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6.2. Active Directory および Identity Management の概要

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IdM ドメイン内では、情報はデータマスター (サーバーとレプリカ) 間で信頼性と予測性のある方法でコピーされ、複数のサーバーとレプリカ間で共有されます。このプロセスを レプリケーション といいます。
同様のプロセスは、IdM ドメインと Microsoft Active Directory ドメイン間でデータを共有するために使用できます。これが 同期 です。
同期は、Active Directory と Identity Management の間で、ユーザーデータをコピーするプロセスのことです。ユーザーは Active Directory および Identity Management の間で同期され、ディレクトリー同期 (DirSync) LDAP サーバー拡張制御を使用して、変更のあったオブジェクトをディレクトリーから検索します。

図6.1 Active Directory および IdM の同期

Active Directory および IdM の同期
同期は、IdM サーバーと Active Directory ドメインコントローラー間の 合意 で定義されます。この合意は、アカウント属性の処理方法を定義するほか、同期するサブツリーなど同期可能なユーザーエントリーを識別するのに必要なすべての情報を定義します。同期合意は、デフォルト値で作成されますが、特定ドメインのニーズに合わせて調整が可能です。2 つのサーバーで同期が行われる場合に、この 2 つのサーバーは ピアと呼ばれます。
表6.1 同期合意内の情報
Windows 情報 IdM 情報
  • ユーザーのサブツリー (cn=Users,$SUFFIX)
  • 接続情報
    • Active Directory 管理者のユーザー名およびパスワード
    • パスワード同期サービスのパスワード
    • CA 証明書
  • ユーザーのサブツリー (ou=People,$SUFFIX)
同期は通常、双方向 で行われます。情報は、IdM と Windows ドメイン間で送受信され、このプロセスは IdM サーバーとレプリカが情報を共有する方法によく似ています。相違点は新規のユーザーエントリーで、Windows ドメインから IdM ドメインの方向でのみ、追加が可能です。同期は、1 方向のみで行われるように設定することもできます。これは 一方向 の同期と呼ばれます。
データ競合のリスクを回避するには、1 つのディレクトリーのみからユーザーエントリーを追加、または削除する必要があります。このディレクトリーは通常、IT 環境の主要な ID ストアである Windows ディレクトリーであり、新規のアカウントまたはアカウント削除は Identity Management ピアに同期されます。いずれのディレクトリーもエントリーを変更できます。
次に 1 つの Identity Management サーバーと 1 つの Active Directory ドメインコントローラーの間で同期が設定されます。Identity Management サーバーは IdM ドメイン全体に伝播し、ドメインコントローラーは変更を Windows ドメイン全体に伝播します。

図6.2 同期トポロジー

同期トポロジー
IdM 同期には、以下のような主要な機能があります。
  • 同期操作は 5 分ごとに実行されます。この頻度を変更するには、Active Directory ピア DN の winSyncInterval 属性を設定します。
    cn=meTowinserver.ad.example.com,cn=replica,cn=dc\3Didm\,dc\3Dexample\,dc\3Dcom,cn=mapping tree,cn=config
  • 同期が設定できるのは、Active Directory ドメイン 1 つのみとなっています。
  • 同期が設定できるのは、Active Directory ドメイン 1 つ のみとなっています。
  • ユーザー情報のみが同期され、グループ情報は同期されません。
  • ユーザー属性とパスワードの両方を同期することができます。
  • 変更は双方向ですが (Active Directory から IdM、IdM から Active Directory の両方)、アカウントの作成は、Active Directory から Identity Management への一方向のみになります。新しいアカウントが Active Directory に作成されると、自動的に IdM に対して同期されます。ただし、ユーザーアカウントを IdM で作成した場合には、同期の前に Active Directory にも作成する必要があります。このような場合、同期プロセスは、Active Directory のsAMAccountName 属性ではなく、IdM の uid 属性と同じ値を持つ一致するアカウントを見つけようとします。一致が見つかると、IdM ntUserDomainId 属性は Active Directory の objectGUID 値に設定されます。これらの属性は、グローバルで一意かつ不変の値で、移動または名前の変更があった場合でもエントリーはそのまま同期されます。
  • アカウントロック情報はデフォルトで同期され、1 つのドメインで無効にされているユーザーアカウントは他方のドメインでも無効にされます。
  • パスワードの変更は即時に有効になります。ユーザーパスワードが 1 つのピアで追加または変更される場合、その変更は他のピアサーバーに即時に伝播します。
    パスワード同期クライアントは、新規パスワードまたはパスワード更新を同期します。
    IdM および Active Directory の両方にハッシュ化されたフォームに格納されている既存のパスワードは、Password Synchronization クライアントのインストール時に復号または同期できません。そのため、既存のパスワードは同期されません。ピアサーバー間の同期を開始するには、ユーザーパスワードを変更する必要があります。
  • 合意は 1 つしか使用できませんが、PassSync サービスは各 Active Directory サーバーにインストールする必要があります。
Active Directory ユーザーが IdM に同期される場合に、特定の属性 (Kerberos および POSIX 属性を含む) では IPA 属性がユーザーエントリーに自動的に追加されます。この属性は、ドメイン内で IdM が使用します。対応する Active Directory ユーザーエントリーには、同期されません。
同期プロセスの一環で、同期データの一部が変更される可能性があります。たとえば、IdM ドメインに同期する場合に、特定の属性を自動的に Active Directory ユーザーアカウントに追加できます。このような属性の変更は、同期合意の一部として定義します。これについては、「ユーザーアカウント属性の同期動作の変更」で説明されています。
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