7.2. クラスターでの暗号化 GFS2 ファイルシステムの設定
次の手順で、LUKS で暗号化した GFS2 ファイルシステムを含む Pacemaker クラスターを作成できます。この例では、論理ボリュームに 1 つの GFS2 ファイルシステムを作成し、そのファイルシステムを暗号化します。暗号化された GFS2 ファイルシステムは、LUKS 暗号化に対応する crypt
リソースエージェントを使用してサポートされます。
この手順は、以下の 3 つの部分で設定されます。
- Pacemaker クラスター内で共有論理ボリュームを設定する
-
論理ボリュームを暗号化して
crypt
リソースを作成する - GFS2 ファイルシステムで暗号化された論理ボリュームをフォーマットしてクラスター用のファイルシステムリソースを作成する
7.2.2. 論理ボリュームの暗号化および暗号化リソースの作成
前提条件
- Pacemaker クラスターに共有論理ボリュームを設定している。
手順
クラスター内の 1 つのノードで、crypt キーを含めて新しいファイルを作成し、ファイルにパーミッションを設定して root でのみ読み取りできるようにします。
[root@z1 ~]# touch /etc/crypt_keyfile [root@z1 ~]# chmod 600 /etc/crypt_keyfile
crypt キーを作成します。
[root@z1 ~]# dd if=/dev/urandom bs=4K count=1 of=/etc/crypt_keyfile 1+0 records in 1+0 records out 4096 bytes (4.1 kB, 4.0 KiB) copied, 0.000306202 s, 13.4 MB/s [root@z1 ~]# scp /etc/crypt_keyfile root@z2.example.com:/etc/
-p
パラメーターを使用して設定したパーミッションを保持した状態で、cript キーファイルをクラスター内の他のノードに配布します。[root@z1 ~]# scp -p /etc/crypt_keyfile root@z2.example.com:/etc/
LVM ボリュームに暗号化デバイスを作成して、暗号化された GFS2 ファイルシステムを設定します。
[root@z1 ~]# cryptsetup luksFormat /dev/shared_vg1/shared_lv1 --type luks2 --key-file=/etc/crypt_keyfile WARNING! ======== This will overwrite data on /dev/shared_vg1/shared_lv1 irrevocably. Are you sure? (Type 'yes' in capital letters): YES
shared_vg1
ボリュームグループの一部として crypt リソースを作成します。[root@z1 ~]# pcs resource create crypt --group shared_vg1 ocf:heartbeat:crypt crypt_dev="luks_lv1" crypt_type=luks2 key_file=/etc/crypt_keyfile encrypted_dev="/dev/shared_vg1/shared_lv1"
検証
crypt リソースが crypt デバイスを作成していることを確認します。この例では crypt デバイスは /dev/mapper/luks_lv1
です。
[root@z1 ~]# ls -l /dev/mapper/
...
lrwxrwxrwx 1 root root 7 Mar 4 09:52 luks_lv1 -> ../dm-3
...
7.2.3. GFS2 ファイルシステムで暗号化された論理ボリュームをフォーマットしてクラスター用のファイルシステムリソースを作成します。
前提条件
- 論理ボリュームを暗号化し、crypt リソースを作成している。
手順
クラスター内の 1 つのノードで、GFS2 ファイルシステムを使用してボリュームをフォーマットします。ファイルシステムをマウントするノードごとに、ジャーナルが 1 つ必要になります。クラスター内の各ノードに十分なジャーナルを作成してください。ロックテーブル名の形式は、ClusterName:FSName です。ClusterName は、GFS2 ファイルシステムが作成されているクラスターの名前です。FSname はファイルシステム名です。これは、クラスター経由のすべての
lock_dlm
ファイルシステムで一意である必要があります。[root@z1 ~]# mkfs.gfs2 -j3 -p lock_dlm -t my_cluster:gfs2-demo1 /dev/mapper/luks_lv1 /dev/mapper/luks_lv1 is a symbolic link to /dev/dm-3 This will destroy any data on /dev/dm-3 Are you sure you want to proceed? [y/n] y Discarding device contents (may take a while on large devices): Done Adding journals: Done Building resource groups: Done Creating quota file: Done Writing superblock and syncing: Done Device: /dev/mapper/luks_lv1 Block size: 4096 Device size: 4.98 GB (1306624 blocks) Filesystem size: 4.98 GB (1306622 blocks) Journals: 3 Journal size: 16MB Resource groups: 23 Locking protocol: "lock_dlm" Lock table: "my_cluster:gfs2-demo1" UUID: de263f7b-0f12-4d02-bbb2-56642fade293
ファイルシステムリソースを作成し、GFS2 ファイルシステムをすべてのノードに自動的にマウントします。
ファイルシステムは Pacemaker のクラスターリソースとして管理されるため、
/etc/fstab
ファイルには追加しないでください。マウントオプションは、options=options
を使用してリソース設定の一部として指定できます。すべての設定オプションを確認する場合は、pcs resource describe Filesystem
コマンドを実行します。以下のコマンドは、ファイルシステムのリソースを作成します。このコマンドは、対象のファイルシステムの論理ボリュームリソースを含むリソースグループに、リソースを追加します。
[root@z1 ~]# pcs resource create sharedfs1 --group shared_vg1 ocf:heartbeat:Filesystem device="/dev/mapper/luks_lv1" directory="/mnt/gfs1" fstype="gfs2" options=noatime op monitor interval=10s on-fail=fence
検証
GFS2 ファイルシステムが、クラスターの両方のノードにマウントされていることを確認します。
[root@z1 ~]# mount | grep gfs2 /dev/mapper/luks_lv1 on /mnt/gfs1 type gfs2 (rw,noatime,seclabel) [root@z2 ~]# mount | grep gfs2 /dev/mapper/luks_lv1 on /mnt/gfs1 type gfs2 (rw,noatime,seclabel)
クラスターのステータスを確認します。
[root@z1 ~]# pcs status --full Cluster name: my_cluster [...] Full list of resources: smoke-apc (stonith:fence_apc): Started z1.example.com Clone Set: locking-clone [locking] Resource Group: locking:0 dlm (ocf::pacemaker:controld): Started z2.example.com lvmlockd (ocf::heartbeat:lvmlockd): Started z2.example.com Resource Group: locking:1 dlm (ocf::pacemaker:controld): Started z1.example.com lvmlockd (ocf::heartbeat:lvmlockd): Started z1.example.com Started: [ z1.example.com z2.example.com ] Clone Set: shared_vg1-clone [shared_vg1] Resource Group: shared_vg1:0 sharedlv1 (ocf::heartbeat:LVM-activate): Started z2.example.com crypt (ocf::heartbeat:crypt) Started z2.example.com sharedfs1 (ocf::heartbeat:Filesystem): Started z2.example.com Resource Group: shared_vg1:1 sharedlv1 (ocf::heartbeat:LVM-activate): Started z1.example.com crypt (ocf::heartbeat:crypt) Started z1.example.com sharedfs1 (ocf::heartbeat:Filesystem): Started z1.example.com Started: [z1.example.com z2.example.com ] ...
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