11.8. カーネル
Mellanox ConnectX-5
アダプターの使用中に mlx5
ドライバーが失敗します。
イーサネットスイッチデバイスドライバーモデル (switchdev
) モードでは、デバイス管理フローステアリング (DMFS) パラメーターと ConnectX-5
アダプターがサポートするハードウェアを使用して設定されていると、mlx5
ドライバーが失敗します。その結果、次のエラーメッセージが表示されることがあります。
BUG: Bad page cache in process umount pfn:142b4b
この問題を回避するには、DMFS の代わりにソフトウェア管理フローステアリング (SMFS) パラメーターを使用する必要があります。
(BZ#2180665)
Secure Boot で FADump を有効にすると、GRUB Out of Memory (OOM) が発生する可能性があります。
Secure Boot 環境では、GRUB と PowerVM は、ブートメモリー用に、RMA (Real Mode Area) と呼ばれる 512 MB のメモリー領域を割り当てます。リージョンはブートコンポーネントに分割され、いずれかのコンポーネントが割り当てを超えると、メモリー不足の問題が発生します。
通常、デフォルトでインストールされている initramfs
ファイルシステムと vmlinux
シンボルテーブルは、このような障害を回避するために割り当て制限内に抑えられています。ただし、システムで Firmware Assisted Dump (FADump) が有効になっている場合は、デフォルトの initramfs
サイズが増加して 95 MB を超える可能性があります。これにより、システムを再起動するたびに GRUB OOM 状態になります。
この問題を回避するには、Secure Boot と FADump を一緒に使用しないでください。この問題の回避方法は、https://www.ibm.com/support/pages/node/6846531 を参照してください。
(BZ#2149172)
kmod
の weak-modules
がモジュールの相互依存関係で機能しない
kmod
パッケージによって提供される weak-modules
スクリプトは、どのモジュールがインストールされたカーネルと kABI 互換であるかを判別します。しかし、weak-modules
は、モジュールのカーネル互換性をチェックする際に、モジュールシンボルの依存関係を、そのビルド対象のカーネルの新しいリリースから古いリリースの順に処理します。結果として、異なるカーネルリリースに対して構築された相互依存関係を持つモジュールは互換性がないと解釈される可能性があるため、weak-modules
はこのシナリオでは機能しません。
この問題を回避するには、新しいカーネルをインストールする前に、最新のストックカーネルに対して追加のモジュールをビルドまたは配置します。
(BZ#2103605)
kdump
サービスが IBM Z システムで initrd
ファイルの構築に失敗する
64 ビットの IBM Z システムでは、s390-
subchannels などの znet
関連の設定情報が非アクティブな NetworkManager
接続プロファイルに存在する場合、kdump
サービスは初期 RAM ディスク (initrd
) のロードに失敗します。その結果、kdump
メカニズムは次のエラーで失敗します。
dracut: Failed to set up znet kdump: mkdumprd: failed to make kdump initrd
回避策として、次のいずれかの解決策を使用してください。
znet
設定情報を持つ接続プロファイルを再利用して、ネットワークボンディングまたはブリッジを設定します。$ nmcli connection modify enc600 master bond0 slave-type bond
非アクティブな接続プロファイルからアクティブな接続プロファイルに
znet
設定情報をコピーします。nmcli
コマンドを実行して、NetworkManager
接続プロファイルを照会します。# nmcli connection show NAME UUID TYPE Device bridge-br0 ed391a43-bdea-4170-b8a2 bridge br0 bridge-slave-enc600 caf7f770-1e55-4126-a2f4 ethernet enc600 enc600 bc293b8d-ef1e-45f6-bad1 ethernet --
非アクティブな接続からの設定情報でアクティブなプロファイルを更新します。
#!/bin/bash inactive_connection=enc600 active_connection=bridge-slave-enc600 for name in nettype subchannels options; do field=802-3-ethernet.s390-$name val=$(nmcli --get-values "$field"connection show "$inactive_connection") nmcli connection modify "$active_connection" "$field" $val" done
変更を有効にするために
kdump
サービスを再起動します。# kdumpctl restart
kdump
メカニズムは、LUKS 暗号化ターゲットで vmcore
ファイルをキャプチャーできない
Linux Unified Key Setup (LUKS) で暗号化されたパーティションを使用するシステムで kdump
を実行する場合、システムには一定量の使用可能なメモリーが必要です。使用可能なメモリーが必要なメモリー量より少ない場合、systemd-cryptsetup
サービスはパーティションのマウントに失敗します。その結果、2 番目のカーネルは LUKS 暗号化ターゲット上のクラッシュダンプファイル (vmcore
) のキャプチャに失敗します。
kdumpctl estimate
コマンドを使用すると、kdump
に必要な推奨メモリーサイズである 推奨クラッシュカーネル値
を照会できます。
この問題を回避するには、次の手順を使用して、LUKS 暗号化ターゲットで kdump
に必要なメモリーを設定します。
推定
crashkernel
値を出力します。# kdumpctl estimate
crashkernel
の値を増やして、必要なメモリー量を設定します。# grubby --args=crashkernel=652M --update-kernel=ALL
システムを再起動して、変更を反映させます。
# reboot
これにより、LUKS で暗号化したパーティションがあるシステムで kdump
が正常に機能します。
(BZ#2017401)
起動時にクラッシュカーネルメモリーの割り当てに失敗する
特定の Ampere Altra システムでは、利用可能なメモリーが 1 GB 未満の場合に、起動中に kdump
の使用に対してクラッシュカーネルメモリーの割り当てに失敗します。その結果、kdumpctl
コマンドは kdump
サービスの起動に失敗します。
この問題を回避するには、以下のいずれかを実行します。
-
crashkernel
パラメーターの値を 240 MB 以上減らしてサイズ要件に合わせます (例:crashkernel=240M
)。 -
crashkernel=x,high
オプションを使用して、kdump
用に 4 GB を超えるクラッシュカーネルメモリーを予約します。
その結果、Ampere Altra システムで kdump
のクラッシュカーネルメモリー割り当てが失敗しなくなりました。
デフォルトでは、Delay Accounting
機能は SWAPIN
および IO%
統計列を表示しません。
初期のバージョンとは異なり、Delayed Accounting
機能はデフォルトで無効になっています。その結果、iotop
アプリケーションは SWAPIN
および IO%
統計列を表示せず、次の警告を表示します。
CONFIG_TASK_DELAY_ACCT not enabled in kernel, cannot determine SWAPIN and IO%
taskstats
インターフェイスを使用する Delay Accounting
機能は、スレッドグループに属するすべてのタスクまたはスレッドの遅延統計を提供します。タスク実行の遅延は、カーネルリソースが利用可能になるのを待つときに発生します。たとえば、空き CPU が実行されるのを待っているタスクです。統計は、タスクの CPU 優先度、I/O 優先度、および rss
制限値を適切に設定するのに役立ちます。
回避策として、実行時または起動時に delayacct
起動オプションを有効にできます。
実行時に
delayacct
を有効にするには、次のように入力します。echo 1 > /proc/sys/kernel/task_delayacct
このコマンドはシステム全体で機能を有効にしますが、このコマンドの実行後に開始したタスクに対してのみ有効であることに注意してください。
起動時に
delayacct
を永続的に有効にするには、次のいずれかの手順を使用します。/etc/sysctl.conf
ファイルを編集して、デフォルトのパラメーターをオーバーライドします。次のエントリーを
/etc/sysctl.conf
ファイルに追加します。kernel.task_delayacct = 1
詳細は、Red Hat Enterprise Linux で sysctl 変数を設定する方法 を参照してください。
- システムを再起動して、変更を反映させます。
GRUB 2 設定ファイルを編集して、デフォルトのパラメーターをオーバーライドします。
-
/etc/default/grub
ファイルのGRUB _CMDLINE_LINUX
エントリーにdelayacct
オプションを追加します。 grub2-mkconfig
ユーティリティーを実行して、ブート設定を再生成します。# grub2-mkconfig -o /boot/grub2/grub.cfg
詳細は、カーネルコマンドラインを永続的に変更するにはどうすればよいですか? を参照してください。.
- システムを再起動して、変更を反映させます。
-
その結果、iotop
アプリケーションは SWAPIN
および IO%
統計列を表示します。
(BZ#2132480)
kTLS は、TLS 1.3 の NIC へのオフロードをサポートしない
Kernel Transport Layer Security(kTLS) は、TLS 1.3 の NIC へのオフロードをサポートしていません。そのため、NIC が TLS オフロードをサポートしていても、TLS 1.3 によるソフトウェア暗号化が使用されます。この問題を回避するには、オフロードが必要な場合は TLS 1.3 を無効にしてください。その結果、TLS 1.2 のみをオフロードすることができます。TLS 1.3 が使用されている場合、TLS 1.3 をオフロードすることができないため、パフォーマンスが低下します。
(BZ#2000616)
iwl7260-firmware
により、Intel Wi-Fi 6 AX200、AX210、および Lenovo ThinkPad P1 Gen 4 で Wi-Fi が切断される
iwl7260-firmware
または iwl7260-wifi
ドライバーを RHEL 8.7 および/または RHEL 9.1 (およびそれ以降) によって提供されるバージョンに更新した後、ハードウェアが正しくない内部状態になります。状態を誤って報告します。その結果、Intel Wifi 6 カードが機能せず、次のエラーメッセージが表示される場合があります。
kernel: iwlwifi 0000:09:00.0: Failed to start RT ucode: -110 kernel: iwlwifi 0000:09:00.0: WRT: Collecting data: ini trigger 13 fired (delay=0ms) kernel: iwlwifi 0000:09:00.0: Failed to run INIT ucode: -110
未確認の回避策は、システムの電源をオフにしてから再度オンにすることです。再起動しないでください。
(BZ#2129288)
64 ビット ARM CPU で正しくコンパイルされたドライバーでのプログラム失敗に関して dkms
が誤った警告を出す
Dynamic Kernel Module Support (dkms
) ユーティリティーは、64 ビット ARM CPU のカーネルヘッダーが、ページサイズが 4 キロバイトのカーネルと 64 キロバイトのカーネルの両方で動作することを認識しません。その結果、dkms
は、カーネルの更新時に kernel-64k-devel
パッケージがインストールされていない場合、正しくコンパイルされたドライバーでプログラムが失敗した理由に関して誤った警告を出します。この問題を回避するには、kernel-headers
パッケージをインストールします。このパッケージは、両タイプの ARM CPU アーキテクチャー用のヘッダーファイルを含むもので、dkms
とその要件に特化したものではありません。
(JIRA:RHEL-25967)