8.4. カーネル
kdump の実行時に radeon
ドライバーによってハードウェアが正しくリセットされない
kdump プロセスを実行した場合など、現在実行中のカーネルからカーネルを起動した場合に、現在は radeon
カーネルドライバーによってハードウェアが適切にリセットされません。代わりに、kdump カーネルが突然終了するため、残りの kdump サービスが失敗します。
この問題を回避するには、/etc/kdump.conf
ファイルに以下の行を追加して、kdump で radeon
を無効にします。
dracut_args --omit-drivers "radeon"
その後、マシンおよび kdump を再起動します。
このシナリオでは、kdump 時にグラフィックは利用できませんが、kdump は問題なく完了します。
(BZ#1168430)
Windows Server 2019 ホストの RHEL 7 ゲストコンソールへの接続が遅い
Windows Server 2019 ホストで、RHEL 7 をマルチユーザーモードでゲストオペレーティングシステムとして使用すると、ゲストのコンソール出力へ接続するのに想定よりもはるかに長い時間がかかります。この問題を回避するには、SSH を使用してゲストに接続するか、ホストとして Windows Server 2016 を使用します。
(BZ#1706522)
dm_crypt と intel_qat を併用すると、カーネルのデッドロックが発生する可能性がある。
intel_qat
カーネルモジュールは、GFP_ATOMIC
メモリー割り当てを使用し、メモリーストレスで失敗する可能性があります。そのため、dm_crypt
カーネルモジュールが暗号化オフロードに intel_qat
を使用すると、カーネルのデッドロックやデータ破損が発生する可能性があります。この問題を回避するには、以下のいずれかを選択できます。
- RHEL 8 に更新する
-
暗号化オフロードに
intel_qat
を使用しない (潜在的なパフォーマンスへの影響) - システムがメモリー不足にならないようにする
(BZ#1813394)
RHEL 7 の Amazon c5a マシンで vmcore ファイルの生成に失敗する
Amazon c5a マシンでは、kdump
カーネル内の フラットモード
で設定されている場合に、Advanced Programmable Interrupt Controller (APIC) がローカル APIC (LAPIC) の割り込みをルーティングできなくなります。これにより、kdump
カーネルは起動に失敗し、kdump
カーネルで vmcore
ファイルを保存して詳細な分析ができなくなります。
この問題を回避するには、以下のコマンドを実行します。
crashkernel
引数を256M
に設定して、クラッシュカーネルサイズを増やします。$ grubby-args="crashkernel=256M" --update-kernel /boot/vmlinuz-`uname -r`
/etc/sysconfig/kdump
ファイルを編集してnr_cpus=9
オプションを設定します。KDUMP_COMMANDLINE_APPEND="irqpoll" *nr_cpus=9* reset_devices cgroup_disable=memory mce=off numa=off udev.children- max=2 panic=10 acpi_no_memhotplug transparent_hugepage=never nokaslr novmcoredd hest_disable
これにより、kdump
カーネルは 9 つの CPU で起動し、カーネルクラッシュ時に vmcore
ファイルがキャプチャーされます。kdump
カーネルで 9 つの CPU が有効化されるため、kdump
サービスは、大量のクラッシュカーネルメモリーを使用して vmcore
ファイルをダンプできます。したがって、クラッシュカーネルには kdump
カーネルの起動に 256 MB のサイズを確保してください。
(BZ#1844522)
一部の kretprobes
を有効にするとカーネルパニックを引き起こす可能性がある
以下の関数 の kretprobes
を使用すると CPU のハードロックが発生する可能性があります。
-
_raw_spin_lock
-
_raw_spin_lock_irqsave
-
_raw_spin_unlock_irqrestore
-
queued_spin_lock_slowpath
そのため、上記の kprobe
イベントを有効にすると、システムの応答に失敗します。この状況では、カーネルパニックがトリガーされます。この問題を回避するには、上記の関数への kretprobes
の設定を避けて、システム応答の失敗を防ぐようにしてください。
(BZ#1838903)
UEFI セキュアブートが有効になっているシステムで kdump
サービスが失敗する
最新の RHEL カーネルバージョンで、UEFI セキュアブートが有効なシステムを起動すると、kdump
サービスは起動に失敗します。上記のシナリオでは、kdump
が以下のエラーメッセージを報告します。
kexec_file_load failed: Required key not available
この動作は、以下のいずれかが原因で表示されます。
- 最新のカーネルバージョンでクラッシュカーネルを起動する。
-
/etc/sysconfig/kdump
ファイルのKDUMP_KERNELVER
変数を最新のカーネルバージョンに設定する。
これにより、kdump
が起動しなくるので、クラッシュイベント時にダンプコアは保存されません。
この問題を回避するには、以下のいずれかを使用します。
- 最新の RHEL 7 修正でクラッシュカーネルを起動します。
-
etc/sysconfig/kdump
のKDUMP_KERNELVER
が最新のカーネルバージョンを使用するように設定します。
これにより、上記のシナリオで kdump
が正常に起動します。
(BZ#1862840)
RHEL インストーラーが iSCSI ストレージを検出しない可能性がある
RHEL インストーラーでは、一部のオフロード iSCSI ホストバスアダプター (HBA) の iSCSI に関連するカーネルコマンドラインオプションが自動的に設定されない場合があります。そのため、RHEL インストーラーで iSCSI ストレージが検出されない可能性があります。
この問題を回避するには、インストーラーのブート時に、カーネルコマンドラインに以下のオプションを追加します。
rd.iscsi.ibft=1 rd.iscsi.firmware=1
これらのオプションにより、OS 設定前のファームウェア設定で、ネットワーク設定および iSCSI ターゲット検出が有効になります。
このファームウェアで、iSCSI ストレージが設定されるので、インストーラーは iSCSI ストレージを検出し、使用できます。
(BZ#1871027)
mlx5e_rep_neigh_update
作業キューの競合状態が原因でカーネルパニックをトリガーすることがあります。
Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) 機能の switchdev
in-kernel ドライバーモデルを使用して mlx5
デバイス上でカプセル化アクションをオフロードすると、mlx5e_rep_neigh_update
の作業キューで競合状態が発生する可能性があります。したがって、カーネルパニックによりシステムが予期せずに終了し、以下のメッセージが表示されます。
Workqueue: mlx5e mlx5e_rep_neigh_update [mlx5_core]
Currently, a workaround or partial mitigation to this problem is not known.
(BZ#1874101)
Intel® ネットワークアダプターの ice
ドライバーが読み込まれない
ice
カーネルドライバーは、以下の点を除き、すべての Intel® Ethernet ネットワークアダプター E810-XXV では読み込まれません。
-
v00008086d00001593sv*sd*bc*sc*i*
-
v00008086d00001592sv*sd*bc*sc*i*
-
v00008086d00001591sv*sd*bc*sc*i*
その結果、ネットワークアダプターはオペレーティングシステムによって検出されません。この問題を回避するには、Intel® または Dell が提供する RHEL 7 の外部ドライバーを使用できます。
(BZ#1933998)
kdump では Hyper-V 仮想マシンの nr_cpus 値を 2 以上に設定できない
Microsoft Hyper-V ハイパーバイザーで RHEL 7.9 をゲストオペレーティングシステムとして使用すると、nr_cpus
パラメーターが 2 以上に設定されている場合に kdump カーネルが応答しなくなることがあります。この問題を回避するには、ゲストの /etc/sysconfig/kdump
ファイルに指定されているデフォルトの nr_cpus=1
パラメーターを変更しないでください。