6.4. 物理ボリュームメタデータの復元
物理ボリュームのボリュームグループのメタデータ領域が誤って上書きされたり、破棄されたりする場合は、メタデータ領域が正しくないこと、またはシステムが特定の UUID で物理ボリュームを見つけることができないことを示すエラーメッセージが出されます。物理ボリュームのデータの復元は、紛失したメタデータと同じ UUID を指定して、物理ボリューム上に新規のメタデータ領域を書き込むことによって実行できる場合があります。
警告
機能している LVM 論理ボリュームについては、この手順を試みないでください。間違った UUID を指定するとデータ損失の原因となります。
以下の例は、メタデータ領域が見つからなかったり、破損している場合に表示される出力の種類を示しています。
# lvs -a -o +devices
Couldn't find device with uuid 'FmGRh3-zhok-iVI8-7qTD-S5BI-MAEN-NYM5Sk'.
Couldn't find all physical volumes for volume group VG.
Couldn't find device with uuid 'FmGRh3-zhok-iVI8-7qTD-S5BI-MAEN-NYM5Sk'.
Couldn't find all physical volumes for volume group VG.
...
上書きされている物理ボリュームの UUID は、
/etc/lvm/archive
ディレクトリーで見つけることができます。該当するボリュームの最後にアーカイブ化された有効な LVM メタデータについて VolumeGroupName_xxxx.vg
ファイルを確認します。
別の方法としては、そのボリュームを非アクティブ化止して、
partial
(-P
) 引数を設定することにより、見つからないかまたは破損した物理ボリュームの UUID を見つけることができます。
# vgchange -an --partial
Partial mode. Incomplete volume groups will be activated read-only.
Couldn't find device with uuid 'FmGRh3-zhok-iVI8-7qTD-S5BI-MAEN-NYM5Sk'.
Couldn't find device with uuid 'FmGRh3-zhok-iVI8-7qTD-S5BI-MAEN-NYM5Sk'.
...
pvcreate
コマンドで、--uuid
と --restorefile
引数を使用して、物理ボリュームを復元します。以下の例では、/dev/sdh1
デバイスを上記の UUID (FmGRh3-zhok-iVI8-7qTD-S5BI-MAEN-NYM5Sk
) を持つ物理ボリュームとしてラベル付けします。このコマンドは、ボリュームグループ用の最近の正しいアーカイブのメタデータ VG_00050.vg
に含まれているメタデータ情報で、物理ボリュームラベルを復元します。restorefile
引数は、pvcreate
コマンドに対して、ボリュームグループ上の古いものと互換性のある新規物理ボリュームを作るように指示し、新規のメタデータが古い物理ボリュームに含まれていたデータの場所に配置されないように確認します。(これは、たとえば元の pvcreate
コマンドが、メタデータの配置を制御をするコマンドライン引数を使用していた場合や、物理ボリュームが複数の異なるデフォルトを使用するソフトウェアの別バージョンを使用して作成されていた場合などに発生する可能性があります)。pvcreate
コマンドは LVM メタデータ領域のみを上書きし、既存のデータ領域には影響を与えません。
# pvcreate --uuid "FmGRh3-zhok-iVI8-7qTD-S5BI-MAEN-NYM5Sk" --restorefile /etc/lvm/archive/VG_00050.vg /dev/sdh1
Physical volume "/dev/sdh1" successfully created
その後に
vgcfgrestore
コマンドを使用して、ボリュームグループのメタデータを復元することができます。
# vgcfgrestore VG
Restored volume group VG
これで論理ボリュームが表示できるようになります。
# lvs -a -o +devices
LV VG Attr LSize Origin Snap% Move Log Copy% Devices
stripe VG -wi--- 300.00G /dev/sdh1 (0),/dev/sda1(0)
stripe VG -wi--- 300.00G /dev/sdh1 (34728),/dev/sdb1(0)
以下のコマンドはボリュームをアクティブ化して、アクティブになったボリュームを表示します。
#lvchange -ay /dev/VG/stripe
[root@link-07 backup]#lvs -a -o +devices
LV VG Attr LSize Origin Snap% Move Log Copy% Devices stripe VG -wi-a- 300.00G /dev/sdh1 (0),/dev/sda1(0) stripe VG -wi-a- 300.00G /dev/sdh1 (34728),/dev/sdb1(0)
オンディスク LVM メタデータがそれを書き換えるデータと同じ容量である場合、このコマンドで物理ボリュームを復元できます。メタデータの書き換えがメタデータ領域を超える場合、ボリューム上のデータは影響を受ける可能性があります。そのデータを復元するには、
fsck
コマンドを使用することができます。