第4章 Pacemaker を使用した Red Hat High Availability クラスターの作成
以下の手順では、pcs
コマンドラインインターフェイスを使用して、2 ノードの Red Hat High Availability クラスターを作成します。
この例では、クラスターを設定するために、システムに以下のコンポーネントを追加する必要があります。
-
クラスターを作成するのに使用する 2 つのノード。この例では、使用されるノードは
z1.example.com
およびz2.example.com
です。 - プライベートネットワーク用のネットワークスイッチ。クラスターノード同士の通信、およびその他のクラスターハードウェア (ネットワーク電源スイッチやファイバーチャネルスイッチなど) との通信にプライベートネットワークを使用することが推奨されますが、必須ではありません。
-
クラスターの各ノード用のフェンシングデバイス。この例では、APC 電源スイッチの 2 ポートを使用します。ホスト名は
zapc.example.com
です。
設定が Red Hat のサポートポリシーに準拠していることを確認する必要があります。Red Hat のサポートポリシー、要件、および制限の詳細は、RHEL 高可用性クラスターのサポートポリシー を参照してください。
4.1. クラスターソフトウェアのインストール
以下の手順では、クラスターソフトウェアをインストールし、システムでクラスターの作成を設定するように設定します。
手順
クラスター内の各ノードで、システムアーキテクチャーに対応する高可用性のリポジトリーを有効にします。たとえば、x86_64 システムの高可用性リポジトリーを有効にするには、以下の
subscription-manager
コマンドを入力します。# subscription-manager repos --enable=rhel-9-for-x86_64-highavailability-rpms
クラスターの各ノードに、Red Hat High Availability Add-On ソフトウェアパッケージと、使用可能なすべてのフェンスエージェントを、High Availability チャンネルからインストールします。
# dnf install pcs pacemaker fence-agents-all
または、次のコマンドを実行して、Red Hat High Availability Add-On ソフトウェアパッケージと、必要なフェンスエージェントのみをインストールすることもできます。
# dnf install pcs pacemaker fence-agents-model
次のコマンドは、利用できるフェンスエージェントのリストを表示します。
# rpm -q -a | grep fence fence-agents-rhevm-4.0.2-3.el7.x86_64 fence-agents-ilo-mp-4.0.2-3.el7.x86_64 fence-agents-ipmilan-4.0.2-3.el7.x86_64 ...
警告Red Hat High Availability Add-On パッケージをインストールしたら、自動的に何もインストールされないように、ソフトウェア更新設定を行う必要があります。実行中のクラスターにインストールすると、予期しない動作が発生する可能性があります。詳細は RHEL 高可用性またはレジリエントストレージクラスターにソフトウェア更新を適用するのに推奨されるプラクティス を参照してください。
firewalld
デーモンを実行している場合は、次のコマンドを実行して、Red Hat High Availability Add-On で必要なポートを有効にします。注記firewalld
デーモンがシステムにインストールされているかどうかを確認する場合は、rpm -q firewalld
コマンドを実行します。firewalld デーモンがインストールされている場合は、firewall-cmd --state
コマンドで、実行しているかどうかを確認できます。# firewall-cmd --permanent --add-service=high-availability # firewall-cmd --add-service=high-availability
注記クラスターコンポーネントの理想的なファイアウォール設定は、ローカル環境によって異なります。ここでは、ノードに複数のネットワークインターフェイスがあるかどうか、オフホストのファイアウォールがあるかどうかを検討しないといけない場合があります。この例では、Pacemaker クラスターで通常必要となるポートを開きますが、ローカル条件に合わせて変更する必要があります。High Availability Add-On のポートの有効化 では、Red Hat High Availability Add-On で有効にするポートと、各ポートの使用目的が説明されています。
pcs
を使用してクラスターの設定やノード間の通信を行うため、pcs
の管理アカウントとなるユーザー IDhacluster
のパスワードを各ノードに設定する必要があります。hacluster
ユーザーのパスワードは、各ノードで同じにすることが推奨されます。# passwd hacluster Changing password for user hacluster. New password: Retype new password: passwd: all authentication tokens updated successfully.
クラスターを設定する前に、各ノードで、システムの起動時に
pcsd
デーモンを起動できるように、デーモンを起動して有効にしておく必要があります。このデーモンは、pcs
コマンドで動作し、クラスターのノード全体で設定を管理します。クラスターの各ノードで次のコマンドを実行して、システムの起動時に
pcsd
サービスが起動し、pcsd
が有効になるように設定します。# systemctl start pcsd.service # systemctl enable pcsd.service