8.8. 64 ビット IBM Z のパラメーターおよび設定ファイル
64 ビット IBM Z のパラメーターと設定ファイルを使用して、RHEL をカスタマイズおよび設定できます。
8.8.1. 64 ビット IBM Z で必要な設定ファイルパラメーター リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
いくつかのパラメーターは必須のパラメーターなので、必ずパラメーターファイルに追加してください。このパラメーターはインストール DVD の images/
ディレクトリー内にある generic.prm
ファイルでも提供されています。
ro
RAM ディスクであり、読み取り専用である root ファイルシステムをマウントします。
ramdisk_size=size
RAM ディスク用に予約されているメモリーサイズを、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムを格納できるサイズに修正します。たとえば、
ramdisk_size=40000
のようになります。
generic.prm
ファイルには、追加のパラメーター "cio_ignore=all,!condev" も含まれています。この設定は、デバイスが多いシステムで、起動とデバイス検出を高速化します。インストールプログラムは、無視するデバイスのアクティベーションを透過的に処理します。
8.8.2. 64 ビット IBM z/VM 設定ファイル リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
z/VM では、CMS でフォーマットしたディスクの設定ファイルを使用できます。CMS 設定ファイルの目的は、パラメーターファイル内の領域を節約することにあります。これは、初期ネットワークや、DASD および FCP 仕様を設定するパラメーターを、パラメーターファイルから移動することにより実行します。
CMS 設定ファイルでは、1 つの変数が 1 行で表されます。variable=value
のようなシェルスタイルの構文で値が設定されます。
パラメーターファイルには、CMSDASD
パラメーターおよび CMSCONFFILE
のパラメーターも追加する必要があります。このパラメーターは、設定ファイルの場所をインストールプログラムに指定します。
CMSDASD=cmsdasd_address
cmsdasd_address は、設定ファイルを格納している CMS フォーマット済みディスクのデバイス番号です。一般的には、CMS ユーザーの
A
ディスクになります。たとえば、
CMSDASD=191
となります。CMSCONFFILE=configuration_file
configuration_file は、設定ファイル名になります。この値は小文字で指定してください。
CMS_file_name.CMS_file_type
などの Linux ファイル名の形式で指定します。CMS ファイルの
REDHAT CONF
はredhat.conf
として指定されます。CMS のファイル名およびファイルタイプは、それぞれ CMS 規則に従い 1 文字から 8 文字の長さにします。たとえば、
CMSCONFFILE=redhat.conf
となります。
8.8.3. 64 ビット IBM Z でのインストールネットワーク、DASD および FCP パラメーター リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
このようなパラメーターは、準備段階のネットワークを自動的に設定するために使用され、CMS 設定ファイル内で定義できます。このパラメーターは、CMS 設定ファイルでも使用できるパラメーターのみに限定されます。その他のセクションで扱われるその他のパラメーターはすべて、パラメーターファイル内で指定する必要があります。
NETTYPE="type"
type は、
qeth
、lcs
、ctc
のいずれかにしてください。デフォルトはqeth
です。以下を使用する場合は
qeth
を選択します。- OSA-Express 機能
- HiperSockets
VSWITCH およびゲスト LAN を含む z/VM 上の仮想接続
以下を使用する場合は
ctc
を選択します。- チャネル間ネットワーク接続
SUBCHANNELS="device_bus_IDs"
device_bus_IDs は、コンマで区切られた 2 つまたは 3 つのデバイスバス ID になります。ID は小文字で指定する必要があります。
各ネットワークインターフェイスに、それぞれ必要なデバイスバス ID を入力します。
qeth: SUBCHANNELS="read_device_bus_id,write_device_bus_id,data_device_bus_id" lcs or ctc: SUBCHANNELS="read_device_bus_id,write_device_bus_id"
qeth: SUBCHANNELS="read_device_bus_id,write_device_bus_id,data_device_bus_id" lcs or ctc: SUBCHANNELS="read_device_bus_id,write_device_bus_id"
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow 以下に例を示します (qeth SUBCHANNEL ステートメントの場合)。
SUBCHANNELS="0.0.f5f0,0.0.f5f1,0.0.f5f2"
SUBCHANNELS="0.0.f5f0,0.0.f5f1,0.0.f5f2"
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow PORTNO="portnumber"
-
PORTNO="0"
(ポート 0 を使用) またはPORTNO="1"
(各 CHPID にポートが 2 つある OSA 機能のポート 1 を使用) のどちらかを追加できます。 LAYER2="value"
value は、
0
または1
です。レイヤー 3 モード (
NETTYPE="qeth"
) で OSA または HiperSocket を動作させる場合は、LAYER2="0"
を使用します。レイヤー 2 モードの場合は、LAYER2="1"
を使用します。z/VM 環境の仮想ネットワークデバイスの場合、この設定はデバイスを接続する GuestLAN または VSWITCH の定義と同じにしてください。DHCP などのレイヤー 2 (Data Link Layer またはその MAC サブレイヤー) で動作するネットワークサービスを使用する場合は、レイヤー 2 モードを選択することが推奨されます。
OSA デバイス用の qeth デバイスドライバーのデフォルトがレイヤー 2 モードになります。以前のデフォルトであるレイヤー 3 モードを引き続き使用する場合は、
LAYER2="0"
を明示的に設定します。VSWITCH="value"
value は、
0
または1
です。z/VM VSWITCH または GuestLAN に接続する場合は
VSWITCH="1"
を指定します。実際の OSA または実際の HiperSocket を直接接続して使用する場合はVSWITCH="0"
を指定します (または何も指定しません)。MACADDR="MAC_address"
LAYER2="1"
とVSWITCH="0"
を指定している場合は、このパラメーターを使用して MAC アドレスを指定することもできます。Linux では、小文字と 16 進数の組み合わせをコロンで区切った、6 つのオクテット形式が必要です (MACADDR=62:a3:18:e7:bc:5f
など)。これは、z/VM で使用される表記とは異なります。LAYER2="1"
とVSWITCH="1"
を指定する場合は、MACADDR
を指定しないでください。レイヤー 2 モードの場合は、z/VM により固有の MAC アドレスが仮想ネットワークデバイスに割り当てられます。CTCPROT="value"
value は、
0
、1
、または3
です。NETTYPE="ctc"
の CTC プロトコルを指定します。デフォルトは0
です。HOSTNAME="string"
- string は、新たにインストールした Linux インスタンスのホスト名です。
IPADDR="IP"
- IP は、新しい Linux インスタンスの IP アドレスです。
NETMASK="netmask"
netmask はネットマスクです。
IPv4 の CIDR (クラスレス相互ドメインルーティング) で規定されているように、ネットマスクでは接頭辞の整数 (1 から 32) の構文に対応しています。たとえば、
255.255.255.0
の代わりに24
を指定したり、255.255.240.0
の代わりに20
を指定できます。GATEWAY="gw"
- gw は、このネットワークデバイスのゲートウェイ IP アドレスです。
MTU="mtu"
- mtu は、このネットワークデバイスの Maximum Transmission Unit (MTU) です。
DNS="server1:server2:additional_server_terms:serverN"
"server1:server2:additional_server_terms:serverN" は、コロンで区切った DNS サーバーのリストです。以下に例を示します。
DNS="10.1.2.3:10.3.2.1"
DNS="10.1.2.3:10.3.2.1"
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow SEARCHDNS="domain1:domain2:additional_dns_terms:domainN"
"domain1:domain2:additional_dns_terms:domainN" は、コロンで区切った検索ドメインのリストです。以下に例を示します。
SEARCHDNS="subdomain.domain:domain"
SEARCHDNS="subdomain.domain:domain"
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow SEARCHDNS=
の指定が必要となるのは、DNS=
パラメーターを使用する場合のみです。DASD=
DASD または DASD の範囲を定義して、インストールを設定します。
インストールプログラムは、オプション属性である
ro
、diag
、erplog
、failfast
のオプション属性が指定された、デバイスバス ID のコンマ区切りリスト、またはデバイスバス ID の範囲をサポートします。必要に応じて、デバイス番号で先行するゼロを除くことでデバイスバス ID を短縮できます。いずれのオプション属性も、コロンで区切り、括弧で囲む必要があります。オプションの属性は、デバイスバス ID、またはデバイスバス ID の範囲の後に続きます。グローバルオプションは
autodetect
のみサポートされています。ここでは、存在しない DASD の仕様をサポートして、後で追加する DASD 用にカーネルデバイス名を確保するということは行いません。永続性のある DASD デバイス名 (例:/dev/disk/by-path/name
) を使用して、後で透過的なディスクを追加できるようにします。probeonly
、nopav
、nofcx
などの他のグローバルオプションは、インストールプログラムではサポートされていません。システムにインストールする必要がある DASD だけを指定します。ここで指定した未フォーマットの DASD はすべて、インストールプログラムで後で確認してからフォーマットする必要があります。
インストール後に、root ファイルシステム、または
/boot
パーティションに必要ではないデータの DASD を追加します。以下に例を示します。
DASD="eb1c,0.0.a000-0.0.a003,eb10-eb14(diag),0.0.ab1c(ro:diag)"
DASD="eb1c,0.0.a000-0.0.a003,eb10-eb14(diag),0.0.ab1c(ro:diag)"
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow FCP_n="device_bus_ID [WWPN FCP_LUN]"
FCP のみの環境では、DASD が存在しないことを示すために、CMS 設定ファイルから
DASD=
オプションを削除します。FCP_n="device_bus_ID [WWPN FCP_LUN]"
FCP_n="device_bus_ID [WWPN FCP_LUN]"
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow 詳細は以下のようになります。
-
通常、n は整数値になりますが (
FCP_1
、FCP_2
など)、アルファベット、数字、下線などを使用した文字列でも構いません。 -
device_bus_ID は、HBA (ホストバスアダプター) (例: デバイス fc00 の場合は
0.0.fc00
) を表す FCP デバイスのデバイスバス ID を指定します。 -
WWPN は、ルーティングに使用される世界共通のポート名です (マルチパスと併用されることが多い)。16 桁の 16 進数の値 (
0x50050763050b073d
など) になります。 -
FCP_LUN は、ストレージの論理ユニット識別子を指し、16 桁の 16 進数の右側にゼロを加えた値 (
0x4020400100000000
など) で指定します。
-
通常、n は整数値になりますが (
zfcp.allow_lun_scan=0
カーネルモジュールパラメーターにより auto LUN スキャンが無効になっているか、RHEL-9.0 以前のリリースをインストールする場合、zFCP
デバイスが NPIV モードで設定されていないときは、ターゲットのワールドワイドポート名 (WWPN) および FCP_LUN を指定する必要があります。それ以外の場合は、device_bus_ID
値のみは必須です。
この変数は、システムで、FCP デバイスとともに使用して、SCSI ディスクなどの FCP LUN をアクティベートできます。新たな FCP LUN はインストール中に対話式に、またはキックスタートファイルを介してアクティベートできます。サンプル値は以下のようになります。
FCP_1="0.0.fc00 0x50050763050b073d 0x4020400100000000" FCP_2="0.0.4000"
FCP_1="0.0.fc00 0x50050763050b073d 0x4020400100000000" FCP_2="0.0.4000"
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow FCP パラメーターで使用する各値 (
FCP_1
、FCP_2
など) はサイト固有となるため、通常は FCP ストレージ管理者から提供されます。
8.8.4. 64 ビット IBM Z へのキックスタートインストールのパラメーター リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
以下のパラメーターは、パラメーターファイル内で定義できますが、CMS 設定ファイル内では機能しません。
inst.ks=URL
- キックスタートファイルを参照します。これは通常、64 ビットの IBM Z 上の Linux インストールのネットワークにあります。URL を、キックスタートファイルのファイル名を含む完全なパスに置き換えます。このパラメーターは、キックスタートによる自動インストールを有効にします。
inst.cmdline
-
インストールプログラムは、cmdline モード内での対話式のユーザー入力をサポートしないため、すべての質問に回答するキックスタートファイルによるインストールが必要になります。キックスタートファイルに必要なパラメーターがすべて含まれていることを確認してから、
inst.cmdline
オプションを使用してください。必要なコマンドがないと、インストールが失敗します。
8.8.5. 64 ビット IBM Z のその他のパラメーター リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
パラメーターファイルでは次のパラメーターを定義できますが、CMS 設定ファイルでは機能しません。
rd.live.check
-
ISO ベースのインストールソースのテストを起動します。たとえば、ローカルディスク上、または NFS でマウントした ISO で
inst.repo=
を使用する場合などにテストします。 inst.nompath
- マルチパスデバイスのサポートを無効にします。
inst.proxy=[protocol://][username[:password]@]host[:port]
- HTTP、HTTPS、または FTP を介したインストールで使用するプロキシーを指定します。
inst.rescue
- RAM ディスクからレスキューシステムを起動して、インストールされたシステムを修正または復元できます。
inst.stage2=URL
install.img
ディレクトリーではなく、install.img
を含むツリーへのパスを指定します。それ以外は、inst.repo=
の構文に従います。inst.stage2
が指定されていると、それがinstall.img
を検索する他の方法よりも優先されます。ただし、Anaconda が、ローカルメディア上でinstall.img
を検出すると、inst.stage2
の URL は無視されます。stage2
が指定されておらず、install.img
がローカルで見つからない場合、Anaconda はinst.repo=
またはmethod=
で指定された場所を検索します。inst.repo=
やmethod=
を使用せずにstage2=
だけが指定されていると、Anaconda は、インストール用にデフォルトで有効にされているインストール済みシステムのリポジトリーを使用します。複数の HTTP、HTTPS、または FTP ソースを指定する場合は、オプションを複数回使用します。複数の HTTP、HTTPS、または FTP のパスが指定されると、いずれかが成功するまで順番に試行されます。
inst.stage2=http://hostname/path_to_install_tree/ inst.stage2=http://hostname/path_to_install_tree/ inst.stage2=http://hostname/path_to_install_tree/
inst.stage2=http://hostname/path_to_install_tree/ inst.stage2=http://hostname/path_to_install_tree/ inst.stage2=http://hostname/path_to_install_tree/
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow inst.syslog=IP/hostname[:port]
- ログメッセージをリモートの syslog サーバーに送信します。
ここで説明されているブートパラメーターは、64 ビットの IBM Z へのインストールとトラブルシューティングに非常に便利ですが、インストールプログラムに影響を及ぼすのはこれらのサブセットのみです。
8.8.6. 64 ビット IBM Z のサンプルパラメーターファイルおよび CMS 設定ファイル リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
パラメーターファイルを変更する場合は、配布されている generic.prm
ファイルの拡張から始めてください。
generic.prm
ファイルの例:
ro ramdisk_size=40000 cio_ignore=all,!condev CMSDASD="191" CMSCONFFILE="redhat.conf" inst.rdp inst.repo=http://example.com/path/to/dvd-contents
ro ramdisk_size=40000 cio_ignore=all,!condev
CMSDASD="191" CMSCONFFILE="redhat.conf"
inst.rdp
inst.repo=http://example.com/path/to/dvd-contents
QETH ネットワークデバイスを設定する redhat.conf
ファイルの例 (generic.prm
内の CMSCONFFILE
により指定されています)