第23章 ノードの正常なシャットダウン時に停止したままになるようにリソースを設定
クラスターノードがシャットダウンしたときの Pacemaker のデフォルトの応答は、シャットダウンが正常なシャットダウンであっても、そのノードで実行中のすべてのリソースを停止し、別の場所でリソースを復元することです。RHEL 8.2 以降では、ノードが正常にシャットダウンすると、ノードに接続されているリソースがノードにロックされ、シャットダウンしたノードがクラスターに再度参加するときに再び起動するまで、他の場所で起動できないように、Pacemaker を設定できます。これにより、ノードのリソースをクラスター内の他のノードにフェイルオーバーせずに、サービスの停止が許容できるメンテナンスウィンドウ中にノードの電源を切ることができます。
23.1. ノードの正常なシャットダウン時に停止したままになるようにリソースを設定するためのクラスタープロパティー
ノードの正常なシャットダウンでリソースがフェイルオーバーしないようにする機能は、以下のクラスタープロパティーで実装されます。
shutdown-lock
このクラスタープロパティーをデフォルト値の
false
に設定すると、クラスターは、ノードで適切にシャットダウンしているノードでアクティブなリソースを復旧します。このプロパティーをtrue
に設定すると、適切にシャットダウンしているノードでアクティブなリソースは、クラスターに再参加した後にノードで再起動するまで別の場所で起動できなくなります。shutdown-lock
プロパティーはクラスターノードまたはリモートノードのいずれかで機能しますが、ゲストノードは機能しません。shutdown-lock
をtrue
に設定すると、ノードがダウンした場合にクラスターリソースのロックを削除し、以下のコマンドを実行してノードで手動更新を実行してリソースを別の場所で起動できるようになります。pcs resource refresh resource node=nodename
リソースのロックが解除されると、クラスターはリソースを別の場所に移動できるようになることに注意してください。リソースのスティッキネスの値または場所の設定を使用することにより、これが発生する可能性を抑制できます。
注記手動更新は、最初に次のコマンドを実行するとリモートノードで機能します。
-
リモートノードで
systemctl stop pacemaker_remote
コマンドを実行してノードを停止します。 -
pcs resource disable remote-connection-resource
コマンドを実行します。
その後、リモートノードで手動更新を実行できます。
-
リモートノードで
shutdown-lock-limit
このクラスタープロパティーをデフォルト値の 0 以外の値に設定すると、シャットダウンを開始してから指定した時間内にノードが再参加しない場合に、他のノードの復旧にリソースが利用可能になります。
注記shutdown-lock-limit
プロパティーは、以下のコマンドを最初に実行した場合に限りリモートノードで動作します。-
リモートノードで
systemctl stop pacemaker_remote
コマンドを実行してノードを停止します。 -
pcs resource disable remote-connection-resource
コマンドを実行します。
このコマンドの実行後、
shutdown-lock-limit
で指定した時間が経過すると、リモートノード上で実行しているリソースが他のノードの復旧に利用できます。-
リモートノードで