第4章 新機能
ここでは、Red Hat Enterprise Linux 8.5 に追加された新機能および主要な機能拡張を説明します。
4.1. インストーラーおよびイメージの作成
RHEL for Edge が単純化されたインストーラーをサポートするようになりました。
今回の機能拡張により、Image Builder が RHEL for Edge Simplified Installer(edge-simplified-installer
) および RHEL for Edge Raw Images(edge-raw-image
) をビルドできるようになりました。
RHEL for Edge Simplified Installer を使用すると、新しい Blueprint オプション installation_device
を指定し、デバイスへの無人インストールを実行できます。raw イメージを作成するには、既存の OSTree コミットを指定する必要があります。これにより、既存のコミットがデプロイされた raw イメージが作成されます。インストーラーは、この raw イメージを指定されたインストールデバイスに使用します。
また、Image Builder を使用して RHEL for Edge Raw Images をビルドすることもできます。これらは、既存の OSTree コミットがデプロイされたパーティションレイアウトを含む圧縮された raw イメージです。RHEL for Edge Raw Images をインストールして、ハードドライブにフラッシュするか、仮想マシンで起動することができます。
非推奨のカーネルブート引数の警告
inst.
接頭辞 (ks
、stage2
、repo
など) なしの Anaconda ブート引数は、RHEL7 の起動が非推奨になりました。これらの引数は、次の RHEL メジャーリリースで削除されます。
今回のリリースにより、inst
接頭辞なしでブート引数を使用すると、適切な警告メッセージが表示されるようになりました。警告メッセージは、インストールの起動時に dracut
に表示されます。また、インストールプログラムがターミナルで開始される際にも表示されます。
以下は、ターミナルに表示される警告メッセージの例です。
非推奨のブート引数 ks
は、inst.
接頭辞とともに使用する必要があります。代わりに inst.ks
を使用してください。inst.
接頭辞のない Anaconda ブート引数は非推奨となり、今後のメジャーリリースで削除されます。
以下は、dracut
に表示される警告メッセージの例です。
ks
が非推奨になりました。inst.
接頭辞のない Anaconda ブート引数の使用はすべて非推奨となり、今後のメジャーリリースで削除されます。代わりに inst.ks
を使用してください。
Red Hat Connector が完全にサポートされました。
Red Hat Connector (rhc)
を使用してシステムに接続することができます。Red Hat Connector はコマンドラインインターフェイスとデーモンで設定されており、ユーザーは Insights の Web ユーザーインターフェイス (console.redhat.com) 内で、Insights の修復 Playbook をホスト上で直接実行することができます。Red Hat Connector は、RHEL 8.4 でテクノロジープレビューとして提供され、RHEL 8.5 では完全にサポートされています。
利用可能な正式なリポジトリーを上書きする機能
デフォルトでは、osbuild-composer
バックエンドには、/usr/share/osbuild-composer/repositories
ディレクトリーで定義されている正式なリポジトリーの独自のセットがあります。したがって、/etc/yum.repos.d/
ディレクトリーにあるシステムリポジトリーを継承しません。正式なリポジトリーを上書きできるようになりました。これには、/etc/osbuild-composer/repositories
にオーバーライドを定義します。その結果、そのディレクトリーにあるファイルは、/usr
ディレクトリーにあるファイルよりも優先されます。
Image Builder がファイルシステム設定に対応しました。
今回の機能拡張により、Blueprint でカスタムファイルシステム設定を指定でき、必要なディスクレイアウトでイメージを作成できるようになりました。したがって、デフォルト以外のレイアウトを持つことで、セキュリティーベンチマーク、既存設定との一貫性、パフォーマンス、およびディスク不足エラーに対する保護に関してメリットが得られます。
Blueprint でファイルシステム設定をカスタマイズするには、以下のカスタマイズを設定します。
[[customizations.filesystem]] mountpoint = "MOUNTPOINT" size = MINIMUM-PARTITION-SIZE
Image Builder が起動可能なインストーライメージの作成に対応
この機能拡張により、Image Builder を使用して、ルートファイルシステムを含む tarball
ファイルで構成されるブート可能な ISO イメージを作成できるようになります。その結果、起動可能な ISO イメージを使用して、tarball
ファイルシステムをベアメタルシステムにインストールすることができます。