4.8.2. オブジェクトの選択
このセクションでは、
pvs
、vgs
、および lvs
コマンドを使って LVM オブジェクトについて表示できる情報を一覧表示する一連の表を提供します。
便宜上、フィールド名の接頭辞は、コマンドのデフォルトと一致する場合は省略できます。たとえば、
pvs
コマンドでは、name
は pv_name
、vgs
コマンドでは、name
は vg_name
と解釈されます。
以下のコマンドの実行は、
pvs -o pv_free
の実行に相当します。
# pvs -o free
PFree
17.14G
17.09G
17.14G
注記
pvs
、vgs
、および lvs
出力の属性フィールドにある文字数は、以降のリリースで増加する可能性があります。既存の文字フィールドの位置を変更されませんが、新規フィールドは末尾に追加される可能性があります。特定の属性文字検索について、フィールドの終点に相対的な位置ではなく、フィールドの始点に相対的な位置に基づいて文字検索を行うスクリプトを作成する場合は、これを念頭に入れる必要があります。たとえば、lv_attr
フィールドの 9 番目のビットの文字 p
を検索するには、文字列 "^/........p/" を検索することはできますが、文字列 "/*p$/" を検索することはできません。
pvs コマンド
表4.2「pvs 表示フィールド」 は、
pvs
コマンドの表示引数、ヘッダーに表示されるフィールド名、およびフィールドの説明を一覧にまとめています。
引数 | ヘッダー | 説明 |
---|---|---|
dev_size | DevSize | 物理ボリュームを作成する配下のデバイスのサイズ |
pe_start | 1st PE | 配下のデバイス内の最初の物理エクステントの開始点までのオフセット |
pv_attr | Attr | 物理ボリュームのステータス: (a)llocatable または e(x)ported |
pv_fmt | Fmt | 物理ボリュームのメタデータ形式 (lvm2 または lvm1 ) |
pv_free | PFree | 物理ボリュームにある残りの空き領域 |
pv_name | PV | 物理ボリュームの名前 |
pv_pe_alloc_count | Alloc | 使用されている物理エクステントの数 |
pv_pe_count | PE | 物理エクステントの数 |
pvseg_size | SSize | 物理ボリュームのセグメントサイズ |
pvseg_start | Start | 物理ボリュームセグメントの最初の物理エクステント |
pv_size | PSize | 物理ボリュームのサイズ |
pv_tags | PV Tags | 物理ボリュームに割り当てられた LVM タグ |
pv_used | Used | 物理ボリューム上で現在使用中の領域の量 |
pv_uuid | PV UUID | 物理ボリュームの UUID |
デフォルトで
pvs
コマンドが表示するフィールドは、pv_name
、vg_name
、pv_fmt
、pv_attr
、pv_size
、pv_free
です。表示は pv_name
でソートされます。
# pvs
PV VG Fmt Attr PSize PFree
/dev/sdb1 new_vg lvm2 a- 17.14G 17.14G
/dev/sdc1 new_vg lvm2 a- 17.14G 17.09G
/dev/sdd1 new_vg lvm2 a- 17.14G 17.13G
pvs
コマンドに -v
引数を使用すると、デフォルトの表示に dev_size
および pv_uuid
のフィールドが追加されます。
# pvs -v
Scanning for physical volume names
PV VG Fmt Attr PSize PFree DevSize PV UUID
/dev/sdb1 new_vg lvm2 a- 17.14G 17.14G 17.14G onFF2w-1fLC-ughJ-D9eB-M7iv-6XqA-dqGeXY
/dev/sdc1 new_vg lvm2 a- 17.14G 17.09G 17.14G Joqlch-yWSj-kuEn-IdwM-01S9-XO8M-mcpsVe
/dev/sdd1 new_vg lvm2 a- 17.14G 17.13G 17.14G yvfvZK-Cf31-j75k-dECm-0RZ3-0dGW-tUqkCS
pvs
コマンドに --segments
引数を使用すると、各物理ボリュームセグメントの情報を表示します。セグメントはエクステントの集合です。セグメントの表示は、論理ボリュームがフラグメント化 (断片化) しているかどうかを確認するのに役立ちます。
デフォルトで
pvs --segments
コマンドが表示するフィールドは、pv_name
、vg_name
、pv_fmt
、pv_attr
、pv_size
、pv_free
、pvseg_start
、pvseg_size
です。この表示は、物理ボリューム内で pv_name
と pvseg_size
でソートされます。
# pvs --segments
PV VG Fmt Attr PSize PFree Start SSize
/dev/hda2 VolGroup00 lvm2 a- 37.16G 32.00M 0 1172
/dev/hda2 VolGroup00 lvm2 a- 37.16G 32.00M 1172 16
/dev/hda2 VolGroup00 lvm2 a- 37.16G 32.00M 1188 1
/dev/sda1 vg lvm2 a- 17.14G 16.75G 0 26
/dev/sda1 vg lvm2 a- 17.14G 16.75G 26 24
/dev/sda1 vg lvm2 a- 17.14G 16.75G 50 26
/dev/sda1 vg lvm2 a- 17.14G 16.75G 76 24
/dev/sda1 vg lvm2 a- 17.14G 16.75G 100 26
/dev/sda1 vg lvm2 a- 17.14G 16.75G 126 24
/dev/sda1 vg lvm2 a- 17.14G 16.75G 150 22
/dev/sda1 vg lvm2 a- 17.14G 16.75G 172 4217
/dev/sdb1 vg lvm2 a- 17.14G 17.14G 0 4389
/dev/sdc1 vg lvm2 a- 17.14G 17.14G 0 4389
/dev/sdd1 vg lvm2 a- 17.14G 17.14G 0 4389
/dev/sde1 vg lvm2 a- 17.14G 17.14G 0 4389
/dev/sdf1 vg lvm2 a- 17.14G 17.14G 0 4389
/dev/sdg1 vg lvm2 a- 17.14G 17.14G 0 4389
pvs -a
コマンドを使用して、LVM 物理ボリュームとして初期化されていなかった LVM が検出したデバイスを確認できます。
# pvs -a
PV VG Fmt Attr PSize PFree
/dev/VolGroup00/LogVol01 -- 0 0
/dev/new_vg/lvol0 -- 0 0
/dev/ram -- 0 0
/dev/ram0 -- 0 0
/dev/ram2 -- 0 0
/dev/ram3 -- 0 0
/dev/ram4 -- 0 0
/dev/ram5 -- 0 0
/dev/ram6 -- 0 0
/dev/root -- 0 0
/dev/sda -- 0 0
/dev/sdb -- 0 0
/dev/sdb1 new_vg lvm2 a- 17.14G 17.14G
/dev/sdc -- 0 0
/dev/sdc1 new_vg lvm2 a- 17.14G 17.09G
/dev/sdd -- 0 0
/dev/sdd1 new_vg lvm2 a- 17.14G 17.14G
vgs コマンド
表4.3「vgs 表示フィールド」 は、
vgs
コマンドの表示引数、ヘッダーに表示されるフィールド名、およびフィールドの説明を一覧にまとめています。
引数 | ヘッダー | 説明 |
---|---|---|
lv_count | #LV | ボリュームグループに含まれる論理ボリュームの数 |
max_lv | MaxLV | ボリュームグループ内で許容される論理ボリュームの最大数 (無制限の場合は 0) |
max_pv | MaxPV | ボリュームグループ内で許容される物理ボリュームの最大数 (無制限の場合は 0) |
pv_count | #PV | ボリュームグループを定義する物理ボリューム数 |
snap_count | #SN | ボリュームグループに含まれるスナップショット数 |
vg_attr | Attr | ボリュームグループのステータス: (w)riteable、(r)eadonly、resi(z)eable、e(x)ported、(p)artial、および (c)lustered |
vg_extent_count | #Ext | ボリュームグループ内の物理エクステントの数 |
vg_extent_size | Ext | ボリュームグループ内の物理エクステントのサイズ |
vg_fmt | Fmt | ボリュームグループのメタデータ形式 (lvm2 または lvm1 ) |
vg_free | VFree | ボリュームグループ内の残りの空き領域のサイズ |
vg_free_count | Free | ボリュームグループ内の空き物理エクステントの数 |
vg_name | VG | ボリュームグループ名 |
vg_seqno | Seq | ボリュームグループの改訂を示す番号 |
vg_size | VSize | ボリュームグループのサイズ |
vg_sysid | SYS ID | LVM1 システム ID |
vg_tags | VG Tags | ボリュームグループに割り当てられた LVM タグ |
vg_uuid | VG UUID | ボリュームグループの UUID |
デフォルトで
vgs
コマンドが表示するフィールドは、vg_name
、pv_count
、lv_count
、snap_count
、vg_attr
、vg_size
、vg_free
です。表示は vg_name
でソートされます。
# vgs
VG #PV #LV #SN Attr VSize VFree
new_vg 3 1 1 wz--n- 51.42G 51.36G
vgs
コマンドに -v
引数を使用すると、デフォルトの表示に vg_extent_size
および vg_uuid
のフィールドが追加されます。
# vgs -v
Finding all volume groups
Finding volume group "new_vg"
VG Attr Ext #PV #LV #SN VSize VFree VG UUID
new_vg wz--n- 4.00M 3 1 1 51.42G 51.36G jxQJ0a-ZKk0-OpMO-0118-nlwO-wwqd-fD5D32
lvs コマンド
表4.4「lvs 表示フィールド」 は、
lvs
コマンドの表示引数、ヘッダーに表示されるフィールド名、およびフィールドの説明を一覧にまとめています。
引数 | ヘッダー | 説明 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Chunk | スナップショットボリュームのユニットサイズ | ||||||||||
copy_percent | Copy% | ミラー化論理ボリュームの同期のパーセンテージ。さらに pv_move コマンドで物理エクステントを移動する時にも使用されます。 | ||||||||||
devices | Devices | 論理ボリュームを構成する配下のデバイス: 物理ボリューム、論理ボリューム、および物理エクステントと論理エクステントの開始点 | ||||||||||
lv_attr | Attr | 論理ボリュームのステータス。論理ボリュームの属性ビットは以下のようになります。
| ||||||||||
lv_kernel_major | KMaj | 論理ボリュームの実際のメジャーデバイス番号 (非アクティブの場合は -1) | ||||||||||
lv_kernel_minor | KMIN | 論理ボリュームの実際のマイナーデバイス番号 (非アクティブの場合は -1) | ||||||||||
lv_major | Maj | 論理ボリュームの永続的なメジャーデバイス番号 (未指定の場合は -1) | ||||||||||
lv_minor | Min | 論理ボリュームの永続的なマイナーデバイス番号 (未指定の場合は -1) | ||||||||||
lv_name | LV | 論理ボリュームの名前 | ||||||||||
lv_size | LSize | 論理ボリュームのサイズ | ||||||||||
lv_tags | LV Tags | 論理ボリュームに割り当てられた LVM タグ | ||||||||||
lv_uuid | LV UUID | 論理ボリュームの UUID | ||||||||||
mirror_log | Log | ミラーログが存在するデバイス | ||||||||||
modules | Modules | この論理ボリュームを使用するのに必要な対応するカーネルデバイスマッパーターゲット | ||||||||||
move_pv | Move | pvmove コマンドで作成された一時的な論理ボリュームの元となる物理ボリューム | ||||||||||
origin | Origin | スナップショットボリュームの複製元のデバイス | ||||||||||
| Region | ミラー化論理ボリュームのユニットサイズ | ||||||||||
seg_count | #Seg | 論理ボリューム内のセグメント数 | ||||||||||
seg_size | SSize | 論理ボリューム内のセグメントサイズ | ||||||||||
seg_start | Start | 論理ボリューム内のセグメントのオフセット | ||||||||||
seg_tags | Seg Tags | 論理ボリュームのセグメントに割り当てられた LVM タグ | ||||||||||
segtype | Type | 論理ボリュームのセグメントタイプ (例: ミラー、ストライプ、リニア) | ||||||||||
snap_percent | Snap% | 使用中スナップショットボリュームの現在のパーセンテージ | ||||||||||
stripes | #Str | 論理ボリューム内のストライプ、またはミラーの数 | ||||||||||
| Stripe | ストライプ化論理ボリューム内のストライプのユニットサイズ |
デフォルトで
lvs
コマンドが表示するフィールドは、lv_name
、vg_name
、lv_attr
、lv_size
、origin
、snap_percent
、move_pv
、mirror_log
、copy_percent
、convert_lv
です。デフォルトの表示は、ボリュームグループ内で vg_name
と lv_name
でソートされます。
# lvs
LV VG Attr LSize Origin Snap% Move Log Copy% Convert
lvol0 new_vg owi-a- 52.00M
newvgsnap1 new_vg swi-a- 8.00M lvol0 0.20
lvs
コマンドで -v
引数を使用すると、デフォルトの表示に seg_count
、lv_major
、lv_minor
、lv_kernel_major
、lv_kernel_minor
、lv_uuid
のフィールドが追加されます。
# lvs -v
Finding all logical volumes
LV VG #Seg Attr LSize Maj Min KMaj KMin Origin Snap% Move Copy% Log Convert LV UUID
lvol0 new_vg 1 owi-a- 52.00M -1 -1 253 3 LBy1Tz-sr23-OjsI-LT03-nHLC-y8XW-EhCl78
newvgsnap1 new_vg 1 swi-a- 8.00M -1 -1 253 5 lvol0 0.20 1ye1OU-1cIu-o79k-20h2-ZGF0-qCJm-CfbsIx
lvs
コマンドで --segments
引数を使用すると、セグメント情報を強調したデフォルトのコラムで情報を表示します。segments
引数を使用すると、seg
接頭辞はオプションとなります。デフォルトで lvs --segments
コマンドが表示するフィールドは、lv_name
、vg_name
、lv_attr
、stripes
、segtype
、seg_size
です。デフォルトの表示は、ボリュームグループ内の vg_name
と lv_name
でソートされ、論理ボリューム内では seg_start
でソートされます。論理ボリュームがフラグメント化されている場合、このコマンドの出力は以下を表示します。
# lvs --segments
LV VG Attr #Str Type SSize
LogVol00 VolGroup00 -wi-ao 1 linear 36.62G
LogVol01 VolGroup00 -wi-ao 1 linear 512.00M
lv vg -wi-a- 1 linear 104.00M
lv vg -wi-a- 1 linear 104.00M
lv vg -wi-a- 1 linear 104.00M
lv vg -wi-a- 1 linear 88.00M
lvs --segments
コマンドで -v
引数を使用すると、デフォルトの表示に seg_start
、stripesize
、chunksize
のフィールドが追加されます。
# lvs -v --segments
Finding all logical volumes
LV VG Attr Start SSize #Str Type Stripe Chunk
lvol0 new_vg owi-a- 0 52.00M 1 linear 0 0
newvgsnap1 new_vg swi-a- 0 8.00M 1 linear 0 8.00K
以下の例は、1 つの設定された論理ボリュームを持つシステム上での
lvs
コマンドのデフォルト出力を示しています。その後に、segments
引数を指定した lvs
コマンドのデフォルト出力を表示しています。
#lvs
LV VG Attr LSize Origin Snap% Move Log Copy% lvol0 new_vg -wi-a- 52.00M #lvs --segments
LV VG Attr #Str Type SSize lvol0 new_vg -wi-a- 1 linear 52.00M