15.3. XFS のエラー処理メカニズム
本セクションでは、XFS がファイルシステム内のさまざまな種類のエラーを処理する方法を説明します。
不完全なアンマウント
ジャーナリングは、ファイルシステムで発生したメタデータの変更のトランザクション記録を保持します。
システムクラッシュ、電源障害、またはその他の不完全なアンマウントが発生した場合、XFS はジャーナル (ログとも呼ばれる) を使用してファイルシステムを復旧します。カーネルは XFS ファイルシステムをマウントするときにジャーナルの復旧を実行します。
破損
この文脈での 破損 は、次のような原因によるファイルシステムのエラーを意味します。
- ハードウェア障害
- ストレージファームウェア、デバイスドライバー、ソフトウェアスタック、またはファイルシステム自体のバグ
- ファイルシステムの一部が、ファイルシステム外の何かにより上書きされる問題
XFS は、ファイルシステムまたはファイルシステムメタデータの破損を検出すると、ファイルシステムをシャットダウンして、システムログにインシデントを報告することがあります。/var
ディレクトリーが置かれているファイルシステムで破損が発生すると、このログは再起動後に利用できなくなります。
例15.1 XFS の破損を報告するシステムログエントリー
# dmesg --notime | tail -15 XFS (loop0): Mounting V5 Filesystem XFS (loop0): Metadata CRC error detected at xfs_agi_read_verify+0xcb/0xf0 [xfs], xfs_agi block 0x2 XFS (loop0): Unmount and run xfs_repair XFS (loop0): First 128 bytes of corrupted metadata buffer: 00000000027b3b56: 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 ................ 000000005f9abc7a: 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 ................ 000000005b0aef35: 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 ................ 00000000da9d2ded: 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 ................ 000000001e265b07: 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 ................ 000000006a40df69: 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 ................ 000000000b272907: 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 ................ 00000000e484aac5: 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 ................ XFS (loop0): metadata I/O error in "xfs_trans_read_buf_map" at daddr 0x2 len 1 error 74 XFS (loop0): xfs_imap_lookup: xfs_ialloc_read_agi() returned error -117, agno 0 XFS (loop0): Failed to read root inode 0x80, error 11
ユーザー空間ユーティリティーは通常、破損した XFS ファイルシステムにアクセスしようとすると Input/output error メッセージを報告します。破損したログを使用して XFS ファイルシステムをマウントすると、マウントに失敗し、次のエラーメッセージが表示されます。
mount: /mount-point: mount(2) system call failed: Structure needs cleaning.
破損を修復するには、手動で xfs_repair
ユーティリティーを使用する必要があります。
関連情報
-
システムの
xfs_repair (8)
man ページ