第2章 LVM 論理ボリュームマネージャ


この章では、Red Hat Enterprise Linux 6 の初期リリースならびにそれ以降のリリースに新たに組み込まれている LVM 論理ボリュームマネージャの機能についてまとめています。その後に、論理ボリュームマネージャ (LVM) のコンポーネントの概要を大まかに説明します。

2.1. 新機能および変更された機能

このセクションでは、Red Hat Enterprise Linux 6 の初期リリース以降に組み込まれている LVM 論理ボリュームマネージャの新機能および変更された機能について説明します。

2.1.1. Red Hat Enterprise Linux 6.0 で新規追加および変更された機能

Red Hat Enterprise Linux 6.0 では、ドキュメントと機能が以下のように更新/変更されています。
  • lvm.conf ファイルの activation セクション内の mirror_image_fault_policymirror_log_fault_policy のパラメーターを使用して、デバイスに障害が発生した場合にミラー化論理ボリュームがどのように動作するかを定義することができます。このパラメーターが remove に設定されている場合、システムは、障害の発生したデバイスを削除し、そのデバイスなしで稼働を試みます。このパラメーターが allocate に設定されている場合、システムは障害の発生したデバイスを削除し、そのデバイスの代わりとなる新たなデバイス上にスペースの割り当てを試みます。代わりとなる適切なデバイスとスペースを割り当てることができない場合、このポリシーは remove と同様に機能します。LVM のミラー障害ポリシーに関する情報は、「ミラー化論理ボリュームの障害ポリシー」 をご覧ください。
  • Red Hat Enterprise Linux 6 リリースでは、Linux I/O スタックが強化され、ベンダーの提供する I/O 制限情報を処理できるようになりました。これによって、LVM を含むストレージ管理ツールでデータの配置とアクセスを最適化することができます。このサポートは、lvm.conf ファイル内の data_alignment_detectiondata_alignment_offset_detection のデフォルト値を変更することによって無効にすることが可能ですが、このサポートの無効化は推奨されません。
    LVM 内のデータ配置に関する情報ならびに data_alignment_detectiondata_alignment_offset_detection のデフォルト値の変更に関する情報は、/etc/lvm/lvm.conf ファイルのインラインドキュメントをご覧ください。これは、付録B LVM 設定ファイル にも記載されています。Red Hat Enterprise Linux 6 における I/O スタックおよび I/O 制限のサポートに関する概説は、『ストレージ管理ガイド』 をご覧ください。
  • Red Hat Enterprise Linux 6 では、デバイスマッパーが udev 統合に対する直接のサポートを提供します。これによって、デバイスマッパーは、LVM デバイスを含むすべてのデバイスマッパーデバイスに関連したすべての udev 処理と同期化されます。udev デバイスマネージャに対するデバイスマッパーのサポートに関する情報は、「デバイスマッパーの udev デバイスマネージャサポート」 をご覧ください。
  • Red Hat Enterprise Linux 6 リリースでは、ディスク障害発生後に、lvconvert --repair コマンドを使用してミラーを修復することができます。これによって、ミラーが一貫性のある状態に戻ります。lvconvert --repair コマンドに関する情報は、 「ミラー化論理ボリュームの修復」 をご覧ください。
  • Red Hat Enterprise Linux 6 リリースでは、lvconvert コマンドの --merge オプションを使用してスナップショットを複製元のボリュームにマージすることができます。スナップショットのマージに関する情報は、「スナップショットボリュームのマージ」 をご覧ください。
  • Red Hat Enterprise Linux 6 リリースでは、lvconvert コマンドの --splitmirrors 引数を使用してミラー化論理ボリュームの冗長イメージを分割して新たな論理ボリュームを形成することができます。このオプションの使用に関する情報は、「ミラー化論理ボリュームの冗長イメージの分割」 をご覧ください。
  • ミラー化論理デバイスを作成する際に、lvcreate コマンドの --mirrorlog mirrored 引数を使用して、自動的にミラー化されるミラー化論理デバイスのミラーログを作成できるようになりました。このオプションの使用に関する情報は、「ミラー化ボリュームの作成」 をご覧ください。

2.1.2. Red Hat Enterprise Linux 6.1 で新規追加および変更された機能

Red Hat Enterprise Linux 6.1 では、ドキュメントと機能が以下のように更新/変更されています。
  • Red Hat Enterprise Linux 6.1 リリースは、ミラー化論理ボリュームのスナップショット論理ボリューム作成をサポートしています。リニアまたはストライプ化された論理ボリュームの作成と同様に、ミラー化ボリュームのスナップショットを作成することができます。スナップショットボリュームの作成方法については、 「スナップショットボリュームの作成」 をご覧ください。
  • LVM ボリュームを拡張する際には、lvextend コマンドの --alloc cling オプションを使用して、cling 割り当てポリシーを指定することができます。このポリシーによって、同一の物理ボリューム上のスペースが、既存の論理ボリュームの最終セグメントとして選択されます。物理ボリューム上に十分なスペースがなく、タグの一覧が lvm.conf ファイル内で定義されている場合には、LVM は、その物理ボリュームにいずれかのタグが付けられているかを確認し、既存エクステントと新規エクステント間で、物理ボリュームのタグを適合させようとします。
    lvextend コマンドで --alloc cling オプションを使用した LVM ミラー化ボリュームの拡張については、cling 割り当てポリシーを使用した論理ボリュームの拡張」 をご覧ください。
  • pvchangevgchange、または lvchange の単一のコマンドで、--addtag および --deltag の引数を複数指定することができるようになりました。オブジェクトタグの追加と削除については、「オブジェクトタグの追加と削除」 をご覧ください。
  • LVM オブジェクトタグで使用可能な文字の一覧が拡大され、タグには "/"、"="、"!"、":"、"#"、および "&" の文字が使用できるようになりました。LVM オブジェクトタグについては、付録D LVM オブジェクトタグ をご覧ください。
  • 単一の論理ボリューム内で RAID0 (ストライピング) と RAID1 (ミラーリング) の併用ができるようになりました。論理ボリュームの作成と同時にミラーの数 (--mirrors X) とストライプの数 (--stripes Y) を指定すると、ミラーデバイスの構成デバイスがストライプ化されます。ミラー化論理ボリュームの作成については、「ミラー化ボリュームの作成」 をご覧ください。
  • Red Hat Enterprise Linux 6.1 リリースでは、クラスター化されたボリューム上で恒常的なデータバックアップ作成が必要な場合、ボリュームを排他的にアクティブ化した上で、スナップショットを作成することができます。ノード上における論理ボリュームの排他的なアクティブ化についての情報については、「クラスター内の個別ノード上の論理ボリュームのアクティブ化」 をご覧ください。

2.1.3. Red Hat Enterprise Linux 6.2 で新規追加および変更された機能

Red Hat Enterprise Linux 6.2 では、ドキュメントと機能が以下のように更新/変更されています。
  • The Red Hat Enterprise Linux 6.2 release supports the issue_discards parameter in the lvm.conf configuration file. When this parameter is set, LVM will issue discards to a logical volume's underlying physical volumes when the logical volume is no longer using the space on the physical volumes. For information on this parameter, see the inline documentation for the /etc/lvm/lvm.conf file, which is also documented in 付録B LVM 設定ファイル.

2.1.4. Red Hat Enterprise Linux 6.3 で新規追加および変更された機能

Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、ドキュメントと機能が以下のように更新/変更されています。

2.1.5. Red Hat Enterprise Linux 6.4 で新規追加および変更された機能

Red Hat Enterprise Linux 6.4 では、ドキュメントと機能が以下のように更新/変更されています。
  • 論理ボリュームのシンプロビジョニングが可能になりました。これにより、利用可能なエクステントより大きい論理ボリュームを作成できます。シンプロビジョニングを使用すると、空き領域のストレージプール (シンプールと呼ばれる) を管理して、アプリケーションにより必要な場合に任意の数のデバイスに割り当てることができます。その後、アプリケーションを実際に論理ボリュームに書き込むときに、シンプールにバインド可能なデバイスを後ほどの割り当て用に作成できます。シンプールは、コスト効率が高いストレージ領域の割り当てに必要な場合に動的に拡張できます。
    For general information on thinly-provisioned logical volumes, see 「シンプロビジョニングされた論理ボリューム (シンボリューム)」. For information on creating thin volumes, see 「シンプロビジョニングされた論理ボリュームの作成」.
  • Red Hat Enterprise Linux 6.4 バージョンの LVM は、シンプロビジョニングされたスナップショットボリュームのサポートを提供します。シンプロビジョニングされたスナップショットボリュームにより、多くの仮想デバイスを同じデータボリューム上に格納することができます。これにより管理が簡略化され、スナップショットボリューム間でのデータシェアが可能になります。
    For general information on thinly-provisioned snapshot volumes, see 「シンプロビジョニングされたスナップショットボリューム」. For information on creating thin snapshot volumes, see 「シンプロビジョニングされたスナップショットボリュームの作成」.
  • 本ガイドには、LVM の割り当てポリシーについて説明した 「LVM の割り当て」 のセクションが新たに追加されました。
  • LVM now provides support for raid10 logical volumes. For information on RAID logical volumes, see 「RAID 論理ボリューム」.
  • Red Hat Enterprise Linux 6.4 リリースは、LVM メタデータデーモンである lvmetad をサポートしています。このデーモンを有効にすることで、多くのブロックデバイスを持つシステムのスキャン量を減らすことができます。lvmetad デーモンは、クラスターのノード間では現在サポートされておらず、ロックタイプはローカルのファイルベースである必要があります。
    For information on the metadata daemon, see 「メタデータデーモン (lvmetad)」.
さらに、ドキュメント全体にわたり技術的な内容の若干の修正と明確化を行いました。

2.1.6. New and Changed Features for Red Hat Enterprise Linux 6.5

Red Hat Enterprise Linux 6.5 includes the following documentation and feature updates and changes.
さらに、ドキュメント全体にわたり技術的な内容の若干の修正と明確化を行いました。

2.1.7. New and Changed Features for Red Hat Enterprise Linux 6.6

Red Hat Enterprise Linux 6.6 includes the following documentation and feature updates and changes.
さらに、ドキュメント全体にわたり技術的な内容の若干の修正と明確化を行いました。

2.1.8. New and Changed Features for Red Hat Enterprise Linux 6.7

Red Hat Enterprise Linux 6.7 includes the following documentation and feature updates and changes.

2.1.9. New and Changed Features for Red Hat Enterprise Linux 6.8

Red Hat Enterprise Linux 6.8 includes the following documentation and feature updates and changes.
  • When defining selection criteria for LVM commands, you can now specify time values as selection criteria for fields with a field type of time. For information on specifying time values as selection criteria, see 「Specifying Time Values」.
トップに戻る
Red Hat logoGithubredditYoutubeTwitter

詳細情報

試用、購入および販売

コミュニティー

Red Hat ドキュメントについて

Red Hat をお使いのお客様が、信頼できるコンテンツが含まれている製品やサービスを活用することで、イノベーションを行い、目標を達成できるようにします。 最新の更新を見る.

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。このような変更は、段階的に実施される予定です。詳細情報: Red Hat ブログ.

会社概要

Red Hat は、企業がコアとなるデータセンターからネットワークエッジに至るまで、各種プラットフォームや環境全体で作業を簡素化できるように、強化されたソリューションを提供しています。

Theme

© 2025 Red Hat