6.15. 仮想マシンの高可用性による稼働時間の向上
6.15.1. 高可用性とは
重要なワークロードを実行する仮想マシンには、高可用性の使用が推奨されます。高可用性の仮想マシンは、以下のシナリオの場合など、プロセスが中断されると、元のホストまたはクラスター内の別のホストのいずれかで自動的に再起動されます。
- ハードウェアの故障によりホストが稼働しなくなった。
- ホストが、スケジュールされたダウンタイムとしてメンテナンスモードに移行した。
- 外部のストレージリソースとの通信が失われたため、ホストが利用できなくなった。
以下のシナリオの場合など、適切にシャットダウンした場合には、高可用性の仮想マシンは再起動されません。
- 仮想マシンがゲスト内からシャットダウンされた。
- 仮想マシンが Manager からシャットダウンされた。
- まずメンテナンスモードに移行することなく、管理者がホストをシャットダウンした。
ストレージドメイン V4 以降では、仮想マシンには、ストレージの特別なボリュームのリースを取得する追加機能があり、元のホストの電源がオフになった場合でも別のホストで仮想マシンを起動できます。この機能により、仮想マシンが 2 つの異なるホストで起動する (仮想マシンのディスクが破損する可能性がある) のを防ぐこともできます。
高可用性により、仮想マシンはユーザーの介入を必要とせずに数秒以内に再起動されるため、サービスの中断は最小限に抑えられます。高可用性は、現在のリソース使用率が低いホストでゲストを再起動するか、設定した負荷分散または省電力ポリシーに基づいてゲストを再起動して、リソースのバランスを維持します。これにより、常に仮想マシンを再起動するのに十分な容量が確保されます。
高可用性およびストレージ I/O エラー
ストレージ I/O エラーが発生すると、仮想マシンは一時停止されます。ストレージドメインとの接続が再確立された後に、ホストがどのように高可用性の仮想マシンを処理するかを定義できます。再開する、強制的にシャットダウンする、または一時停止を維持する、のいずれかです。これらのオプションの詳細は、仮想マシンの高可用性設定 を参照してください。
6.15.2. 高可用性に関する考慮事項
高可用性ホストには、電源管理デバイスとフェンシングパラメーターが必要です。さらに、ホストが機能しなくなった場合に、仮想マシンの高可用性を確保するには、クラスター内の別の利用可能なホストで起動する必要があります。高可用性仮想マシンの移行を有効にするための条件は以下のとおりです。
- 高可用性仮想マシンを実行しているホストには電源管理を設定する。
- 高可用性仮想マシンを実行しているホストは、他の利用可能なホストを持つクラスターに含まれる。
- 移行先ホストが実行中である。
- 移行元および移行先のホストが、仮想マシンが存在するデータドメインにアクセスできる。
- 移行元ホストと移行先のホストが、同じ仮想ネットワークおよび VLAN にアクセスできる。
- 移行先ホストに、仮想マシンの要件を満たすのに十分な未使用の CPU がある。
- 移行先ホストに、仮想マシンの要件を満たすのに十分な未使用の RAM がある。
6.15.3. 高可用性仮想マシンの設定
高可用性は、仮想マシンごとに個別に設定する必要があります。
手順
-
をクリックし、仮想マシンを選択します。 - をクリックします。
- High Availability タブをクリックします。
- Highly Available チェックボックスを選択して、仮想マシンの高可用性を有効にします。
Target Storage Domain for VM Lease ドロップダウンリストから、仮想マシンのリースを保持するストレージドメインを選択するか、No VM Lease を選択して機能を無効にします。仮想マシンのリースに関する詳細は、高可用性とは を参照してください。
重要この機能は、V4 以降のストレージドメインでのみ利用できます。
- Resume Behavior ドロップダウンリストから AUTO_RESUME、LEAVE_PAUSED、または KILL を選択します。仮想マシンのリースを定義している場合、KILL が利用可能な唯一のオプションになります。詳細は、仮想マシンの High Availability 設定に関する説明 を参照してください。
- Priorityドロップダウンリストから Low、Medium、または High を選択します。移行がトリガーされると、キューが作成されて優先度の高い仮想マシンが最初に移行されます。クラスターのリソースが不足している場合は、優先度の高い仮想マシンのみが移行されます。
- をクリックします。