10.10. ファイルシステムおよびストレージ
LVM writecache
の制限
writecache
LVM キャッシュメソッドには以下の制限がありますが、cache
メソッドには存在しません。
-
pvmove
コマンドを使用すると、writecache
論理ボリュームに名前を付けることはできません。 -
writecache
を指定した論理ボリュームは、シンプールまたは VDO と組み合わせて使用できません。
以下の制限は、cache
メソッドにも適用されます。
-
cache
またはwritecache
がアタッチされている間は、論理ボリュームのサイズを変更することはできません。
(JIRA:RHELPLAN-27987, BZ#1798631, BZ#1808012)
LUKS ボリュームを格納する LVM mirror
デバイスが応答しなくなることがあります。
セグメントタイプが mirror
のミラーリング LVM デバイスで LUKS ボリュームを格納すると、特定の条件下で応答しなくなる可能性があります。デバイスが応答しなくなると、すべての I/O 操作を拒否します。
耐障害性のソフトウェア定義ストレージに、LUKS ボリュームをスタックする必要がある場合に、この問題を回避するには、Red Hat はセグメントタイプが mirror
ではなく raid1
の LVM RAID 1 デバイスを使用することを推奨します。
raid1
のセグメントタイプは、デフォルトの RAID 設定タイプで、mirror
の代わりに、推奨のソリューションとしてこのタイプが使用されます。
mirror
デバイスを raid1
に変換するには、ミラーリングされた LVM デバイスの RAID1 デバイスへの変換 を参照してください。
(BZ#1730502)
/boot
ファイルシステムを LVM に配置することができない
/boot
ファイルシステムを LVM 論理ボリュームに配置することはできません。この制限は、以下の理由により存在します。
-
EFI システムでは、EFI システムパーティション が従来の
/boot
ファイルシステムとして機能します。uEFI 標準では、特定の GPT パーティションタイプと、このパーティションの特定のファイルシステムタイプが必要です。 -
RHEL 8 は、システムブートエントリーに Boot Loader Specification (BLS) を使用します。この仕様では、プラットフォームのファームウェアが
/boot
ファイルシステムを読み込める必要があります。EFI システムでは、プラットフォームファームウェアは uEFI 標準で定義された/boot
設定のみを読み取ることができます。 - GRUB 2 ブートローダーでの LVM 論理ボリュームに対するサポートは完全ではありません。Red Hat は、uEFI や BLS などの標準があるので、この機能のユースケース数が減少しているため、サポートを改善する予定はありません。
Red Hat では、LVM での /boot
のサポートを提供する予定はありません。代わりに、Red Hat は、/boot
ファイルシステムを LVM 論理ボリュームに配置する必要がないシステムスナップショットおよびロールバックを管理するツールを提供します。
(BZ#1496229)
LVM で、複数のブロックサイズを持つボリュームグループが作成できない
vgcreate
または vgextend
などの LVM ユーティリティーでは、物理ボリューム (PV) の論理ブロックサイズが異なるボリュームグループ (VG) を作成できなくなりました。別のブロックサイズの PV で基礎となる論理ボリューム (LV) を拡張するとファイルシステムがマウントに失敗するため、LVM はこの変更を採用しました。
ブロックサイズが混在する VG の作成を再度有効にするには、lvm.conf
ファイルの allow_mixed_block_sizes=1
オプションを設定します。
GRUB が、ブート時の初回の失敗後にディスクへのアクセスを再試行する
ストレージエリアネットワーク (SAN) が open
および read
のディスク呼び出しを確認しない場合があります。以前は、GRUB ツールが grub_rescue
プロンプトに切り替わり起動に失敗していました。今回の更新で、ディスク open および read の初回呼び出しが失敗した後、GRUB は最大 20 回ディスクへのアクセスを再試行します。これらの試行後に GRUB ツールがまだディスクの open または read ができない場合は、grub_rescue
モードに切り替わります。
(BZ#1987087)
XFS クォータ警告が頻繁にトリガーされる
クォータタイマーを使用すると、クォータ警告が頻繁にトリガーされるため、ソフトクォータが必要以上に速く実行されます。この問題を回避するには、警告のトリガーを妨げるソフトクォータを使用しないでください。その結果、警告メッセージの量はソフトクォータ制限を強制せず、設定されたタイムアウトを尊重するようになります。
(BZ#2059262)