4.8. カーネル
RHEL 8.5 のカーネルバージョン
Red Hat Enterprise Linux 8.5 には、カーネルバージョン 4.18.0-348 が同梱されています。
Intel Sapphire Rapids プロセッサーの EDAC に対応しました。
今回の機能拡張により、Intel Sapphire Rapids プロセッサー用の Error Detection And Correction (EDAC) デバイスのサポートが提供されます。EDAC は主に Error Code Correction (ECC) メモリーを処理し、PCI バスパリティーエラーを検出し、報告します。
(BZ#1837389)
bpftrace
パッケージがバージョン 0.12.1 にリベースされました。
bpftrace
パッケージがバージョン 0.12.1 にアップグレードされ、バグ修正および機能強化が複数追加されました。以前のバージョンでの大きな変更には、以下の変更が含まれます。
-
新しい
builtin
パスを追加しました。これは、パスストラクチャーからフルパスを表示する、信頼できる新しい方法です。 -
kfunc
プローブおよびtracepoint
カテゴリーに対するワイルドカードサポートが追加されました。
vmcore キャプチャーは、CPU のホットアドまたはホットリムーブ操作後に期待どおりに機能します。
以前は、IBM POWER システムでは、CPU またはメモリーのホットプラグまたは削除操作を行うたびに、kdump.service
を再読み込みしない限り、デバイスツリーの CPU データが古くなりました。最新の CPU 情報を再読み込みするため、kdump.service
はデバイスノードを解析して CPU 情報を取得します。ただし、CPU ノードの一部は、ホットリムーブ中に失われています。そのため、kdump.service
の再読み込みと CPU hot-removal
との間で競合状態が発生すると同時に、ダンプが失敗する場合があります。その後のクラッシュでは、vmcore
ファイルーがキャプチャーされない可能性があります。
この更新により、CPU ホットプラグ後に kdump.service
を再読み込みする必要がなくなり、上述の例で vmcore
キャプチャーが期待どおりに機能するようになりました。
注: この改善は、ファームウェア支援ダンプ (fadump
) で期待どおりに機能します。スタンダード kdump
の場合は、ホットプラグ
の動作中に kdump.service
の再読み込みが行われます。
(BZ#1922951)
kdumpctl コマンドが、新しい kdumpctl estimate
ユーティリティーに対応するようになりました。
kdumpctl
コマンドが、kdumpctl estimate
ユーティリティーに対応するようになりました。既存の kdump
設定に基づいて、kdumpctl estimate
は、kdump
メモリー割り当てに適した推定値を出力します。
クラッシュカーネルの最小サイズは、ハードウェアおよびマシンの仕様により異なります。そこで、以前は、正確な crashkernel=
値を推定することが困難でした。
今回の更新で、kdumpctl estimate
ユーティリティーが推定値を提供するようになりました。この値は、ベストエフォートの推奨予測値であり、実現可能な crashkernel=
値の設定に役立ちます。
(BZ#1879558)
IBM TSS 2.0 パッケージが 1.6.0 にリベースされました。
IBM の Trusted Computing Group(TCG)Software Stack(TSS)2.0 バイナリーパッケージが 1.6.0 にアップグレードされました。今回の更新で、AMD64 および Intel 64 のアーキテクチャーに IBM TSS 2.0 サポートが追加されました。
これは、Trusted Platform Modules (TPM) 2.0 のユーザー空間 TSS で、よりシンプルなインターフェイスで TCG TSS ワーキンググループの Enhanced System Application Interface (ESAPI)、System Application Interface (SAPI)、および TPM Command Transmission Interface (TCTI) API と同等の機能 (ただし API 互換ではない) を実装します。
これは、アプリケーションおよびプラットフォームが TPM を共有してセキュアなアプリケーションに統合できるようにするセキュリティーミドルウェアです。
今回のリベースで、以前のバージョンに対する多くのバグ修正および機能拡張が追加されました。主な変更点には、以下の新しい属性が含まれます。
-
tsscertifyx509
:x509
証明書を検証します。 -
tssgetcryptolibrary
: 現在の暗号化ライブラリーを表示します。 -
tssprintattr
: TPM 属性をテキストとして出力 -
tsspublicname
: エンティティーのパブリック名を計算します。 -
tsssetcommandcodeauditstatus
:TPM2_SetCommandCodeAuditStatus
によりコードを消去または設定します。 -
tsstpmcmd
: 帯域内 TPM シミュレーターシグナルを送信します。
(BZ#1822073)
schedutil
CPU 周波数ガバナーが RHEL 8 で利用できるようになりました。
schedutil
CPU ガバナーは、CPU スケジューラーで利用可能な CPU 使用率データを使用します。schedutil
は CPU スケジューラーの一部で、スケジューラーの内部データ構造に直接アクセスできます。schedutil
は、システムロードに応じて CPU の周波数をどのように上げ下げるかを制御します。schedutil
周波数ガバナーは、デフォルトでは有効になっていないため、手動で選択する必要があります。
CPU ごとに 1 つの policyX
ディレクトリーが存在します。schedutil
は、カーネル内の既存の CPUFreq
ガバナーの policyX/scaling_governors
リストで利用でき、/sys/devices/system/cpu/cpufreq/policyx
ポリシーに割り当てられます。ポリシーファイルは上書きして変更できます。
intel_pstate
スケーリングドライバーを使用する場合は、intel_pstate
が利用可能になり、ガバナーによりリスト表示されるように、intel_pstate=passive
コマンドライン引数を設定する必要がある場合があります。intel_pstate
は、最新の CPU を備えた Intel ハードウェアにおけるデフォルトです。
(BZ#1938339)
rt-tests-2.1 アップストリームバージョンにリベースされた rt-tests スイート
rt-tests
スイートが、rt-tests-2.1
バージョンにリベースされ、バグ修正および機能拡張が数多く追加されました。以前のバージョンでの大きな変更には、以下のものが含まれます。
-
rt-tests
スイート内のさまざまなプログラムを修正します。 -
一般的なオプションセットとプログラムがより均一になるように修正されています。たとえば、
oslat
プログラムのオプション-t --runtime
オプションの名前が-D
に変更され、残りのスイートに合わせて実行時間を指定します。 -
json
形式で出力する新機能を実装しました。
Intel®QuickAssist テクノロジーライブラリー (QATlib) がバージョン 21.05 にリベースされました。
qatlib
パッケージがバージョン 21.05 にリベースされ、バグ修正および機能拡張が数多く追加されました。主な変更点は、以下のとおりです。
複数の暗号化アルゴリズムのサポートを追加しました。
- AES-CCM 192/256
- ChaCha20-Poly1305
- PKE 8K (RSA, DH, ModExp, ModInv)
- 異なるノードでのデバイス列挙の修正
-
32 ビットビルドの
pci_vfio_set_command
の修正
QATlib のインストール方法は、RHEL 8 で Intel®QuickAssist テクノロジースタックが正常に機能していることの確認 を参照してください。
(BZ#1920237)