1.2. 論理ボリューム
ボリューム管理によって、物理ストレージ上に抽象化レイヤーが作成され、論理ストレージボリュームを作成できるようになります。これは、物理ストレージディレクトリーを使用するよりもはるかに高い柔軟性を数々の方法で提供します。論理ボリュームが作成されると、物理ディスクのサイズに制限されなくなります。また、ハードウェアストレージ設定は、ソフトウェアには表示されないので、アプリケーションを停止したりファイルシステムをアンマウントせずに、サイズ変更や移動が可能になります。これにより運用コストを削減することができます。
論理ボリュームは、物理ストレージを直接使用する場合と比較して、以下のような利点があります。
- 容量の柔軟性論理ボリュームを使用している場合、ディスクとパーティションを 1 つの論理ボリュームに集約できるため、ファイルシステムを複数のディスクにまたがって拡張することが可能です。
- サイズ変更可能なストレージプール基礎となるディスクデバイスを再フォーマットしたり、再パーティションせずに、簡単なソフトウェアコマンドを使用して論理ボリュームのサイズを拡大したり縮小したりすることができます。
- オンラインでのデータの再配置より新しく、迅速で、障害耐性の高いストレージサブシステムを導入するために、システムがアクティブな状態でもデータを移動することができます。データはディスクが使用中の場合でもディスク上で再配置できます。たとえば、ホットスワップ可能なディスクを削除する前に空にすることができます。
- 便宜上のデバイスの命名論理ストレージボリュームは、ユーザー定義のグループで管理することができ、便宜上命名することができます。
- ディスクのストライピング2 つ以上のディスクにまたがってデータをストライプ化する論理ボリュームを作成することができます。これにより、スループットが大幅に向上します。
- ボリュームのミラーリング論理ボリュームはデータのミラーを設定する上で便利な方法を提供します。
- ボリュームスナップショット論理ボリュームを使用すると、一貫性のあるバックアップのためにデバイススナップショットを取ったり、実際のデータに影響を及ぼすことなく変更の効果をテストすることができます。
LVM でのこれらの機能の実装については、本ガイドの後半で説明しています。