11.10. 高可用性およびクラスター
target-role 値が大文字でないことが原因で pcs コマンドが失敗しなくなりました
この更新前は、リソースの target-role メタ属性が、Stopped ではなく stopped のように大文字でない値に設定されていた場合、pcs がクラスターのステータスを解析できませんでした。この解析エラーにより、pcs status query resource コマンドと、pcs resource delete などのリソースを削除するコマンドが失敗していました。
この更新により、pcs のクラスターステータス解析ロジックがより柔軟になりました。
その結果、リソースに大文字の値が不適切に設定された target-role メタ属性がある場合でも、pcs コマンドは正しく機能します。
fence_ibm_powervs がプレーンテキストのトークンファイルをサポートするようになりました
この更新前は、fence_ibm_powervs エージェントは JSON 形式のファイルからのみ認証トークンを読み取ることができました。プレーンテキストファイルからトークンを読み取ることはできませんでした。
この更新により、エージェント内のファイル読み取りロジックが修正されました。
その結果、fence_ibm_powervs エージェントは、JSON またはプレーンテキスト形式のトークンファイルを使用できるようになりました。
Jira:RHEL-88569[1]
クォーラムが失われたときに、Pacemaker Remote ノードが不必要にフェンスされなくなりました
この更新前は、特定のクラスター設定において、Pacemaker Remote ノードのパーティションがクォーラムを失ったときに、ノードがフェンスされることがありました。これは、そのノードを管理しているリソースが、クォーラムを持つ別のノード上で安全に再起動できる場合でも発生していました。この動作により、Pacemaker Remote ノードで実行されているサービスに不要なダウンタイムが発生していました。
この更新により、この動作を制御するための新しいクラスタープロパティー fence-remote-without-quorum が導入されました。
その結果、デフォルト設定である fence-remote-without-quorum=false では、リモートノードを管理しているリソースがクォーラムを持つノード上で回復できる場合に、Pacemaker がそのノードをフェンスしなくなりました。これにより、サービスの可用性が向上します。
Jira:RHEL-86146[1]
Pacemaker が、大規模なクラスターの IPC バッファーの手動チューニングを必要としなくなりました
この更新前は、多数のノードまたはリソースを持つクラスターで、Pacemaker の内部通信がデフォルトのバッファーサイズを超えることがありました。これにより、エラーがログに記録され、コマンドラインツールの速度が低下したり、ツールが応答しなくなったりすることがありました。場合によっては、これらの問題を解決するために、ユーザーが PCMK_ipc_buffer 設定を手動で引き上げる必要がありました。
この更新により、Pacemaker のプロセス間通信 (IPC) コードが強化され、固定のバッファー制限なしで大きなメッセージを処理できるようになりました。
その結果、PCMK_ipc_buffer 設定が不要になり、非推奨となりました。複雑なクラスターで、コマンドラインツールの応答性が向上し、バッファーサイズエラーがログに記録されなくなりました。
Jira:RHEL-86144[1]
起動または停止時間が長い systemd リソースが正しく処理されるようになりました
この更新前は、Pacemaker は systemd リソースの起動および停止アクションの結果を、一定のタイムアウトを使用してポーリングしていました。リソースの起動または停止にこのタイムアウトよりも長い時間がかかった場合、Pacemaker は誤ってリソースを失敗とマークしていました。
この更新により、Pacemaker は systemd からの DBus メッセージを待ち受け、起動または停止アクションが完了したときに通知を受け取るようになりました。
その結果、Pacemaker は長時間実行される systemd サービスのステータスを正しく検出するようになり、タイムアウトによってリソースが失敗とマークされなくなりました。
Jira:RHEL-71181[1]