第1章 Device Mapper を使ったマルチパス設定
Device Mapper のマルチパス (DM Multipath) を使用すると、サーバーノードとストレージアレイとの間の複数の I/O パスを 1 つのデバイスに設定できます。これらの I/O パスは、個別のケーブル、スイッチ、コントローラーを含むことができる物理的な SAN 接続です。複数の I/O パスを集め、集めたパスで設定される新しいデバイスを 1 つ作成するのがマルチパス機能です。
この章では、Red Hat Enterprise Linux 7 の初期リリースの後に追加された DM-Multipath の機能についてまとめています。また、DM-Multipath および各コンポーネントについての高水準の概要、DM-Multipath の設定についての概要についても説明しています。
1.1. 新機能と変更点
本項では、Red Hat Enterprise Linux 7 の初期リリース以降の DM Multipath の新機能について説明します。
1.1.1. Red Hat Enterprise Linux 7.1 の新機能および変更された機能
Red Hat Enterprise Linux 7.1 には、ドキュメントや機能を対象とする以下の更新および変更が含まれています。
- 表5.1「便利な multipath コマンドのオプション」 に、multipath コマンドの -w と -W のオプションに関する説明が加えられています。このオプションを使用すると wwids ファイルの管理が容易になります。
- 表4.1「マルチパス設定の defaults セクション」 に
force_sync
パラメーターの説明が加えられています。このパラメーターを yes に設定すると、パスチェッカーが非同期モードでは実行されなくなります。
さらに、ドキュメント全体にわたり、技術的な内容の若干の修正と明確化を行いました。
1.1.2. Red Hat Enterprise Linux 7.2 の新機能および変更された機能
Red Hat Enterprise Linux 7.2 ではドキュメントと機能が以下のように更新/変更されています。
- 本書には新しい項 「Multipath Helper で自動設定ファイルの生成」 が加えられました。Multipath Helper アプリケーションを使用して、カスタムエイリアスとデバイスブラックリストのマルチパス設定や、個々のマルチパスデバイスの特性向け設定を作成できます。
multipath.conf
設定ファイルのdefaults
セクションで、パラメーターconfig_dir
、new_bindings_in_boot
、ignore_new_boot_devs
、retrigger_tries
、およびretrigger_delays
がサポートされるようになりました。multipath.conf
ファイルのdefaults
セクションの詳細は、表4.1「マルチパス設定の defaults セクション」 を参照してください。multipath.conf
設定ファイルのdefaults
、devices
、multipaths
のセクションで、設定パラメーターdelay_watch_checks
およびdelay_wait_checks
がサポートされるようになりました。設定パラメーターの詳細は、4章DM Multipath 設定ファイルを参照してください。
さらに、ドキュメント全体にわたり、技術的な内容の若干の修正と明確化を行いました。
1.1.3. Red Hat Enterprise Linux 7.3 の新機能および変更された機能
Red Hat Enterprise Linux 7.3 ではドキュメントと機能が以下のように更新、変更されています。
- multipathd コマンドが、"raw" 形式のバージョンでマルチパスデバイスとパスのステータスを表示する新しい形式のコマンドをサポートするようになりました。raw 形式ではヘッダーは出力されず、フィールドがパッディングされていないため、列とヘッダーが調整されていません。代わりに、フィールドは format 文字列の指定どおりに出力します。multipathd コマンドの詳細は、「multipathd コマンド」 を参照してください。
- Red Hat Enterprise Linux 7.3 以降、デバイス設定で
prio "alua exclusive_pref_bit"
を指定すると、マルチパスがpref
ビットセットのパスのみを含むパスグループを作成し、このパスグループに最高の優先度を与えるようになります。設定パラメーターの詳細は、4章DM Multipath 設定ファイルを参照してください。 multipath.conf
設定ファイルのdefaults
、devices
、multipaths
の各セクションでskip_kpartx
設定パラメーターがサポートされるようになりました。設定パラメーターの詳細は、4章DM Multipath 設定ファイルを参照してください。
さらに、ドキュメント全体にわたり、技術的な内容の若干の修正と明確化を行いました。
1.1.4. Red Hat Enterprise Linux 7.4 の新機能および変更された機能
Red Hat Enterprise Linux 7.4 では、ドキュメントと機能が以下のように更新、変更されています。
multipath.conf
設定ファイルのdefaults
、devices
、multipaths
の各セクションで、max_sectors_kb
設定パラメーターをサポートするようになりました。設定パラメーターの詳細は、4章DM Multipath 設定ファイルを参照してください。multipath.conf
設定ファイルのdefaults
セクションおよびdevices
セクションで、detect_path_checker
設定パラメーターをサポートするようになりました。設定パラメーターの詳細は、4章DM Multipath 設定ファイルを参照してください。multipath.conf
設定ファイルのdefaults
セクションで、remove_retries
パラメーターとdetect_path_checker
パラメーターをサポートするようになりました。multipath.conf
ファイルのdefaults
セクションの詳細は、表4.1「マルチパス設定の defaults セクション」 を参照してください。
1.1.5. Red Hat Enterprise Linux 7.5 の新機能および変更された機能
Red Hat Enterprise Linux 7.5 では、ドキュメントと機能が以下のように更新、変更されています。
- Red Hat Enterprise Linux 7.5 より、
multipath.conf
設定ファイルのblacklist
およびblacklist_exceptions
セクションがproperty
パラメーターをサポートするようになりました。property
パラメーターの詳細は「ブラックリストから除外」を参照してください。 multipath.conf
設定ファイルのdefaults
およびmultipaths
セクションがreservation_key
パラメーターのfile
の値をサポートするようになりました。設定パラメーターの詳細は、4章DM Multipath 設定ファイルを参照してください。multipath.conf
設定ファイルのdefaults
セクションはprkeys_file
パラメーターをサポートします。multipath.conf
ファイルのdefaults
セクションの詳細は、表4.1「マルチパス設定の defaults セクション」 を参照してください。
1.1.6. Red Hat Enterprise Linux 7.6 の新機能および変更された機能
Red Hat Enterprise Linux 7.6 では、ドキュメントと機能が以下のように更新、変更されています。
- Red Hat Enterprise Linux 7.6 より、設定ファイルの
blacklist
セクションでprotocol
セクションを使用すると、マルチパス化から除外するデバイスのプロトコルを指定することができます。デバイスプロトコルでブラックリストに指定する方法については、「デバイスプロトコルでブラックリストの指定 (Red Hat Enterprise Linux 7.6 以上)」を参照してください。 multipath.conf
設定ファイルのdefaults
およびdevices
セクションは、all_tg_pt
パラメーターをサポートします。設定パラメーターの詳細は、4章DM Multipath 設定ファイルを参照してください。