第3章 LVM コンポーネント
この章では、LVM 論理ボリュームのコンポーネントについて説明します。
3.1. 物理ボリューム リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
LVM 論理ボリュームの配下にある物理ストレージユニットは、パーティションやディスク全体のようなブロックデバイスです。LVM 論理ボリューム用にデバイスを使用するには、デバイスは物理ボリューム (PV) として初期化されなければなりません。ブロックデバイスを物理ボリュームとして初期化すると、デバイスの先頭位置にラベルを付けられます。
デフォルトでは、LVM ラベルは2番目の 512 バイトセクターに配置されます。先頭の4つのセクターのいずれかにラベルを配置することにより、このデフォルトを書き換えることができます。これにより、LVM ボリュームは、必要であればこれらのセクターの他のユーザーと共存できるようになります。
システム起動時にデバイスは任意の順序で立ち上がることがあります。そのため、LVM ラベルでは、物理デバイスに正しい ID とデバイスの順序を提供します。LVM ラベルは再起動後にもクラスター全域に渡って永続的な状態が維持されます。
LVM ラベルは、デバイスを LVM 物理ボリュームとして識別するものです。これは、物理ボリューム用のランダムな一意識別子 (UUID) を含んでいます。また、ブロックデバイスのサイズもバイト単位で保存し、LVM メタデータがデバイス上で保存される位置も記録します。
LVM メタデータには、システム上の LVM ボリュームグループの設定詳細が含まれています。デフォルトでは、メタデータの複製コピーが、ボリュームグループ内ですべての物理ボリュームのすべてのメタデータエリアで維持されています。LVM メタデータは小規模で ASCII 形式で格納されます。
現在、LVM により、各物理ボリューム上のメタデータの1つまたは2つの同一コピーの保存が可能になっています。デフォルトでは、コピーは1つです。物理ボリューム上のメタデータのコピー数を一旦設定すると、後でその数を変更することはできません。最初のコピーはデバイスの先頭のラベルの後に保存されます。2つ目のコピーがある場合は、それはデバイスの最終位置に配置されます。意図したものとは異なるディスクに書き込みをして、ディスクの先頭位置に誤って上書きしてしまった場合でも、デバイス後部にあるメタデータの2つ目のコピーでメタデータの復元が可能となります。
LVM メタデータとメタデータパラメーターの変更に関する詳細については、付録E LVM ボリュームグループメタデータ をご覧ください。
3.1.1. LVM 物理ボリュームレイアウト リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
図3.1「物理ボリュームレイアウト」 LVM 物理ボリュームのレイアウトを示しています。LVM ラベルは2番目のセクターにあり、その後にメタデータ領域とデバイスの使用可能なスペースが順に続いています。
注記
Linux カーネル (および本ガイド全体) では、セクターは 512 バイトのサイズとされています。
図3.1 物理ボリュームレイアウト
3.1.2. ディスク上の複数パーティション リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
LVM の使用により、ディスクパーティションから物理ボリュームを作成することが可能になります。それを以下のような理由により、ディスク全体をカバーする1つのパーティションを作成して、単一の LVM 物理ボリュームとしてラベルを付けることが一般的に推奨されます:
- 管理上の便宜それぞれの実ディスクが1度だけ提示されると、システム内のハードウェアを追跡記録するのが簡単になります。これはディスクに障害が発生した場合に、特に役に立ちます。更には、単一のディスク上の複数物理ボリュームは、起動時にカーネルによって不明なパーティションとして警告を受ける原因となる可能性があります。
- ストライピングのパフォーマンスLVM は、2 つの物理ボリュームが同一の物理ディスクにあることは認識しません。2 つの物理ボリュームが同一の物理ディスク上にある場合にストライプ化された論理ボリュームを作成すると、ストライプ化されたボリュームは同じディスク上の異なるパーティション上にある可能性があります。これはパフォーマンスの向上ではなく、低下をもたらします。
推奨されることではありませんが、1 つのディスクを別々の LVM 物理ボリュームに分割しなければならない状況が考えられます。例えば、少数のディスクしかないシステム上では、既存システムを LVM ボリュームに移行する場合にデータをパーティション間で移動しなければならない場合があります。さらに、大容量のディスクが存在し、管理目的で複数のボリュームグループを必要とする場合は、そのディスクでパーティションを設定する必要があります。ディスクに複数のパーティションがあり、それらのパーティションがいずれも同じボリュームグループ内に存在する場合にストライプ化ボリュームを作成する時には、論理ボリュームに含めるパーティションの指定は注意して行ってください。