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25.3. SR-IOV ネットワーク Operator の設定

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Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) ネットワーク Operator は、クラスターで SR-IOV ネットワークデバイスおよびネットワーク割り当てを管理します。

25.3.1. SR-IOV Network Operator の設定

  • すべての SR-IOV Operator コンポーネントをデプロイするには、SriovOperatorConfig カスタムリソース (CR) を作成します。

    1. 次の YAML を使用して、sriovOperatorConfig.yaml という名前のファイルを作成します。

      apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1
      kind: SriovOperatorConfig
      metadata:
        name: default
        namespace: openshift-sriov-network-operator
      spec:
        disableDrain: false
        enableInjector: true
        enableOperatorWebhook: true
        logLevel: 2
      注記

      SriovOperatorConfig リソースの有効な名前は default のみであり、Operator がデプロイされている namespace 内にある必要があります。

    2. 次のコマンドを実行して、リソースを作成します。

      $ oc apply -f sriovOperatorConfig.yaml

25.3.1.1. SR-IOV Network Operator config カスタムリソース

sriovoperatorconfig カスタムリソースのフィールドは、以下の表で説明されています。

表25.2 SR-IOV Network Operator config カスタムリソース
フィールド説明

metadata.name

string

SR-IOV Network Operator インスタンスの名前を指定します。デフォルト値は default です。別の値を設定しないでください。

metadata.namespace

string

SR-IOV Network Operator インスタンスの namespace を指定します。デフォルト値は openshift-sriov-network-operator です。別の値を設定しないでください。

spec.configDaemonNodeSelector

string

選択されたノードで SR-IOV Network Config Daemon のスケジューリングを制御するノードの選択オプションを指定します。デフォルトでは、このフィールドは設定されておらず、Operator はワーカーノードに SR-IOV Network Config デーモンセットを配置します。

spec.disableDrain

boolean

新しいポリシーを適用してノードに NIC を設定する時に、ノードドレインプロセスを無効にするか、有効にするかを指定します。このフィールドを true に設定すると、ソフトウェアの開発や OpenShift Container Platform の単一ノードへのインストールが容易になります。デフォルトでは、このフィールドは設定されていません。

シングルノードクラスターの場合は、Operator のインストール後にこのフィールドを true に設定します。このフィールドは必ず true に設定してください。

spec.enableInjector

boolean

Network Resources Injector デーモンセットを有効にするか無効にするかを指定します。デフォルトでは、このフィールドは true に設定されています。

spec.enableOperatorWebhook

boolean

Operator Admission Controller の Webhook デーモンセットを有効にするか無効にするかを指定します。デフォルトでは、このフィールドは true に設定されています。

spec.logLevel

integer

Operator のログの冗長度を指定します。0 に設定すると、基本的なログのみを表示します。2 に設定すると、利用可能なすべてのログが表示されます。デフォルトでは、このフィールドは 2 に設定されています。

25.3.1.2. Network Resources Injector について

Network Resources Injector は Kubernetes Dynamic Admission Controller アプリケーションです。これは、以下の機能を提供します。

  • SR-IOV リソース名を SR-IOV ネットワーク割り当て定義アノテーションに従って追加するための、Pod 仕様でのリソース要求および制限の変更。
  • Pod のアノテーション、ラベル、および Huge Page の要求および制限を公開するための Downward API ボリュームでの Pod 仕様の変更。Pod で実行されるコンテナーは、公開される情報に /etc/podnetinfo パスでファイルとしてアクセスできます。

デフォルトで、Network Resources Injector は SR-IOV Network Operator によって有効にされ、すべてのコントロールプレーンノードでデーモンセットとして実行されます。以下は、3 つのコントロールプレーンノードを持つクラスターで実行される Network Resources Injector Pod の例です。

$ oc get pods -n openshift-sriov-network-operator

出力例

NAME                                      READY   STATUS    RESTARTS   AGE
network-resources-injector-5cz5p          1/1     Running   0          10m
network-resources-injector-dwqpx          1/1     Running   0          10m
network-resources-injector-lktz5          1/1     Running   0          10m

25.3.1.3. SR-IOV Network Operator Admission Controller Webhook について

SR-IOV Network Operator Admission Controller Webbook は Kubernetes Dynamic Admission Controller アプリケーションです。これは、以下の機能を提供します。

  • 作成時または更新時の SriovNetworkNodePolicy CR の検証
  • CR の作成または更新時の priority および deviceType フィールドのデフォルト値の設定による SriovNetworkNodePolicy CR の変更

デフォルトで、SR-IOV Network Operator Admission Controller Webhook は Operator によって有効にされ、すべてのコントロールプレーンノードでデーモンセットとして実行されます。

注記

SR-IOV Network Operator Admission Controller Webhook を無効にする場合は注意してください。トラブルシューティングなどの特定の状況下や、サポートされていないデバイスを使用する場合は、Webhook を無効にすることができます。サポート対象外のデバイスの設定については、サポート対象外の NIC を使用するための SR-IOV Network Operator の設定 を参照してください。

以下は、3 つのコントロールプレーンノードを持つクラスターで実行される Operator Admission Controller Webhook Pod の例です。

$ oc get pods -n openshift-sriov-network-operator

出力例

NAME                                      READY   STATUS    RESTARTS   AGE
operator-webhook-9jkw6                    1/1     Running   0          16m
operator-webhook-kbr5p                    1/1     Running   0          16m
operator-webhook-rpfrl                    1/1     Running   0          16m

25.3.1.4. カスタムノードセレクターについて

SR-IOV Network Config デーモンは、クラスターノード上の SR-IOV ネットワークデバイスを検出し、設定します。デフォルトで、これはクラスター内のすべての worker ノードにデプロイされます。ノードラベルを使用して、SR-IOV Network Config デーモンが実行するノードを指定できます。

25.3.1.5. Network Resources Injector の無効化または有効化

デフォルトで有効にされている Network Resources Injector を無効にするか、有効にするには、以下の手順を実行します。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。
  • SR-IOV Network Operator がインストールされていること。

手順

  • enableInjector フィールドを設定します。<value>false に置き換えて機能を無効にするか、true に置き換えて機能を有効にします。

    $ oc patch sriovoperatorconfig default \
      --type=merge -n openshift-sriov-network-operator \
      --patch '{ "spec": { "enableInjector": <value> } }'
    ヒント

    または、以下の YAML を適用して Operator を更新することもできます。

    apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1
    kind: SriovOperatorConfig
    metadata:
      name: default
      namespace: openshift-sriov-network-operator
    spec:
      enableInjector: <value>

25.3.1.6. SR-IOV Network Operator Admission Controller Webhook の無効化または有効化

デフォルトで有効化されている受付コントローラー Webhook を無効化または有効化するには、以下の手順を実行します。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。
  • SR-IOV Network Operator がインストールされていること。

手順

  • enableOperatorWebhook フィールドを設定します。<value>false に置き換えて機能を無効するか、true に置き換えて機能を有効にします。

    $ oc patch sriovoperatorconfig default --type=merge \
      -n openshift-sriov-network-operator \
      --patch '{ "spec": { "enableOperatorWebhook": <value> } }'
    ヒント

    または、以下の YAML を適用して Operator を更新することもできます。

    apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1
    kind: SriovOperatorConfig
    metadata:
      name: default
      namespace: openshift-sriov-network-operator
    spec:
      enableOperatorWebhook: <value>

25.3.1.7. SRIOV Network Config Daemon のカスタム NodeSelector の設定

SR-IOV Network Config デーモンは、クラスターノード上の SR-IOV ネットワークデバイスを検出し、設定します。デフォルトで、これはクラスター内のすべての worker ノードにデプロイされます。ノードラベルを使用して、SR-IOV Network Config デーモンが実行するノードを指定できます。

SR-IOV Network Config デーモンがデプロイされるノードを指定するには、以下の手順を実行します。

重要

configDaemonNodeSelector フィールドを更新する際に、SR-IOV Network Config デーモンがそれぞれの選択されたノードに再作成されます。デーモンが再作成されている間、クラスターのユーザーは新規の SR-IOV Network ノードポリシーを適用したり、新規の SR-IOV Pod を作成したりできません。

手順

  • Operator のノードセレクターを更新するには、以下のコマンドを入力します。

    $ oc patch sriovoperatorconfig default --type=json \
      -n openshift-sriov-network-operator \
      --patch '[{
          "op": "replace",
          "path": "/spec/configDaemonNodeSelector",
          "value": {<node_label>}
        }]'

    以下の例のように、<node_label> を適用するラベルに置き換えます: "node-role.kubernetes.io/worker": ""

    ヒント

    または、以下の YAML を適用して Operator を更新することもできます。

    apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1
    kind: SriovOperatorConfig
    metadata:
      name: default
      namespace: openshift-sriov-network-operator
    spec:
      configDaemonNodeSelector:
        <node_label>

25.3.1.8. 単一ノードのインストール用の SR-IOV Network Operator の設定

デフォルトでは、SR-IOV Network Operator は、ポリシーを変更するたびに、ノードからワークロードをドレイン (解放) します。Operator は、このアクションを実行して、再設定する前に Virtual Function を使用しているワークロードがないことを確認します。

1 つのノードにインストールする場合には、ワークロードを受信するノードは他にありません。そのため、Operator は、単一のノードからワークロードがドレインされないように設定する必要があります。

重要

以下の手順を実行してワークロードのドレインを無効にした後に、SR-IOV ネットワークインターフェイスを使用しているワークロードを削除してから SR-IOV ネットワークノードのポリシーを変更する必要があります。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。
  • SR-IOV Network Operator がインストールされていること。

手順

  • disableDrain フィールドを true に設定し、configDaemonNodeSelector フィールドを node-role.kubernetes.io/master: "" に設定するには、以下のコマンドを入力します。

    $ oc patch sriovoperatorconfig default --type=merge -n openshift-sriov-network-operator --patch '{ "spec": { "disableDrain": true, "configDaemonNodeSelector": { "node-role.kubernetes.io/master": "" } } }'
    ヒント

    または、以下の YAML を適用して Operator を更新することもできます。

    apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1
    kind: SriovOperatorConfig
    metadata:
      name: default
      namespace: openshift-sriov-network-operator
    spec:
      disableDrain: true
      configDaemonNodeSelector:
       node-role.kubernetes.io/master: ""

25.3.1.9. Hosted Control Plane 用の SR-IOV Operator のデプロイ

重要

AWS プラットフォーム上の Hosted Control Plane は、テクノロジープレビュー機能です。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品サポートのサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではない場合があります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビュー機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。

Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。

ホスティングサービスクラスターを設定してデプロイすると、ホストされたクラスターで SR-IOV Operator へのサブスクリプションを作成できます。SR-IOV Pod は、コントロールプレーンではなくワーカーマシンで実行されます。

前提条件

AWS 上でホストされたクラスターを設定およびデプロイしている。詳細は、AWS 上でのホストクラスターの設定 (テクノロジープレビュー) を参照してください。

手順

  1. namespace と Operator グループを作成します。

    apiVersion: v1
    kind: Namespace
    metadata:
      name: openshift-sriov-network-operator
    ---
    apiVersion: operators.coreos.com/v1
    kind: OperatorGroup
    metadata:
      name: sriov-network-operators
      namespace: openshift-sriov-network-operator
    spec:
      targetNamespaces:
      - openshift-sriov-network-operator
  2. SR-IOV Operator へのサブスクリプションを作成します。

    apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
    kind: Subscription
    metadata:
      name: sriov-network-operator-subsription
      namespace: openshift-sriov-network-operator
    spec:
      channel: stable
      name: sriov-network-operator
      config:
        nodeSelector:
          node-role.kubernetes.io/worker: ""
      source: s/qe-app-registry/redhat-operators
      sourceNamespace: openshift-marketplace

検証

  1. SR-IOV Operator の準備ができていることを確認するには、次のコマンドを実行し、結果の出力を表示します。

    $ oc get csv -n openshift-sriov-network-operator

    出力例

    NAME                                         DISPLAY                   VERSION               REPLACES                                     PHASE
    sriov-network-operator.4.16.0-202211021237   SR-IOV Network Operator   4.16.0-202211021237   sriov-network-operator.4.16.0-202210290517   Succeeded

  2. SR-IOV Pod がデプロイされていることを確認するには、次のコマンドを実行します。

    $ oc get pods -n openshift-sriov-network-operator

25.3.2. 次のステップ

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