4.16. 仮想化
ARM 64 で仮想化がサポートされるようになりました
この更新により、ARM 64 (別名 AArch64) CPU を使用するシステム上で KVM 仮想マシンを作成するためのサポートが導入されました。ただし、AMD64 および Intel 64 システムで利用可能な特定の仮想化機能は、ARM 64 では動作が異なったり、サポートされなかったりする場合があります。
詳細は、ARM 64 での仮想化が AMD64 および Intel 64 とどのように異なるか を参照してください。
仮想マシンの外部スナップショット
この更新により、非推奨になった内部スナップショットメカニズムに代わる、仮想マシン (VM) の外部スナップショットメカニズムが導入されました。その結果、完全にサポートされる仮想マシンスナップショットを作成、削除、および復元できるようになりました。外部スナップショットは、コマンドラインインターフェイスと RHEL Web コンソールの両方でより確実に動作します。これは、ライブスナップショットと呼ばれる実行中の仮想マシンのスナップショットにも適用されます。
ただし、一部のコマンドとユーティリティーでは内部スナップショットが作成される場合があることに注意してください。スナップショットが完全にサポートされていることを確認するには、スナップショットが external
として設定されていることを確認します。以下に例を示します。
# virsh snapshot-dumpxml VM-name snapshot-name | grep external <disk name='vda' snapshot='external' type='file'>
RHEL は仮想マシンのマルチ FD 移行をサポートするようになりました
この更新により、仮想マシンの複数のファイル記述子 (マルチ FD) の移行がサポートされるようになりました。マルチ FD 移行では、複数の並列接続を使用して仮想マシンを移行するため、利用可能なネットワーク帯域幅をすべて活用してプロセスを高速化できます。
この機能は高速ネットワーク (20 Gbps 以上) で使用することを推奨します。
Jira:RHELDOCS-16970[1]
仮想マシンの移行で、ポストコピープリエンプションがサポートされるようになりました
仮想マシンのポストコピーライブマイグレーションで postcopy-preempt
機能が使用されるようになりました。これにより、移行のパフォーマンスと安定性が向上しました。
Jira:RHEL-13004[1], Jira:RHEL-7100
Secure Execution VMs on IBM Z が暗号化コプロセッサーをサポートするようになりました。
この更新により、IBM Secure Execution on IBM Z を使用して、暗号化コプロセッサーを仲介デバイスとして仮想マシン (VM) に割り当てることができるようになりました。
暗号化コプロセッサーを仲介デバイスとして Secure Execution 仮想マシンに割り当てることで、仮想マシンのセキュリティーを損なうことなくハードウェア暗号化を使用できるようになります。
Jira:RHEL-11597[1]
KVM ゲストでサポートされる第 4 世代 AMD EPYC プロセッサー
第 4 世代 AMD EPYC プロセッサー (AMD Genoa とも呼ばれる) のサポートが、KVM ハイパーバイザーとカーネルコード、および libvirt API に追加されました。これにより、KVM 仮想マシンは第 4 世代 AMD EPYC プロセッサーを使用できるようになります。
RHEL Web コンソールの新しい仮想化機能
今回の更新で、RHEL Web コンソールに Virtual Machines ページに新機能が追加されました。以下を実行することができます。
-
仮想マシン (VM) の作成中に SSH 公開鍵を追加します。この公開鍵は、新しく作成された仮想マシン上の指定された root 以外のユーザーの
~/.ssh/authorized_keys
ファイルに保存され、指定されたユーザーアカウントへの即時 SSH アクセスが提供されます。 -
新しいストレージプールを作成するときに、
pre-formatted block device
タイプを選択します。これは、raw ディスクデバイスの意図しない再フォーマットを防ぐため、physical disk device
タイプよりも堅牢な代替手段です。
この更新により、仮想マシンページのいくつかのデフォルトの動作も変更されます。
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Add disk
ダイアログでは、Always attach
オプションがデフォルトで設定されるようになりました。 -
Create snapshot
アクションでは、RHEL 9 で非推奨となった内部スナップショットの代わりに、外部スナップショットが使用されるようになりました。外部スナップショットは信頼性が高く、qcow2
イメージだけでなく、raw
イメージでも機能します。実行中の仮想マシンのメモリー状態を保持する場合は、メモリースナップショットファイルのロケーションを選択することもできます。
Jira:RHELDOCS-17000[1]
virtio-mem
が AMD64 および Intel 64 システムでサポートされるようになりました
この更新により、AMD64 および Intel 64 システムでの virtio-mem
機能のサポートが RHEL 9 に導入されました。virtio-mem
を使用すると、仮想マシン (VM) のホストメモリーを動的に追加または削除できます。
virtio-mem
の詳細は、virtio-mem を使用した仮想マシンメモリーの追加および削除 を参照してください。
Jira:RHELDOCS-17053[1]
Web コンソールで SPICE を VNC に置き換えることができるようになる
この更新により、Web コンソールを使用して、既存の仮想マシン (VM) で SPICE リモート表示プロトコルを VNC プロトコルに置き換えることができるようになりました。
RHEL 9 では SPICE プロトコルのサポートが削除されているため、SPICE プロトコルを使用する仮想マシンは RHEL 9 ホスト上で起動できません。たとえば、RHEL 8 仮想マシンはデフォルトで SPICE を使用するため、正常に RHEL 9 へ移行するには、SPICE から VNC に切り替える必要があります。
virtio-blk
ディスクデバイスの I/O パフォーマンスの向上
この更新により、virtio-blk
ディスクデバイス内の各 virtqueue に個別の IOThread を設定できるようになります。この設定により、集中的な I/O ワークロード中に複数の CPU を搭載した仮想マシンのパフォーマンスが向上します。
VNC ビューアーが、ramfb
のライブマイグレーション後に仮想マシンディスプレイを正しく初期化する
この更新により、仮想マシン (VM) のプライマリーディスプレイとして設定できる ramfb
フレームバッファーデバイスが強化されます。以前は、ramfb
は移行できなかったため、ramfb
を使用する仮想マシンではライブマイグレーション後に空白の画面が表示されていました。現在、ramfb
は、ライブマイグレーションと互換性があります。その結果、移行が完了すると仮想マシンデスクトップが表示されます。