2.9. Quorum Disk 使用に関する注意事項
Quorum Disk は、ディスクベースの quorum (定足数)デーモン
qdiskd
で、補助的なヒューリスティックを提供してノードの健全性を判定します。ヒューリスティックを使用することで、ネットワークパーティションが発生した場合に、ノードの運用に重要となる要素を決定できます。例えば、3:1 に分かれた 4 ノードクラスターでは、通常 3 つのノードが 3 対 1 の過半数で自動的に「勝ち」ます。この状況では、1 つのノードがフェンスされます。しかし、qdiskd
を使用すると、クリティカルなリソース (例: クリティカルなネットワークパス) へのアクセスを基にしてその 1 つのノードが勝てるようにヒューリスティックを設定できます。使用しているクラスターにノードの健全性を判定する追加のメソッドが必要な場合は、そのニーズに合うように qdiskd
を設定することをお勧めします。
注記
ノードの健全性に特別な要件がない限りは
qdiskd
を設定する必要はありません。特別な要件の例としては、「all-but-one (1 つ以外は全て)」の設定があります。all-but-one 設定では、1 つのノードだけが機能している場合でも定足数を維持するための十分な定足数投票数を提供するように qdiskd
を設定します。
重要
総括すると、導入のためのヒューリスティック及び他の
qdiskd
パラメーターはサイトの環境と特別な要件によって異なります。ヒューリスティック及び他の qdiskd
パラメーターの使用を理解するためには、qdisk(5) の man ページを参照してください。qdiskd
を理解してそれをサイトに使用する上でサポートが必要な場合は、Red Hat 認定サポート担当者にご連絡ください。
qdiskd
を使用する必要がある場合は、以下の注意事項を考慮に入れてください。
- クラスターノードの投票数
- Quorum Disk の使用時は、各クラスターノードは 1 つの投票数を持っている必要があります。
- CMAN メンバーシップのタイムアウト値
qdiskd
メンバーシップタイムアウト値は、CMAN メンバーシップタイムアウト値 (ノードがメンバーではなく停止していると CMAN が判定するまでのノードが応答しない時間) に基づいて自動的に設定されます。qdiskd
は、CMAN タイムアウト内で実行できることを確認するための追加の健全性チェックも行います。この値の再設定が必要な場合は、以下の点を考慮する必要があります。CMAN メンバーシップタイムアウト値は、少なくともqdiskd
メンバーシップタイムアウト値の 2 倍にすることをお勧めします。その理由は、quorum(定足数)デーモンは失敗したノードをそれ自身で検出しなければならず、その実行に CMAN よりもかなり長い時間がかかる場合があるためです。他のサイト特有の条件が CMAN とqdiskd
のメンバーシップタイムアウト値の関係に影響を与える場合があります。CMAN メンバーシップタイムアウト値の調節に関するサポートについては、Red Hat 認定サポート担当者にご連絡ください。- フェンシング
qdiskd
の使用時にフェンシングが確実に信頼できるようにするには、パワーフェンシングを使用します。qdiskd
で設定されていないクラスターには他のタイプのフェンシングが信頼できる場合もありますが、qdiskd
で設定されたクラスター用には信頼できません。- ノードの最大数
qdiskd
で設定されたクラスターは最大で 16 のノードをサポートします。この上限はスケーラビリティによるものです。つまり、ノード数を増加すると、共有 Quorum Disk デバイス上の同期 I/O 競合の量が増加します。- Quorum disk デバイス
- quorum disk デバイスは、クラスター内の全ノードによる並行読み取り/書き込みのアクセスを持つ共有ブロックデバイスです。ブロックデバイスの最小限サイズは 10 メガバイトです。
qdiskd
で使用できる共有ブロックデバイスの例としては、マルチポート SCSI RAID アレイ、ファイバーチャンネル RAID SAN、RAID 構成の iSCSI ターゲットがあります。Cluster Quorum Disk Utility のmkqdisk
を使用して quorum disk デバイスを作成することができます。このユーティリティの使用方法については、mkqdisk(8) の man ページをご覧ください。注記
JBOD を quorum disk として使用することは推奨されません。JBOD は信頼できるパフォーマンスを提供できないため、ノードがそれに迅速に書き込むことができない可能性があります。ノードが quorum disk デバイスに迅速に書き込むことができないと、ノードは誤ってクラスターから削除されます。