4.10. 高可用性およびクラスター
pcs cluster setup
コマンドのローカルモードバージョンが完全にサポートされるようになりました。
デフォルトでは、pcs cluster setup
コマンドは、すべての設定ファイルをクラスターノードに自動的に同期します。RHEL 8.3 以降、pcs cluster setup
コマンドは --corosync-conf
オプションをテクノロジープレビューとして提供していました。この機能は、RHEL 8.5 で完全にサポートされるようになりました。このオプションを指定すると、コマンドが local
モードに切り替わります。このモードでは、pcs
コマンドラインインターフェイスは他のノードと通信せずに corosync.conf
ファイルを作成し、ローカルノード上の指定されたファイルに保存します。これにより、スクリプトで corosync.conf
ファイルを作成し、スクリプトでそのファイルを処理できます。
クラスターノードのサブセットでフェンシング用にウォッチドッグのみの SBD を設定する機能
以前のバージョンでは、ウォッチドッグのみの SBD 設定を使用するには、クラスター内のすべてのノードで SBD を使用する必要がありました。一部のノードはサポートしているが、他のノード (リモートノード) では他のフェンシングが必要なクラスターで SBD が使用できませんでした。ユーザーは、新しい fence_watchdog
エージェントを使用して、ウォッチドッグのみの SBD 設定を設定できるようになりました。これにより、一部のノードのみがフェンシングにウォッチドッグのみの SBD を使用し、その他のノードが他のフェンシングタイプを使用するクラスター設定が可能になります。クラスターはこのようなデバイスを 1 つしか持たず、これは watchdog
という名前にする必要があります。
その他のすべてのリソースを再起動せずに SCSI フェンスデバイスを更新する新たな pcs
コマンド
pcs stonith update
コマンドを使用して SCSI フェンスデバイスを更新すると、stonith リソースが実行されているのと同じノードで実行中の全リソースを再起動することになります。新しい pcs stonith update-scsi-devices
コマンドを使用すると、他のクラスターリソースを再起動せずに SCSI デバイスを更新できます。
pcs resource safe-disable
コマンドの新しい縮小出力表示オプション
pcs resource safe-disable
コマンドおよび pcs resource disable --safe
コマンドは、エラーレポートの後に長いシミュレーション結果を出力します。これらのコマンドに、エラーのみを出力する --brief
を指定できるようになりました。エラーレポートには、影響を受けるリソースのリソース ID が常に含まれるようになりました。
pcs
がロール名として Promoted
および Unpromoted
を受け入れるようになりました。
Pacemaker 設定でロールが設定される場合、pcs
コマンドラインインターフェイスで Promoted
および Unpromoted
を受け入れるようになりました。これらのロール名は、Master
および Slave
Pacemaker ロールと機能的に同等です。Master
および Slave
は、設定表示とヘルプテキストでこれらのロールの名前のままです。
新しい pcs リソースステータス表示コマンド
pcs resource status
コマンドおよび pcs stonith status
コマンドで、以下のオプションが使用できるようになりました。
-
pcs resource status node=node_id
コマンドおよびpcs stonith status node=node_id
コマンドを使用すると、特定ノードに設定したリソースの状態を表示できます。これらのコマンドを使用すると、クラスターとリモートノードの両方でリソースのステータスを表示できます。 -
pcs resource status resource_id
コマンドおよびpcs stonith status resource_id
コマンドを使用すると、1 つのリソースの状況を表示できます。 -
pcs resource status tag_id
コマンドおよびpcs stonith status tag_id
コマンドを使用すると、指定したタグで、すべてのリソースの状態を表示できます。
(BZ#1290830、BZ#1285269)
自動アクティベーションを制御する新しい LVM ボリュームグループフラグ
LVM ボリュームグループは、ボリュームグループから作成した論理ボリュームを起動時に自動的にアクティブにするかどうかを制御する setautoactivation
フラグに対応するようになりました。クラスターで Pacemaker が管理するボリュームグループを作成する場合は、データの破損を防ぐために、ボリュームグループで vgcreate --setautoactivation n
コマンドを実行して、このフラグを n
に設定します。Pacemaker クラスターで使用される既存のボリュームグループがある場合は、vgchange --setautoactivation n
でフラグを設定します。