第2章 仮想化の使用
RHEL 8 の仮想化 を使用をする場合は、以下の手順に従ってください。これに対するデフォルトの方法はコマンドラインインターフェイス (CLI) ですが、便宜上、手順の一部は Web コンソールの GUI で完了できます。
- 仮想化モジュールを有効にし、仮想化パッケージをインストールします。Enabling virtualization を参照してください。
仮想マシンを作成します。
- CLI の場合は、Creating virtual machines using the command-line interface を参照してください。
- GUI の場合は、Creating virtual machines and installing guest operating systems using the web console を参照してください。
仮想マシンを起動します。
- CLI の場合は、Starting a virtual machine using the command-line interface を参照してください。
- GUI の場合は、Starting virtual machines using the web console を参照してください。
仮想マシンに接続します。
- CLI の場合は、Connecting to a virtual machine using SSH または Opening a virtual machine graphical console using Virt Viewer を参照してください。
- GUI の場合は、Interacting with virtual machines using the web console を参照してください。
現在、Web コンソールでは、仮想マシン管理機能のサブセットしか提供されないため、RHEL 8 での仮想化の高度な使用には、コマンドラインを使用することが推奨されます。
2.1. 仮想化の有効化
RHEL 8 で仮想化を使用するには、仮想化モジュールを有効にし、仮想化パッケージをインストールして、システムが仮想マシン (VM) をホストするように設定されていることを確認する必要があります。
前提条件
- ホストマシンに RHEL 8 がインストールされ、登録されている。
システムが仮想ホストとして機能するように、以下のハードウェア要件を満たしている。
最低でも、以下のシステムリソースが利用できる。
- ホスト用に 6 GB と、各仮想マシン用に 6 GB の空きディスク容量。
- ホスト用に 2 GB と、各仮想マシン用に 2 GB の RAM。
- ホスト上の 4 つの CPU通常、仮想マシンは、割り当てられた 1 つの vCPU で実行できますが、Red Hat は、高負荷時に仮想マシンが応答しなくならないように、仮想マシンごとに 2 つ以上の vCPU を割り当てることを推奨します。
ホストマシンのアーキテクチャーが KVM 仮想化 に対応している。
- 特に、RHEL 8 は、64 ビット ARM アーキテクチャー (ARM 64) では仮想化に対応していません。
以下の手順は、AMD64 および Intel 64 のアーキテクチャー (x86_64) に適用されます。対応しているアーキテクチャーが異なるホストで仮想化を有効にする場合は、以下のいずれかのセクションを参照してください。
手順
RHEL 8 仮想化モジュールにパッケージをインストールします。
# yum module install virt
virt-install
パッケージおよびvirt-viewer
パッケージをインストールします。# yum install virt-install virt-viewer
libvirtd
サービスを開始します。# systemctl start libvirtd
検証
システムが仮想ホストとして準備されていることを確認します。
# virt-host-validate [...] QEMU: Checking for device assignment IOMMU support : PASS QEMU: Checking if IOMMU is enabled by kernel : WARN (IOMMU appears to be disabled in kernel. Add intel_iommu=on to kernel cmdline arguments) LXC: Checking for Linux >= 2.6.26 : PASS [...] LXC: Checking for cgroup 'blkio' controller mount-point : PASS LXC: Checking if device /sys/fs/fuse/connections exists : FAIL (Load the 'fuse' module to enable /proc/ overrides)
virt-host-validate
チェックの戻り値を確認し、適切なアクションを実行します。-
virt-host-validate
のすべての項目でPASS
値が返された場合は、システムに 仮想マシンを作成する 準備ができています。 -
いずれかの項目で
FAIL
が返された場合は、表示される指示に従って問題を解決してください。 -
いずれかの項目で
WARN
が返された場合は、表示される指示に従って仮想化機能を向上させることを検討してください。
-
トラブルシューティング
KVM 仮想化がホスト CPU でサポートされていない場合は、
virt-host-validate
は以下の出力を生成します。QEMU: Checking for hardware virtualization: FAIL (Only emulated CPUs are available, performance will be significantly limited)
ただし、このようなホストシステムにある仮想マシンは、パフォーマンス上の問題が発生するのではなく、起動に失敗します。
これを回避するには、仮想マシンの XML 設定の
<domain type>
値をqemu
に変更します。ただし、Red Hat はqemu
ドメインタイプを使用する仮想マシンに対応していないため、実稼働環境ではこれを設定しないことを強く推奨している点に注意してください。