4.9. Primary/Additional Application Server (PAS/AAS) リソースグループの設定 (オプション)
このセクションでは、PAS インスタンスも HA クラスターによって管理する必要がある場合に備えて、Primary Application Server (PAS) インスタンスと、インスタンスディレクトリーの関連する仮想 IP およびファイルシステムを管理するリソースグループを設定する方法を説明します。HA クラスターが管理する必要のある Additional Application Server (AAS) インスタンスにも、同じ設定を使用できます。
4.9.1. PAS/AAS インスタンスの仮想 IP アドレスを管理するリソースの作成 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
HA クラスターが管理する PAS/AAS インスタンスに他のアプリケーションサーバーやクライアントが接続できるようにするには、ある HA クラスターノードから別の HA クラスターノードに PAS/AAS インスタンスが移動するときに、クラスターが、そのインスタンスに割り当てられている仮想 IP アドレスを移動させる必要があります。
このためには、仮想 IP を管理するリソースを、PAS/AAS インスタンスの管理に使用するリソースグループの一部として作成する必要があります。
HA クラスターが実行されているプラットフォームに基づいて、仮想 IP アドレスを管理するための適切なリソースエージェントを使用してください。
物理サーバーまたは仮想マシンでは、IPaddr2 リソースエージェントを使用してリソースを作成できます。
[root@node1]# pcs resource create s4h_vip_pas_d21 IPaddr2 ip=192.168.200.103 --group s4h_PAS_D21_group
4.9.2. PAS/AAS インスタンスディレクトリーのファイルシステムを管理するリソースの作成 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
SAP では、インスタンスディレクトリーが、インスタンスが実行されている HA クラスターノード上でのみ使用可能であることが必要であるため、インスタンスディレクトリーに使用されるファイルシステムを管理するための HA クラスターリソースをセットアップする必要があります。
インスタンスディレクトリーが NFS に格納されている場合でも、HA クラスターが、SAP インスタンスを実行すべき HA クラスターノードにのみ NFS エクスポートをマウントできるように、リソースを作成する必要があります。
4.9.2.1. NFS リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
PAS/AAS インスタンスのインスタンスディレクトリーが NFS にある場合は、PAS/AAS インスタンスを管理するリソースグループの一部としてそのインスタンスディレクトリーを管理するリソースを、次のコマンドで作成できます。
[root@node1]# pcs resource create s4h_fs_pas_d21 Filesystem device='<NFS_Server>:<s4h_pas_d21_nfs_share>' directory=/usr/sap/S4H/D21 fstype=nfs force_unmount=safe --group s4h_PAS_D21_group \
op start interval=0 timeout=60 \
op stop interval=0 timeout=120 \
op monitor interval=200 timeout=40
4.9.2.2. HA-LVM リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
HA-LVM を使用して PAS/AAS インスタンスのインスタンスディレクトリーを管理する場合は、記事 What is a Highly Available LVM (HA-LVM) configuration and how do I implement it? のガイドラインに従って設定する必要があります。
まず、LVM-activate クラスターリソースを追加し、次に Filesystem クラスターリソースを追加する必要があります。
[root@node1]# pcs resource create s4h_lvm_pas_d21 LVM-activate volgrpname=vg_d21 vg_access_mode=system_id --group s4h_PAS_D21_group
[root@node1]# pcs resource create s4h_fs_pas_d21 Filesystem device=/dev/vg_d21/lv_d21 directory=/usr/sap/S4H/D21 fstype=xfs --group s4h_PAS_D21_group
4.9.3. PAS/AAS SAPInstance クラスターリソースの設定 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
pacemaker が PAS または AAS インスタンスを管理できるようにするには、(A)SCS/ERS インスタンスと同じ SAPInstance リソースエージェントを使用できます。PAS/AAS インスタンスは、(A)SCS/ERS インスタンスセットアップと比較して単純なインスタンスで、設定が必要な属性は少なくなります。
以下のコマンドは、D21 インスタンスの PAS インスタンスを作成し、それを s4h_PAS_D21_group リソースグループの最後に配置する方法の例です。
[root@node1]# pcs resource create s4h_pas_d21 SAPInstance InstanceName="S4H_D21_s4h-pas" DIR_PROFILE=/sapmnt/S4H/profile START_PROFILE=/sapmnt/S4H/profile/S4H_D21_s4h-pas --group s4h_PAS_D21_group
4.9.4. 制約の設定 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
4.9.4.1. PAS/AAS リソースグループの順序の制約を設定する リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
PAS/AAS インスタンスが適切に起動するには、起動前に (A)SCS およびデータベースインスタンスが実行されている必要があります。次のセクションでは、SAP NetWeaver / S/4HANA で使用できるさまざまなタイプのデータベースインスタンスに基づいて、必要な制約をセットアップする方法を示します。
4.9.4.1.1. s4h_SAPDatabase_group を使用したデプロイメント リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
クラスターリソースグループが 1 つである設定の場合、データベースに必要なすべてのリソースを起動します。たとえば、ここでは SAPDatabase リソースエージェントがデータベースの管理に使用されており、データベースグループ rh1_SAPDatabase_group に含まれているとします。以下のコマンドは、(A)SCS インスタンスがプロモートされ、データベースグループ rh1_SAPDatabase_group が実行されているときにのみ rh1_PAS_D21_group 全体を起動する制約を作成します。
[root@node1]# pcs constraint order rh1_SAPDatabase_group then rh1_PAS_D21_group kind=Optional symmetrical=false
[root@node1]# pcs constraint order start rh1_ASCS20_group then rh1_PAS_D21_group kind=Optional symmetrical=false
4.9.4.1.2. データベースとしてシステムレプリケーションを使用する SAP HANA を使用したデプロイメント リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
クラスターが管理するシステムレプリケーション (SR) 用に設定された SAP HANA データベースを使用する場合、次の制約を作成すると、(A)SCS インスタンスがプロモートされ、SAP HANA SAPhana_S4H_02-master がプロモートされたときにのみ、s4h_PAS_D21_group グループ全体が起動するようになります。
[root@node1]# pcs constraint order promote SAPHana_S4H_02-master then s4h_PAS_D21_group Kind=Optional symmetrical=false
[root@node1]# pcs constraint order start s4h_ASCS20_group then s4h_PAS_D21_group Kind=Optional symmetrical=false
4.9.4.2. PAS および AAS SAPInstance クラスターリソースのコロケーション制約の設定 (オプション) リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
両方のノードの実行中に PAS インスタンスと AAS インスタンスが同じノードで実行されないようにするには、以下のコマンドを使用して負のコロケーション制約を追加します。
[root@node1]# pcs constraint colocation add s4h_AAS_D22_group with s4h_PAS_D21_group score=-1000
スコアを -1000 に指定すると、使用可能なノードが 1 つだけの場合でも、当該残りの 1 つのノードで PAS/AAS インスタンスが実行され続けます。このような状況で、AAS インスタンスを停止しておく必要がある場合は、score=-INFINITY を使用してこの条件を強制できます。
4.9.4.3. クラスターが管理する /sapmnt リソースの順序の制約を作成する リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
共有ファイルシステム /sapmnt がクラスターによって管理されている場合、次の制約を使用すると、PAS/AAS インスタンスの管理に使用するリソースグループは、/sapmnt ファイルシステムが使用可能になった後にのみ起動するようになります。
[root@node1]# pcs constraint order s4h_fs_sapmnt-clone then s4h_PAS_D21_group