第1章 概要
1.1. RHEL 9.4 における主な変更点
インストーラーおよびイメージの作成
RHEL Image Builder の主なハイライト:
- RHEL 9.4 以降のリリースディストリビューションでは、オペレーティングシステム用に予約されている特定のパスを除き、任意のカスタムマウントポイントを指定できます。
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auto-lvm
、lvm
、raw
などのさまざまなパーティション設定モードを作成できます。 - ルールを追加および削除するための selected オプションと unselected オプションを使用して、プロファイルの調整オプションをカスタマイズし、ブループリントのカスタマイズにオプションを追加できます。
詳細は、新機能 - インストーラーとイメージの作成 を参照してください
RHEL for Edge
RHEL for Edge の主なハイライト:
- FIPS 準拠の RHEL for Edge イメージを作成できるようになりました。
- このテクノロジープレビューでは、Sqlite または Postgresql データベースから Owner Voucher を保存およびクエリーすることで、FDO オンボーディングプロセスを使用できます。
詳細は、新機能 - RHEL for Edge を参照してください。
セキュリティー
SELinux ユーザー空間リリース 3.6 では、SELinux ポリシーをさらにカスタマイズするための拒否ルールが導入されます。
Keylime サーバーコンポーネント (verifier および registrar) は、コンテナーとして利用できます。
Rsyslog ログ処理システムでは、カスタマイズ可能な TLS/SSL 暗号化設定と、capabilities のドロップに関連する追加オプションが導入されます。
OpenSSL TLS ツールキットは、プロバイダー固有の設定ファイル用のドロップインディレクトリーを追加します。
Linux カーネル暗号化 API (libkcapi) 1.4.0 では、新しいツールとオプションが導入されます。特に、新しい -T
オプションを使用すると、ハッシュ値の計算でターゲットファイル名を指定できます。
stunnel TLS/SSL トンネリングサービス 5.71 では、FIPS モードにある OpenSSL 1.1 以降のバージョンの動作が変更されます。この変更に加えて、バージョン 5.71 では、最新の PostgreSQL クライアントのサポートなど、多くの新機能が提供されます。
詳細は、新機能 - セキュリティー を参照してください。
動的プログラミング言語、Web サーバー、およびデータベースサーバー
次の Application Streams の新しいバージョンが利用可能になる
- Python 3.12
- Ruby 3.3
- PHP 8.2
- nginx 1.24
- MariaDB 10.11
- PostgreSQL 16
以下のコンポーネントがアップグレードされました。
- Git がバージョン 2.43.0 へ
- Git LFS がバージョン 3.4.1 へ
詳細は、新機能 - 動的プログラミング言語、Web サーバー、およびデータベースサーバー を参照してください。
コンパイラーおよび開発ツール
パフォーマンスツールとデバッガーの更新
RHEL 9.4 では、以下のパフォーマンスツールおよびデバッガーが更新されました。
- Valgrind 3.22
- SystemTap 5.0
- elfutils 0.190
更新されたパフォーマンスモニタリングツール
RHEL 9.4 では、以下のパフォーマンスモニタリングツールが更新されました。
- PCP 6.2.0
更新されたコンパイラーツールセット
次のコンパイラーツールセットが RHEL 9.4 で更新されました。
- GCC Toolset 13
- LLVM Toolset 17.0.6
- Rust Toolset 1.75.1
- Go Toolset 1.21.7
詳しい変更点は、新機能 - コンパイラーと開発ツール を参照してください。
Identity Management
Identity Management の主なハイライト:
- SSSD でパスワードレス認証を有効にして設定し、YubiKey などの FIDO2 仕様と互換性のある生体認証デバイスを使用できます。
詳細は、新機能 - Identity Management を参照してください。
仮想化
RHEL 9.4 では、64 ビット ARM アーキテクチャー上の KVM 仮想マシンの完全なサポートが導入されています。
さらに、仮想マシンの外部スナップショットが完全にサポートされ、多くのスナップショット操作のデフォルトのメカニズムになりました。
このリリースで導入された仮想化機能の詳細は、新機能 - 仮想化 を参照してください。
コンテナー
主な変更点は、以下のとおりです。
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マルチアーキテクチャーコンテナーイメージを作成するための
podman farm build
コマンドが、テクノロジープレビューとして利用できます。 -
Podman は、事前に定義された設定セットをロードするための
containers.conf
モジュールをサポートするようになりました。 - Container Tools パッケージが更新されました。
- Podman v4.9 RESTful API では、イメージをレジストリーにプルまたはプッシュするときに、進捗データが表示されるようになりました。
- SQLite は、Podman のデフォルトのデータベースバックエンドとして完全にサポートされるようになりました。
-
Containerfile
は、複数行の HereDoc 命令をサポートするようになりました。 -
ネットワーク名としての
pasta
は非推奨になりました。 - BoltDB データベースバックエンドは非推奨になりました。
-
container-tools:4.0
モジュールは非推奨になりました。 - Container Network Interface (CNI) ネットワークスタックは非推奨となり、今後のリリースでは削除される予定です。
詳細は、新機能 - コンテナー を参照してください。