1.2. VDO デプロイメントシナリオ
VDO は、様々な方法でデプロイして、以下に対して、重複排除したストレージを提供できます。
- ブロックおよびファイルアクセスの両方
- ローカルストレージおよびリモートストレージの両方
VDO は、標準の Linux ブロックデバイスとして重複排除したストレージを公開するため、そのストレージを標準ファイルシステム、iSCSI および FC のターゲットドライバー、または統合ストレージとして使用できます。
現在、Ceph RADOS ブロックデバイス (RBD) 上での VDO ボリュームのデプロイがサポートされています。ただし、VDO ボリューム上での Red Hat Ceph Storage クラスターコンポーネントのデプロイは現在サポートされていません。
KVM
DAS (Direct Attached Storage) を使用して設定した KVM サーバーに VDO をデプロイできます。
ファイルシステム
VDO にファイルシステムを作成して、NFS サーバーまたは Samba で、NFS ユーザーまたは CIFS ユーザーに公開します。
iSCSI への VDO の配置
VDO ストレージターゲット全体を、iSCSI ターゲットとしてリモート iSCSI イニシエーターにエクスポートできます。
iSCSI で VDO ボリュームを作成する場合は、VDO ボリュームを iSCSI レイヤーの上または下に配置できます。考慮すべき点はたくさんありますが、ここでは、環境に最適な方法を選択するのに役立つガイドラインをいくつか示します。
VDO ボリュームを iSCSI レイヤーの下の iSCSI サーバー (ターゲット) に配置する場合:
- VDO ボリュームは、他の iSCSI LUN と同様に、イニシエーターに対して透過的です。シンプロビジョニングとスペースの節約をクライアントから隠すことで、LUN の外観の監視と保守が容易になります。
- VDO メタデータの読み取りまたは書き込みがないため、ネットワークトラフィックが減少し、重複排除アドバイスの読み取り検証がネットワーク全体で発生しません。
- iSCSI ターゲットで使用されているメモリーと CPU リソースにより、パフォーマンスが向上する可能性があります。たとえば、iSCSI ターゲットでボリュームの削減が行われているため、ハイパーバイザーの数を増やすことができます。
- クライアントがイニシエーターに暗号化を実装し、ターゲットの下に VDO ボリュームがある場合、スペースの節約は実現しません。
VDO ボリュームを iSCSI レイヤーの上の iSCSI クライアント (イニシエーター) に配置する場合:
- 高いスペース節約率を達成する場合、ASYNC モードでネットワーク全体のネットワークトラフィックが低下する可能性があります。
- スペースの節約を直接表示および制御し、使用状況を監視できます。
-
たとえば、
dm-crypt
を使用してデータを暗号化する場合は、暗号の上に VDO を実装して、スペース効率を利用できます。
LVM
より機能豊富なシステムでは、LVM を使用して、重複排除した同じストレージプールですべて対応している複数の論理ユニット番号 (LUN) を提供できます。
以下の図は、VDO ターゲットが物理ボリュームとして登録されるため、LVM で管理できます。複数の論理ボリューム (LV1 から LV4) が、重複排除したストレージプールから作成されます。これにより、VDO は、基となる重複排除したストレージプールへのマルチプロトコル統合ブロックまたはファイルアクセスに対応できます。
重複排除した統合ストレージ設計により、複数のファイルシステムが、LVM ツールを介して同じ重複排除ドメインを共同で使用できます。また、ファイルシステムは、LVM スナップショット、コピーオンライト、縮小機能、拡大機能、および VDO にある全機能を利用できます。
暗号化
DM Crypt などのデバイスマッパー (DM) メカニズムは VDO と互換性があります。VDO ボリュームの暗号化により、データセキュリティーと、VDO にある全ファイルシステムが重複排除されるようになります。
VDO で暗号化層を適用すると、データの重複排除が行われてもほとんど行われません。暗号化により、VDO が重複を排除する前に、重複ブロックを変更します。
常に VDO の下に暗号化層を配置します。