8.2. フローティング IP を使用する HTTP ロードバランサーの作成
セキュアでない HTTP アプリケーションのネットワークトラフィックを管理するには、Floating IP に依存する仮想 IP (VIP) によるロードバランサーを作成することができます。Floating IP を使用する利点は、割り当てられた IP の制御を維持することです。このことは、ロードバランサーを移動、破棄、または再作成する場合に必要です。バックエンドメンバーを利用できる状態に保つためのヘルスモニターも作成するのがベストプラクティスです。
Floating IP は IPv6 ネットワークでは機能しません。
前提条件
- ロードバランサー VIP で使用するフローティング IP。
- フローティング IP に使用するためにインターネットから到達できる Red Hat OpenStack Platform Networking サービス (neutron) 共有外部 (パブリック) サブネット。
手順
Source コマンドで認証情報ファイルを読み込みます。
例
$ source ~/overcloudrc
プライベートサブネット (
private_subnet
) にロードバランサー (lb1
) を作成します。注記丸かっこ内の値は、この手順のコマンド例で使用されるサンプルの値です。これらのサンプル値を、実際のサイトに適した値に置き換えてください。
例
$ openstack loadbalancer create --name lb1 \ --vip-subnet-id private_subnet --wait
-
後のステップで指定する必要があるため、ステップ 2 の出力で
load_balancer_vip_port_id
の値をメモします。 ポート (
80
) にリスナー (listener1
) を作成します。例
$ openstack loadbalancer listener create --name listener1 \ --protocol HTTP --protocol-port 80 lb1
リスナーのデフォルトプール (
pool1
) を作成します。例
この例のコマンドは、TCP ポート 80 で非セキュアな HTTP アプリケーションをホストするバックエンドサーバーを含むプライベートサブネットを使用する HTTP プールを作成します。
$ openstack loadbalancer pool create --name pool1 \ --lb-algorithm ROUND_ROBIN --listener listener1 --protocol HTTP
プール (
pool1
) 上に型がHTTP
のヘルスモニター (healthmon1
) を作成し、バックエンドサーバーに接続してパス (/
) をテストします。ヘルスチェックは推奨されていますが、必須ではありません。ヘルスモニターが定義されていない場合、メンバーサーバーは
ONLINE
とみなされます。例
$ openstack loadbalancer healthmonitor create --name healthmon1 \ --delay 15 --max-retries 4 --timeout 10 --type HTTP --url-path / pool1
プライベートサブネットのロードバランサーメンバー (
192.0.2.10
および192.0.2.11
) をデフォルトのプールに追加します。例
この例では、バックエンドサーバー
192.0.2.10
および192.0.2.11
の名前は、それぞれmember1
およびmember2
です。$ openstack loadbalancer member create --name member1 --subnet-id \ private_subnet --address 192.0.2.10 --protocol-port 80 pool1 $ openstack loadbalancer member create --name member2 --subnet-id \ private_subnet --address 192.0.2.11 --protocol-port 80 pool1
共有外部サブネット (
public
) に Floating IP アドレスを作成します。例
$ openstack floating ip create public
-
後のステップで指定する必要があるため、ステップ 8 の出力で
float_ip_address
の値をメモします。 このフローティング IP (
203.0.113.0
) をロードバランサーvip_port_id
(69a85edd-5b1c-458f-96f2-b4552b15b8e6
) に関連付けます。例
$ openstack floating ip set --port 69a85edd-5b1c-458f-96f2-b4552b15b8e6 203.0.113.0
検証
HTTP トラフィックが Floating IP (
203.0.113.0
) を使用してロードバランサー全体に流れることを確認します。例
$ curl -v http://203.0.113.0 --insecure
出力例
* About to connect() to 203.0.113.0 port 80 (#0) * Trying 203.0.113.0... * Connected to 203.0.113.0 (203.0.113.0) port 80 (#0) > GET / HTTP/1.1 > User-Agent: curl/7.29.0 > Host: 203.0.113.0 > Accept: */* > < HTTP/1.1 200 OK < Content-Length: 30 < * Connection #0 to host 203.0.113.0 left intact
ヘルスモニターが存在し正常に機能する場合は、各メンバーのステータスを確認することができます。
動作中のメンバー (
member1
) のoperating_status
値はONLINE
です。例
$ openstack loadbalancer member show pool1 member1
出力例
+---------------------+--------------------------------------+ | Field | Value | +---------------------+--------------------------------------+ | address | 192.0.02.10 | | admin_state_up | True | | created_at | 2022-01-15T11:11:23 | | id | b85c807e-4d7c-4cbd-b725-5e8afddf80d2 | | name | member1 | | operating_status | ONLINE | | project_id | dda678ca5b1241e7ad7bf7eb211a2fd7 | | protocol_port | 80 | | provisioning_status | ACTIVE | | subnet_id | 5bd7334b-49b3-4849-b3a2-b0b83852dba1 | | updated_at | 2022-01-15T11:28:42 | | weight | 1 | | monitor_port | None | | monitor_address | None | | backup | False | +---------------------+--------------------------------------+
関連情報
- コマンドラインインターフェイスリファレンス の loadbalancer
- コマンドラインインターフェイスリファレンス の floating