7.9. ネットワーク RHEL システムロールを使用した特定のサブネットから別のデフォルトゲートウェイへのトラフィックのルーティング
ポリシーベースのルーティングを使用して、特定のサブネットからのトラフィックに対して別のデフォルトゲートウェイを設定できます。たとえば、デフォルトルートを使用してすべてのトラフィックをインターネットプロバイダー A にルーティングするルーターとして RHEL を設定できます。ただし、内部ワークステーションサブネットから受信したトラフィックはプロバイダー B にルーティングされます。
ポリシーベースのルーティングをリモートで複数のノードに設定するには、RHEL network
システムロールを使用できます。Ansible コントロールノードで以下の手順を実行します。
この手順では、次のネットワークトポロジーを想定しています。
前提条件
- 制御ノードと管理対象ノードを準備している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとして制御ノードにログインします。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントには、そのノードに対する
sudo
権限があります。 - この Playbook を実行する管理対象のノードまたは管理対象のノードのグループは、Ansible インベントリーファイルにリストされています。
-
管理対象ノードは、
NetworkManager
およびfirewalld
サービスを使用します。 設定する管理対象ノードには、次の 4 つのネットワークインターフェイスがあります。
-
enp7s0
インターフェイスはプロバイダー A のネットワークに接続されます。プロバイダーのネットワークのゲートウェイ IP は198.51.100.2
で、ネットワークは/30
ネットワークマスクを使用します。 -
enp1s0
インターフェイスはプロバイダー B のネットワークに接続されます。プロバイダーのネットワークのゲートウェイ IP は192.0.2.2
で、ネットワークは/30
ネットワークマスクを使用します。 -
enp8s0
インターフェイスは、内部ワークステーションで10.0.0.0/24
サブネットに接続されています。 -
enp9s0
インターフェイスは、会社のサーバーで203.0.113.0/24
サブネットに接続されています。
-
-
内部ワークステーションのサブネット内のホストは、デフォルトゲートウェイとして
10.0.0.1
を使用します。この手順では、この IP アドレスをルーターのenp8s0
ネットワークインターフェイスに割り当てます。 -
サーバーサブネット内のホストは、デフォルトゲートウェイとして
203.0.113.1
を使用します。この手順では、この IP アドレスをルーターのenp9s0
ネットワークインターフェイスに割り当てます。
手順
~/pbr.yml
などの Playbook ファイルを次の内容で作成します。Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow Playbook を実行します。
ansible-playbook ~/pbr.yml
# ansible-playbook ~/pbr.yml
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow
検証
内部ワークステーションサブネットの RHEL ホストで、以下を行います。
traceroute
パッケージをインストールします。dnf install traceroute
# dnf install traceroute
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow traceroute
ユーティリティーを使用して、インターネット上のホストへのルートを表示します。traceroute redhat.com
# traceroute redhat.com traceroute to redhat.com (209.132.183.105), 30 hops max, 60 byte packets 1 10.0.0.1 (10.0.0.1) 0.337 ms 0.260 ms 0.223 ms 2 192.0.2.1 (192.0.2.1) 0.884 ms 1.066 ms 1.248 ms ...
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow コマンドの出力には、ルーターがプロバイダー B のネットワークである
192.0.2.1
経由でパケットを送信することが表示されます。
サーバーのサブネットの RHEL ホストで、以下を行います。
traceroute
パッケージをインストールします。dnf install traceroute
# dnf install traceroute
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow traceroute
ユーティリティーを使用して、インターネット上のホストへのルートを表示します。traceroute redhat.com
# traceroute redhat.com traceroute to redhat.com (209.132.183.105), 30 hops max, 60 byte packets 1 203.0.113.1 (203.0.113.1) 2.179 ms 2.073 ms 1.944 ms 2 198.51.100.2 (198.51.100.2) 1.868 ms 1.798 ms 1.549 ms ...
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow コマンドの出力には、ルーターがプロバイダー A のネットワークである
198.51.100.2
経由でパケットを送信することが表示されます。
RHEL システムロールを使用して設定した RHEL ルーターで、次の手順を実行します。
ルールの一覧を表示します。
ip rule list
# ip rule list 0: from all lookup local 5: from 10.0.0.0/24 lookup 5000 32766: from all lookup main 32767: from all lookup default
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow デフォルトでは、RHEL には、
local
テーブル、main
テーブル、およびdefault
テーブルのルールが含まれます。テーブル
5000
のルートを表示します。ip route list table 5000
# ip route list table 5000 0.0.0.0/0 via 192.0.2.2 dev enp1s0 proto static metric 100 10.0.0.0/24 dev enp8s0 proto static scope link src 192.0.2.1 metric 102
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow インターフェイスとファイアウォールゾーンを表示します。
firewall-cmd --get-active-zones
# firewall-cmd --get-active-zones external interfaces: enp1s0 enp7s0 trusted interfaces: enp8s0 enp9s0
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow external
ゾーンでマスカレードが有効になっていることを確認します。Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow