第6章 ホストアグリゲートの作成と管理
クラウド管理者は、パフォーマンスおよび管理目的で、コンピュートのデプロイメントを論理グループに分割することができます。Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) では、論理グループへの分割に以下のメカニズムを使用することができます。
- ホストアグリゲート
ホストアグリゲートとは、ハードウェアやパフォーマンス特性などの属性に基づいてコンピュートノードを論理的なユニットにグループ化したものです。コンピュートノードを 1 つまたは複数のホストアグリゲートに割り当てることができます。
ホストアグリゲートでメタデータを設定してフレーバーおよびイメージをホストアグリゲートにマッピングし、続いてフレーバーの追加スペックまたはイメージのメタデータ属性をホストアグリゲートのメタデータにマッチングすることができます。必要なフィルターが有効な場合、Compute スケジューラーはこのメタデータを使用してインスタンスのスケジューリングを行うことができます。ホストアグリゲートで指定するメタデータは、ホストの使用をフレーバーまたはイメージで指定するメタデータと同じメタデータのインスタンスに限定します。
ホストアグリゲートのメタデータで
xxx_weight_multiplier
設定オプションを定義することで、それぞれのホストアグリゲートに重みの乗数を設定することができます。ホストアグリゲートを使用して、負荷分散の処理、物理的な分離または冗長性の適用、共通の属性を持つサーバーのグループ化、ハードウェアのクラス分け等を行うことができます。
ホストアグリゲートを作成する際に、ゾーン名を指定することができます。この名前は、クラウドユーザーが選択することのできるアベイラビリティーゾーンとして提示されます。
- アベイラビリティーゾーン
アベイラビリティーゾーンは、ホストアグリゲートのクラウドユーザー側のビューです。クラウドユーザーは、アベイラビリティーゾーンに属するコンピュートノードやアベイラビリティーゾーンのメタデータを把握することはできません。クラウドユーザーは、アベイラビリティーゾーンの名前を見ることしかできません。
それぞれのコンピュートノードは、1 つのアベイラビリティーゾーンにしか割り当てることができません。デフォルトのアベイラビリティーゾーンを設定することができます。クラウドユーザーがゾーンを指定しない場合、インスタンスはこのアベイラビリティーゾーンにスケジューリングされます。特定の機能を持つアベイラビリティーゾーンを使用するように、クラウドユーザーに指示することができます。
6.1. ホストアグリゲートでのスケジューリングの有効化
特定の属性を持つホストアグリゲートにインスタンスをスケジュールするには、Compute スケジューラーの設定を更新し、ホストアグリゲートのメタデータに基づく絞り込みを有効にします。
手順
- Compute 環境ファイルを開きます。
NovaSchedulerDefaultFilters
パラメーターにまだ以下の値がなければ、値を追加します。AggregateInstanceExtraSpecsFilter
: フレーバーの追加スペックに一致するホストアグリゲートメタデータでコンピュートノードを絞り込むには、この値を追加します。注記このフィルターが想定どおりに機能するには、
extra_specs
キーにaggregate_instance_extra_specs:
名前空間の接頭辞を指定して、フレーバーの追加スペックのスコープを定義する必要があります。AggregateImagePropertiesIsolation
: イメージメタデータ属性に一致するホストアグリゲートメタデータでコンピュートノードを絞り込むには、この値を追加します。注記イメージメタデータ属性を使用してホストアグリゲートのメタデータを絞り込むには、ホストアグリゲートメタデータキーが有効なイメージメタデータ属性と一致する必要があります。有効なイメージメタデータプロパティーの詳細は、Creating and Managing Images ガイドの Image metadata を参照してください。
AvailabilityZoneFilter
: インスタンスの起動時にアベイラビリティーゾーンで絞り込むには、この値を追加します。注記Compute スケジューラーサービスのフィルター
AvailabilityZoneFilter
を使用する代わりに、Placement サービスを使用してアベイラビリティーゾーンの要求を処理することができます。詳細は、Filtering by availability zone using the Placement service を参照してください。
- 更新内容を Compute 環境ファイルに保存します。
その他の環境ファイルと共に Compute 環境ファイルをスタックに追加して、オーバークラウドをデプロイします。
(undercloud)$ openstack overcloud deploy --templates \ -e [your environment files] \ -e /home/stack/templates/<compute_environment_file>.yaml