第10章 802.1Q VLAN タグの設定
VLAN を作成するには、親インターフェイス と呼ばれるインターフェイスの上に別のインターフェイスを作成します。VLAN インターフェイスは、パケットがインターフェイスを通過する際に VLAN ID でタグ付けし、返信パケットの場合はタグを外します。VLAN インターフェイスは他のインターフェイスと同様に設定することができます。親インターフェイスはイーサネットインターフェイスである必要はありません。802.1Q VLAN タグインターフェイスは、ブリッジ、ボンド、およびチームインターフェイスの上に作成することができますが、以下の点に注意してください。
- ボンド上に VLAN を作成した場合は、ボンドにポートがあり、VLAN インターフェイスをアクティブにする前にそれらが 「up」 になっていることが重要です。ポートのないボンドに VLAN インターフェイスを追加しても機能しません。
- VLAN 仮想デバイスは、親の新規 MAC アドレスに一致するように MAC アドレスを変更できないため、
fail_over_mac=follow
オプションが指定されたボンディングで VLAN ポートを設定することはできません。この場合、トラフィックは間違ったソースの MAC アドレスで送信されます。 - VLAN のタグ付けがされたパケットをネットワークスイッチ経由で送信するには、スイッチを適切に設定する必要があります。たとえば、複数の VLAN からタグ付けされたパケットを受け付けるには、Cisco スイッチ上のポートは 1 つの VLAN に割り当てられているか、トランクポートになるように設定されている必要があります。一部ベンダーのスイッチでは、トランクポートが ネイティブ VLAN のタグ付けされていないフレームを処理することが許されます。一部のデバイスでは、ネイティブ VLAN を有効または無効にすることができますが、他のデバイスでは、デフォルトでは無効になっています。この相違が原因となり、異なる 2 つのスイッチ間で ネイティブ VLAN の誤設定が生じ、セキュリティーリスクが発生する可能があります。以下に例を示します。あるスイッチは ネイティブ VLAN 1 を使用し、他のスイッチは ネイティブ VLAN 10 を使用するとします。タグが挿入されずにフレームの通過が許可されると、攻撃者は VLAN 間をジャンプすることができます。この一般的なネットワーク侵入方法は、VLAN ホッピング とも呼ばれています。セキュリティーリスクを最小限に抑えるためには、インターフェイスを以下のように設定します。
- スイッチ
- 必要でない限り、トランクポートを無効にする。
- トランクポートが必要な場合は、タグ付けされていないフレームが許可されないように ネイティブ VLAN を無効にする。
- Red Hat Enterprise Linux サーバー
- nftables ユーティリティーまたは ebtables ユーティリティーを使用して、入力フィルターリングでタグ付けされていないフレームをドロップします。
- 古いネットワークインターフェイスカードやループバックインターフェイス、Wimax カードや InfiniBand デバイスのなかには、VLAN 非対応 といって、VLAN をサポートできないものもあります。これは通常、これらのデバイスがタグ付けされたパケットに関連する VLAN ヘッダーや大きい MTU サイズに対応できないためです。
注記
Red Hat では、VLAN 上へのボンディング設定をサポートしていません。詳細については、Red Hat ナレッジベースの記事 『VLAN 上にポートインターフェイスとしてボンディングを設定することは有効か』 を参照してください。
10.1. VLAN インターフェイス設定方式の選択
- NetworkManager のテキストユーザーインターフェイスツール nmtui を使用して VLAN インターフェイスを設定するに は、に進みます。 「テキスト形式のユーザーインターフェイス nmtui を使った 802.1Q VLAN タグの設定」
- NetworkManager のコマンドラインツール nmcli を使用して VLAN インターフェイスを設定するに は、に進みます。 「コマンドラインツール nmcli を使った 802.1Q VLAN タグの設定」
- ネットワークインターフェイスを手動で設定するには、「コマンドラインを使用した 802.1Q VLAN タグの設定」を参照してください。
- グラフィカルユーザーインターフェイスツールを使ってネットワークを設定するには、「GUI を使用した 802.1Q VLAN タグの設定」に進みます。