3.16. Samba プリントサーバーでの Windows クライアント用の自動プリンタードライバーダウンロードの設定
Windows クライアント用に Samba プリントサーバーを実行している場合は、ドライバーをアップロードし、プリンターを事前設定できます。ユーザーがプリンターに接続すると、Windows により、ドライバーが自動的にクライアントにダウンロードされ、インストールされます。ユーザーがインストールするのに、ローカル管理者の権限を必要としません。また、Windows は、トレイの数などの事前設定済みのドライバー設定を適用します。
このセクションの一部は、Samba Wiki で公開されているドキュメント Setting up Automatic Printer Driver Downloads for Windows Clients に掲載されています。ライセンスは、CC BY 4.0 にあります。著者および貢献者は、Wiki ページの history タブを参照してください。
前提条件
- Samba がプリントサーバーとして設定されている。
3.16.1. プリンタードライバーに関する基本情報
このセクションでは、プリンタードライバーに関する一般的な情報を説明します。
対応しているドライバーモデルのバージョン
Samba は、Windows 2000 以降および Windows Server 2000 以降でサポートされているプリンタードライバーのモデルバージョン 3 のみに対応します。Samba は、Windows 8 および Windows Server 2012 で導入されたドライバーモデルのバージョン 4 には対応していません。ただし、これ以降の Windows バージョンは、バージョン 3 のドライバーにも対応しています。
パッケージ対応ドライバー
Samba は、パッケージ対応ドライバーに対応していません。
アップロードするプリンタードライバーの準備
Samba プリントサーバーにドライバーをアップロードする場合は、以下を行います。
- ドライバーが圧縮形式で提供されている場合は、ドライバーをデプロイメントします。
一部のドライバーでは、Windows ホストにドライバーをローカルにインストールするセットアップアプリケーションを起動する必要があります。特定の状況では、インストーラーはセットアップの実行中にオペレーティングシステムの一時フォルダーに個別のファイルを抽出します。アップロードにドライバーファイルを使用するには、以下のコマンドを実行します。
- インストーラーを起動します。
- 一時フォルダーから新しい場所にファイルをコピーします。
- インストールをキャンセルします。
プリントサーバーへのアップロードをサポートするドライバーは、プリンターの製造元にお問い合わせください。
クライアントに 32 ビットおよび 64 ビットのプリンター用ドライバーを提供
32 ビットと 64 ビットの両方の Windows クライアントのプリンターにドライバーを提供するには、両方のアーキテクチャーに対して、同じ名前のドライバーをアップロードする必要があります。たとえば、32 ビットのドライバー Example PostScript
および 64 ビットのドライバー Example PostScript (v1.0)
をアップロードする場合は、その名前が一致しません。その結果、ドライバーのいずれかをプリンターに割り当てることしかできなくなり、両方のアーキテクチャーでそのドライバーが使用できなくなります。
3.16.2. ユーザーがドライバーをアップロードおよび事前設定できるようにする
プリンタードライバーをアップロードおよび事前設定できるようにするには、ユーザーまたはグループに SePrintOperatorPrivilege
特権が付与されている必要があります。printadmin
グループにユーザーを追加する必要があります。Red Hat Enterprise Linux に samba
パッケージをインストールすると、このグループが自動的に作成されます。printadmin
グループには、1000 未満で利用可能な一番小さい動的システムの GID が割り当てられます。
手順
たとえば、
SePrintOperatorPrivilege
権限をprintadmin
グループに付与するには、以下のコマンドを実行します。# net rpc rights grant "printadmin" SePrintOperatorPrivilege -U "DOMAIN\administrator" Enter DOMAIN\administrator's password: Successfully granted rights.
注記ドメイン環境では、
SePrintOperatorPrivilege
をドメイングループに付与します。これにより、ユーザーのグループメンバーシップを更新し、権限を集中的に管理できます。SePrintOperatorPrivilege
が付与されているユーザーとグループのリストを表示するには、以下を実行します。# net rpc rights list privileges SePrintOperatorPrivilege -U "DOMAIN\administrator" Enter administrator's password: SePrintOperatorPrivilege: BUILTIN\Administrators DOMAIN\printadmin
3.16.4. クライアントが Samba プリントサーバーを信頼できるようにする GPO の作成
セキュリティー上の理由から、最新の Windows オペレーティングシステムでは、クライアントが、信頼できないサーバーから、パッケージ対応ではないプリンタードライバーをダウンロードできないようにします。プリントサーバーが AD のメンバーである場合は、Samba サーバーを信頼するために、ドメインに Group Policy Object (GPO) を作成できます。
前提条件
- Samba プリントサーバーが、AD ドメインのメンバーである。
- GPO の作成に使用する Windows コンピューターに、RSAT (Windows Remote Server Administration Tools) がインストールされている。詳細は、Windows のドキュメントを参照してください。
手順
-
AD ドメインの
管理者
ユーザーなど、グループポリシーの編集が可能なアカウントを使用して、Windows コンピューターにログインします。 -
Group Policy Management Console
を開きます。 AD ドメインを右クリックし、
Create a GPO in this domain, and Link it here
を選択します。-
Legacy Printer Driver Policy
などの GPO の名前を入力して、OK
をクリックします。新しい GPO がドメインエントリーの下に表示されます。 -
新たに作成した GPO を右クリックして
Edit
を選択し、Group Policy Management Editor
を開きます。 の順にクリックします。 ウィンドウの右側で、
Point and Print Restriction
をダブルクリックして、ポリシーを編集します。ポリシーを有効にし、以下のオプションを設定します。
-
Users can only point and print to these servers
を選択し、このオプションの横にあるフィールドに、Samba プリントサーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を入力します。 Security Prompts
の両チェックボックスで、Do not show warning or elevation prompt
を選択します。
-
- OK をクリックします。
Package Point and Print - Approved servers
をダブルクリックして、ポリシーを編集します。-
ポリシーを有効にして、
Show
ボタンをクリックします。 Samba プリントサーバーの FQDN を入力します。
-
OK
をクリックして、Show Contents
ウィンドウとポリシーのプロパティーウィンドウの両方を閉じます。
-
ポリシーを有効にして、
-
Group Policy Management Editor
を閉じます。 -
Group Policy Management Console
を閉じます。
Windows ドメインメンバーがこのグループポリシーを適用すると、ユーザーがプリンターに接続する際に、プリンタードライバーが Samba サーバーから自動的にダウンロードされます。
関連情報
- グループポリシーの使用については、Windows のドキュメントを参照してください。
3.16.5. ドライバーのアップロードおよびプリンターの事前設定
Windows クライアントで Print Management
アプリケーションを使用してドライバーをアップロードし、Samba プリントサーバーでホストされるプリンターを事前設定します。詳細は、Windows のドキュメントを参照してください。