第1章 LVM 論理ボリュームマネージャ
この章では、LVM (Logical Volume Manager 論理ボリュームマネージャ)の コンポーネントについてハイレベルの概要を提供しています。
1.1. 論理ボリューム
ボリューム管理は物理ストレージに対して抽象的レイヤーを作成します。これが 論理ストレージボリュームの作成を可能にします。それにより直接物理ストレージを 使用することに比較して多種のより高い柔軟性を提供します。
論理ボリュームはストレージ仮想化を提供するものです。論理ボリュームがあると、 物理ディスクのサイズに制限されません。更には、ハードウェアストレージ設定は ソフトウェアには見えませんので、アプリケーションを停止したりファイルシステムを アンマウントせずに、サイズ変更や移動が可能になります。これにより運営コストを 削減することができます。
論理ボリュームは物理ストレージの直接使用に対して以下のような利点を持っています:
- 柔軟な機能論理ボリュームを使用している場合、ディスクやパーティションを1つの論理ボリュームに 収束できるため、ファイルシステムは複数ディスクに渡って拡張が可能になります。
- サイズ変更可能なストレージプール背後に有るディスクデバイスを再フォーマットしたり再パーティションせずに簡単なソフトウェア コマンドにより論理ボリュームのサイズを拡大したり縮小したりすることができます。
- オンラインデータ移動より新しくて、より速くて、より強靭なストレージサブシステムを導入するために、 システムがアクティブな時でもデータを移動することができます。データはディスクが 使用中の場合でもディスク上で再配置できます。例えば、ホットスワップ可能なディスクを空にしてからそれを削除するようにできます。
- 便利なデバイスの命名論理ストレージボリュームはユーザー定義のグループで管理することができて、 好みに応じて命名することができます。
- ディスクのストライプ化2つ又はそれ以上のディスクに渡ってデータをストライプ化する論理ボリュームを 作成することが出来ます。これにより、スループットは劇的に向上します。
- ボリュームのミラー化論理ボリュームはデータのミラー化の設定に便利な手法を提供します。
- ボリュームスナップショット論理ボリュームを使用すると、安定したバックアップの為のデバイススナップショットを取ったり、 実際のデータに影響することなく変更の効果をテストすることができます。
LVM でのこれらの機能の実装はこのドキュメントの残りの部分で説明されています。