第31章 クラスターメンテナンスの実行
クラスターのノードでメンテナンスを実行するには、そのクラスターで実行しているリソースおよびサービスを停止するか、移行する必要がある場合があります。または、サービスを変更しない状態で、クラスターソフトウェアの停止が必要になる場合があります。Pacemaker は、システムメンテナンスを実行するための様々な方法を提供します。
- クラスターの別のノードでサービスが継続的に実行している状態で、クラスター内のノードを停止する必要がある場合は、そのクラスターノードをスタンバイモードにすることができます。スタンバイノードのノードは、リソースをホストすることができなくなります。ノードで現在アクティブなリソースは、別のノードに移行するか、(他のノードがそのリソースを実行できない場合は) 停止します。スタンバイモードの詳細は、ノードをスタンバイモードに を参照してください。
リソースを停止せずに、現在実行しているノードから個別のリソースを移行する必要がある場合は、
pcs resource move
コマンドを使用してリソースを別のノードに移行できます。pcs resource move
コマンドを実行すると、現在実行しているノードでそれが実行されないように、制約がリソースに追加されます。リソースを戻す準備ができたら、pcs resource clear
コマンドまたはpcs constraint delete
コマンドを実行して制約を削除できます。ただし、このコマンドを実行しても、リソースが必ずしも元のノードに戻る訳ではありません。その時点でリソースが実行できる場所は、リソースを最初に設定した方法によって異なるためです。pcs resource relocate run
コマンドを使用すると、リソースを優先ノードに移動できます。-
実行中のリソースを完全に停止し、クラスターが再び起動しないようにする必要がある場合は、
pcs resource disable
コマンドを使用できます。pcs resource disable
コマンドの詳細は、クラスターリソースの無効化、有効化、および禁止 を参照してください。 -
Pacemaker が、リソースに対して何らかのアクションを実行しないようにする場合 (たとえば、リソースのメンテナンス中に復元アクションを無効にする場合や、
/etc/sysconfig/pacemaker
設定をリロードする必要がある場合) は、リソースの非管理モードへの設定 で説明されているようにpcs resource unmanage
コマンドを使用します。Pacemaker Remote 接続リソースは、非管理モードにしないでください。 -
クラスターを、サービスの開始や停止が行われない状態にする必要がある場合は、
maintenance-mode
クラスタープロパティーを設定できます。クラスターをメンテナンスモードにすると、すべてのリソースが自動的に非管理モードになります。メンテナンスモードのクラスターの詳細は クラスターをメンテナンスモードに を参照してください。 - RHEL High Availability Add-On および Resilient Storage Add-On に含まれるパッケージを更新する必要がある場合は、RHEL 高可用性クラスターの更新 で説明されているように、一度に 1 つのパッケージを更新するか、全体のクラスターに対して更新を行うことができます。
- Pacemaker リモートノードでメンテナンスを実行する必要がある場合は、リモートノードおよびゲストノードのアップグレード で説明されているように、リモートノードリソースを無効にすることで、ノードをクラスターから削除できます。
- RHEL クラスターで仮想マシンを移行する必要がある場合は、RHEL クラスターでの仮想マシンの移行 で説明するように、まず仮想マシンでクラスターサービスを停止してクラスターからノードを削除し、移行後にクラスターのバックアップを開始する必要があります。
31.1. ノードをスタンバイモードに
クラスターノードがスタンバイモードになると、ノードがリソースをホストできなくなります。ノードで現在アクティブなリソースは、すべて別のノードに移行されます。
以下のコマンドは、指定ノードをスタンバイモードにします。--all
を指定すると、このコマンドはすべてのノードをスタンバイモードにします。
このコマンドは、リソースのパッケージを更新する場合に使用できます。また、設定をテストして、ノードを実際にシャットダウンせずに復元のシュミレーションを行う場合にも、このコマンドを使用できます。
pcs node standby node | --all
次のコマンドは、指定したノードをスタンバイモードから外します。このコマンドを実行すると、指定ノードはリソースをホストできるようになります。--all
を指定すると、このコマンドはすべてのノードをスタンバイモードから外します。
pcs node unstandby node | --all
pcs resource ban
コマンドを実行すると、指定されたノードでリソースが実行されないことに注意してください。pcs node unstandby
コマンドを実行すると、指定されたノードでリソースを実行できます。このコマンドを実行しても、リソースが必ずしも指定のノードに戻る訳ではありません。その時点でリソースが実行できる場所は、リソースを最初に設定した方法によって異なります。