5.5. フェンスデバイスの設定
フェンスデバイスの設定は、クラスター用のフェンスデバイスの作成、更新、削除で行います。クラスター内のノードにフェンシングを設定するには、まずクラスター内でフェンスデバイスを作成して、名前をつけます。クラスター内の個別ノードのフェンシング設定に関する情報は、「クラスターメンバー用のフェンシングの設定」 を参照してください。
フェンスデバイスを設定する前に、使用しているシステムのフェンスデーモンプロパティの一部をデフォルト値から変更してください。フェンスデーモンに設定する値はクラスター用の一般的な値です。以下に、変更する可能性があるクラスターの一般的なフェンシングプロパティをまとめています:
post_fail_delay
属性は、ノードに障害が起こった後にノード (フェンスドメインのメンバー) をフェンスするまでフェンスデーモン (fenced
) が待機する秒数です。post_fail_delay
のデフォルト値は0
です。この値はクラスター及びネットワークパフォーマンスに合わせて変更できます。post-join_delay
属性は、ノードが fence ドメインを結合してからノードをフェンシングするまでの fence daemon (fenced
) の待機時間 (秒数) です。post_join_delay
のデフォルト値は、6
で、 の一般的な設定は 20 秒から 30 秒の間となっていますが、クラスターやネットワークのパフォーマンスにより左右されます。
post_fail_delay
および post_join_delay
属性の値を ccs
コマンドの--setfencedaemon
オプションでリセットします。ただし、ccs --setfencedaemon
コマンドを実行すると、明示的に設定された既存のフェンスデーモンプロパティをすべて上書きして、デフォルト値にリストアする点に注意してください。
例えば、
post_fail_delay
属性の値を設定するには、以下のコマンドを実行します。すると、この属性値以外で、このコマンドで設定した既存のフェンスデーモンプロパティが、デフォルト値にリストアします。
ccs -h host --setfencedaemon post_fail_delay=value
post_join_delay
属性の値を設定するには、以下のコマンドを実行します。すると、この属性値以外で、このコマンドで設定した既存のフェンスデーモンプロパティが、デフォルト値にリストアします。
ccs -h host --setfencedaemon post_join_delay=value
post_join_delay
属性と post_fail_delay
属性両方の値を設定するには、以下のコマンドを実行します。
ccs -h host --setfencedaemon post_fail_delay=value post_join_delay=value
注記
post_join_delay
属性と post_fail_delay
属性に関する詳細、及び変更可能な追加のフェンスデーモンプロパティの詳細については、fenced(8) の man ページ、/usr/share/cluster/cluster.rng
にあるクラスタースキーマ、/usr/share/doc/cman-X.Y.ZZ/cluster_conf.html
の注釈付きスキーマを参照してください。
クラスターにフェンスデバイスを設定するには、以下のコマンドを実行します:
ccs -h host --addfencedev devicename [fencedeviceoptions]
例えば、クラスターノード
node1
の設定ファイルに、IP アドレスが apc_ip_example
、ログイン名が login_example
、パスワードが password_example
である my_apc
と呼ばれる APC フェンスデバイスを設定するには、次のコマンドを実行します。
ccs -h node1 --addfencedev myfence agent=fence_apc ipaddr=apc_ip_example login=login_example passwd=password_example
次の例は、この APC フェンスデバイスを追加した後の
cluster.conf
設定ファイルの fencedevices
セクションを示しています。
<fencedevices> <fencedevice agent="fence_apc" ipaddr="apc_ip_example" login="login_example" name="my_apc" passwd="password_example"/> </fencedevices>
クラスターにフェンスデバイスを設定する場合、クラスターに利用可能なデバイスや各デバイスに使用できるオプションの一覧を確認すると役立つ場合があります。また、使用しているクラスターに現在設定されているフェンスデバイスの一覧を確認することもよいでしょう。利用可能なフェンスデバイスの一覧及び使用しているクラスターに現在設定されているフェンスデバイスの一覧を表示するための
ccs
コマンドの使用方法については、「フェンスデバイスとフェンスデバイスオプションの一覧表示」 を参照してください。
クラスター設定からフェンスデバイスを削除するには、以下のコマンドを実行します:
ccs -h host --rmfencedev fence_device_name
例えば、
myfence
と呼ばれるフェンスデバイスをクラスターノード node1
上にあるクラスター設定ファイルから削除するには、以下のコマンドを実行します:
ccs -h node1 --rmfencedev myfence
既に設定済のフェンスデバイスの属性を修正する必要があれば、まずそのフェンスデバイスを削除して、その後に修正した属性を持つフェンスデバイスを再度追加します。
「クラスタノード群への設定ファイルの伝播」 に説明してあるように、クラスターの全コンポーネントの設定を終了した時点で、クラスター設定ファイルを全てのノードに対して同期する必要がある点に注意してください。