8.8. ファイルシステムおよびストレージ
multipathd
は、キューに入れられた未処理の I/O を持つデバイスを正常に削除できるようになりました
以前は、multipathd
コマンドは、デバイスを削除する前に queue_if_no_path
パラメーターを無効にしませんでした。このような動作は、キューに入れられた未処理の I/O が、パーティションデバイスではなくマルチパスデバイス自体に対して存在する場合を除いて不可能でした。結果として、multipathd
がハングし、マルチパスデバイスを維持できなくなっていました。この更新により、multipathd
は、multipath -F
、multipath -f <device>
、multipathd remove maps
、multipathd remove map <device>
などの削除コマンドを実行する前に、キューイングを無効にするようになりました。その結果、multipathd
は、キューに入れられた未処理の I/O を持つデバイスを正常に削除できるようになりました。
Jira:RHEL-4998[1]
dm-crypt
および dm-verity
デバイスの no_read_workqueue
、no_write_workqueue
、try_verify_in_taskle
オプションは一時的に無効になっています
以前は、no_read_workqueue
または no_write_workqueue
オプションを使用して作成された dm-crypt
デバイスと、try_verify_in_tasklet
オプションを使用して作成された dm-verity
デバイスによってメモリー破損が発生していました。その結果、ランダムにカーネルメモリーが破損し、さまざまなシステムの問題が発生しました。この更新により、これらのオプションは一時的に無効になります。この修正により、一部のワークロードで dm-verity
と dm-crypt
のパフォーマンスが低下する可能性があることに注意してください。
Jira:RHEL-23572[1]
Multipathd はデバイスが誤って I/O をキューイングしていないかチェックするようになりました
以前は、次の条件下では、マルチパスデバイスが (失敗するように設定されていたにもかかわらず) I/O のキューイングを再開していました。
-
マルチパスデバイスの
queue_if_no_paths
パラメーターが複数回の再試行に設定されていた。 - 動作中のパスがなく、I/O をキューイングしなくなったパスデバイスが、マルチパスデバイスから削除された。
今回の更新により、問題が修正されました。その結果、キューイングが無効化され、使用可能なパスがない状態でパスが削除された場合、マルチパスデバイスは I/O のキューイングを再開しなくなりました。
Jira:RHEL-17234[1]
nvmf_log_connect_error
からの重複エントリーの削除
以前は、重複コミットマージエラーにより、nvmf_log_connect_error
カーネル関数でログメッセージが繰り返されていました。その結果、ファブリックに接続された不揮発性メモリーエクスプレス (NVMe) デバイスにカーネルが接続できなかった場合、Connect command failed
メッセージが 2 回表示されていました。この更新により、重複したログメッセージがカーネルから削除され、エラーごとに 1 つのログメッセージのみが表示されるようになりました。
Jira:RHEL-21545[1]
名前空間の追加や削除時にカーネルがクラッシュしなくなりました
以前は、NVMe 名前空間が素早く追加されたり削除されたりすると、名前空間をプローブするために使用される連続したコマンドの間に、名前空間が消えていました。特定のケースでは、ストレージ配列は invalid namespace
エラーを返さず、代わりにゼロで埋められたバッファーを返しました。その結果、divide-by-zero
によってカーネルがクラッシュしました。この更新により、カーネルは、ストレージに対して発行された Identify Namespace データ構造に対する応答からのデータを検証するようになりました。その結果、カーネルはクラッシュしなくなりました。
Jira:RHEL-14751[1]
データデバイスの新しく割り当てられたセクションが適切に整列されるようになりました
以前は、Stratis プールが拡張されると、プールの新しいリージョンを割り当てることが可能でした。しかし、新しく割り当てられたリージョンは、以前に割り当てられたリージョンと正しく整列していませんでした。その結果、パフォーマンスが低下し、また sysfs
内の Stratis シンプールの alignment_offset
ファイルにゼロ以外のエントリーが発生する場合がありました。この更新により、プールが拡張されると、データデバイスの新しく割り当てられたリージョンが、以前に割り当てられたリージョンと適切に整列するようになりました。その結果、パフォーマンスの低下が発生せず、sysfs
内の Stratis シンプールの alignment_offset
ファイルにゼロ以外のエントリーが発生しなくなりました。
/etc/fstab
にマウントポイントとして NVMe-FC デバイスを追加すると、システムが正常に起動する
以前は、nvme-cli nvmf-autoconnect systemd
サービスの既知の問題により、Non-volatile Memory Express over Fibre Channel (NVMe-FC) デバイスを /etc/fstab
ファイルのマウントポイントとして追加すると、システムが起動できませんでした。その結果、システムは緊急モードに入っていました。この更新により、NVMe-FC デバイスをマウントした際に、システムが問題なく起動するようになりました。
Jira:RHEL-8171[1]
オペレーティングシステムのインストール中に LUN が表示されるようになる
以前は、特に iSCSI iBFT (Boot Firmware Table) に保存されている CHAP (Challenge-Handshake Authentication Protocol) 認証による iSCSI ハードウェアオフロードが関係する場合、システムはファームウェアソースからの認証情報を使用していませんでした。その結果、インストール中に iSCSI ログインが失敗しました。
udisks2-2.9.4-9.el9
ファームウェア認証の修正により、この問題は解決され、インストールおよび初回起動時に LUN が表示されるようになりました。
Bugzilla:2213769[1]