pre
セクションでスクリプトにより生成されたファイルに使用できます。%pre
セクションを評価する前にファイルを指定するには、%ksappend
コマンドを使用します。
構文
%include path/to/file
B.2.23. %ksappend
キックスタートコマンドの %ksappend
は任意です。
%ksappend
コマンドを使用して、キックスタートファイル内の別のファイルのコンテンツが、キックスタートファイルの %ksappend
コマンドの場所にあるかのように設定します。
この包含は、%include
コマンドで使用するのとは異なり、%pre
スクリプトセクションの前に評価されます。
構文
%ksappend path/to/file