7.9. コンパイラーおよび開発ツール
GCC Toolset 11: GCC 11 が DWARF 4 にデフォルト設定
アップストリームの GCC 11 は、デフォルトで DWARF 5 デバッグ形式を使用していますが、GCC Toolset 11 の GCC は、RHEL 8 コンポーネント (rpmbuild
など) との互換性を維持するために DWARF 4 にデフォルト設定されます。
(BZ#1974402)
パラメーターフレームワークが GLIBC_TUNABLES
を正しく解析するようになりました。
以前のバージョンでは、パラメーターフレームワークは、setuid プログラムの setuid が設定されていない子オブジェクトについて GLIBC_TUNABLES
環境変数を正しく解析しませんでした。そのため、setuid プログラムの setuid が設定されていない子オブジェクトでは、すべてのパラメーターが残ることがありました。今回の更新で、GLIBC_TUNABLES
環境変数のパラメーターが正しく解析されるようになりました。その結果、特定されたパラメーターの制限されたサブセットのみが、setuid プログラムの setuid が設定されていない子オブジェクトによって継承されるようになりました。
(BZ#1934155)
glibc
の semctl
システムコールラッパーが SEM_STAT_ANY
を SEM_STAT
のように処理するようになりました。
以前は、glibc
の semctl
システムコールラッパーは、カーネル引数 SEM_STAT_ANY
を SEM_STAT
のように処理していませんでした。そのため、glibc
は結果オブジェクトの struct semid_ds
のアドレスをカーネルに渡さなかったため、カーネルが更新に失敗していました。今回の更新で、glibc
は SEM_STAT_ANY
を SEM_STAT
のように処理し、その結果、アプリケーションは SEM_STAT_ANY
を使用して struct semid_ds
データを取得できるようになりました。
glibc
に IPPROTO_ETHERNET
、IPPROTO_MPTCP
、および INADDR_ALLSNOOPERS_GROUP
の定義が含まれるようになりました。
以前は、Glibc
システムライブラリーヘッダー (/usr/include/netinet/in.h
) には IPPROTO_ETHERNET
、IPPROTO_MPTCP
、および INADDR_ALLSNOOPERS_GROUP
の定義が含まれていませんでした。そのため、これらの定義を必要とするアプリケーションをコンパイルできませんでした。今回の更新で、システムライブラリーヘッダーに、IPPROTO_ETHERNET
、IPPROTO_MPTCP
、および INADDR_ALLSNOOPERS_GROUP
の新しいネットワーク定数定義が追加され、アプリケーションを正しくコンパイルするようになりました。
gcc
がバージョン 8.5 にリベース
GNU コンパイラーコレクション (GCC) がアップストリームバージョン 8.5 にリベースされ、以前のバージョンにバグ修正が数多く追加されました。
OpenSSL aes-cbc
モード使用時の間違ったファイルの復号化
OpenSSL EVP aes-cbc
モードはファイルを正しく復号しませんでした。Go CryptoBlocks インターフェイスが完全なブロックを想定しているのに対し、パディングを処理することを想定しているためです。この問題は、OpenSSL で EVP 操作を実行する前にパディングを無効にすることによって修正されました。