第4章 新機能
ここでは、Red Hat Enterprise Linux 9.2 に追加された新機能および主要な機能拡張を説明します。
4.1. インストーラーおよびイメージの作成
Image Builder Web コンソールでブループリントとイメージを作成するための新しく改良された方法
この機能強化により、イメージビルダーツールの統合バージョンにアクセスできるようになり、ユーザーエクスペリエンスが大幅に向上しました。
Image Builder ダッシュボード GUI の注目すべき機能強化は次のとおりです。
- カーネル、ファイルシステム、ファイアウォール、ロケール、その他のカスタマイズなど、これまで CLI のみでサポートされていたすべてのカスタマイズを使用してブループリントをカスタマイズできるようになりました。
-
ブループリントを
.JSON
または.TOML
形式でアップロードまたはドラッグすることでブループリントをインポートし、インポートされたブループリントからイメージを作成できます。 -
ブループリントを
.JSON
または.TOML
形式でエクスポートまたは保存することもできます。 - 並べ替え、フィルタリングが可能で、大文字と小文字が区別されるブループリントリストにアクセスします。
Image Builder ダッシュボードを使用して、次のタブに移動してブループリント、イメージ、ソースにアクセスできるようになりました。
- ブループリント - ブループリントタブで、ブループリントをインポート、エクスポート、または削除できるようになりました。
イメージ - イメージタブでは、次のことができます。
- イメージをダウンロードします。
- イメージログをダウンロードします。
- イメージを削除します。
ソース - ソースタブでは、次のことができます。
- イメージをダウンロードします。
- イメージログをダウンロードします。
- イメージのソースを作成します。
- イメージを削除します。
Jira:RHELPLAN-139448
/etc
ディレクトリーにカスタマイズされたファイルとディレクトリーを作成する機能
この機能強化により、2 つの新しいブループリントのカスタマイズが利用可能になりました。[[customizations.files]]
および [[customizations.directories]]
ブループリントのカスタマイズを使用すると、イメージの /etc
ディレクトリーにカスタマイズされたファイルとディレクトリーを作成できます。現在、これらのカスタマイズは /etc
ディレクトリーのみで使用できます。
[[customizations.directories]]
を使用すると、次のことが可能になります。
- 新しいディレクトリーを作成する
- ディレクトリーのユーザーとグループの所有権を設定する
- モード許可を 8 進数形式で設定する
[[customizations.files]]
ブループリントのカスタマイズを使用すると、次のことが可能になります。
-
親の
/
ディレクトリーの下に新しいファイルを作成する - 既存のファイルの変更 - これにより、既存のコンテンツが上書きされます。
- 作成しているファイルのユーザーとグループの所有権を設定する
- モード許可を 8 進数形式で設定する
新しいブループリントのカスタマイズは、edge-container
、edge-commit
などのすべてのイメージタイプでサポートされます。edge-raw-image
、edge-installer
、edge-simplified-installer
などのインストーラーイメージの作成に使用されるブループリントではカスタマイズはサポートされません。
Jira:RHELPLAN-147428
simplified-installer
イメージのブループリントでユーザーを指定する機能
以前は、簡易インストーラーイメージのブループリントを作成するときに、カスタマイズが使用されずに破棄されたため、ブループリントのカスタマイズでユーザーを指定できませんでした。今回の更新により、ブループリントからイメージを作成すると、インストール時にこのブループリントによって /usr/lib/passwd
ディレクトリーにユーザーが作成され、/usr/etc/shadow
ディレクトリーにパスワードが作成されます。ブループリント用に作成したユーザー名とパスワードを使用してデバイスにログインできます。システムにアクセスした後、useradd
コマンドなどでユーザーを作成する必要があることに注意してください。
Jira:RHELPLAN-149091
イメージビルダーで構築された .vhd
イメージの 64 ビット ARM のサポート
以前は、イメージビルダーツールで作成された Microsoft Azure .vhd
イメージは、64 ビット ARM アーキテクチャーではサポートされていませんでした。この更新プログラムでは、64 ビット ARM Microsoft Azure .vhd
イメージのサポートが追加され、イメージビルダーを使用して .vhd
イメージを構築し、Microsoft Azure クラウドにアップロードできるようになりました。
Jira:RHELPLAN-139424
最小限の RHEL インストールでは、s390utils-core
パッケージのみがインストールされるようになる
RHEL 8.4 以降では、s390utils-base
パッケージは、s390utils-core
パッケージと補助 s390utils-base
パッケージに分割されています。そのため、RHEL インストールを minimal-environment
に設定すると、必要な s390utils-core
パッケージのみがインストールされ、補助 s390utils-base
パッケージはインストールされません。最小限の RHEL インストールで s390utils-base
パッケージを使用する場合は、RHEL インストールの完了後にパッケージを手動でインストールするか、キックスタートファイルを使用して s390utils-base
を明示的にインストールする必要があります。
Bugzilla:1932480