第4章 クラスターの作成と管理


本章ではクラスターの作成、クラスターコンポーネントの管理、クラスターの状態表示など Pacemaker で行うクラスターの基本的な管理について見ていきます。

4.1. クラスターの作成

クラスターを作成するため次のステップを行って行きます。
  1. クラスターの各ノードで pcsd を開始します。
  2. クラスターを設定するノードを認証します。
  3. クラスターノードの設定と同期を行います。
  4. クラスターノードでクラスターサービスを起動します。
次のセクションでは、上記の手順で使用するコマンドについて詳しく見ていきます。

4.1.1. pcsd デーモンの開始

以下のコマンドは pcsd サービスを起動し、システムの起動時に pcsd を有効にします。これらのコマンドはクラスターの各ノードで実行する必要があります。
# systemctl start pcsd.service
# systemctl enable pcsd.service

4.1.2. クラスターノードの認証

次のコマンドは、クラスター内のノード上の pcs デーモンに対して pcs を認証します。
  • すべてのノードで pcs 管理者のユーザー名は hacluster である必要があります。hacluster ユーザーのパスワードは、各ノードで同じにすることが推奨されます。
  • username または password を指定しないと、コマンドの実行時にノードごとにこれらのパラメーターの入力を求められます。
  • ノードを指定しないと、以前に pcs cluster setup コマンドで指定したノードの pcs が認証されます。
pcs cluster auth [node] [...] [-u username] [-p password]
たとえば、以下のコマンドは z1.example.comz2.example.com の両方で設定されるクラスター内の両方のノードに対して、z1.example.com のユーザー hacluster を認証します。このコマンドは、クラスターノードのユーザー hacluster のパスワードを要求します。
root@z1 ~]# pcs cluster auth z1.example.com z2.example.com
Username: hacluster
Password:
z1.example.com: Authorized
z2.example.com: Authorized
承認トークンは、~/ .pcs/tokens ファイル(または /var/lib/pcsd/tokens )に保存されます。

4.1.3. クラスターノードの設定と起動

次のコマンドでクラスター設定ファイルの設定、指定ノードに対する設定の同期を行います。
  • --start オプションを使用すると指定ノードでクラスターサービスが起動します。必要に応じて、別の pcs cluster start コマンドを使用してクラスターサービスを起動することもできます。
    pcs cluster setup --start コマンドを使用してクラスターを作成する場合、または pcs cluster start コマンドでクラスターサービスを開始する場合、クラスターが稼働するまでにわずかな遅延が生じる可能性があります。クラスターとその設定で後続のアクションを実行する前に、pcs cluster status コマンドを使用してクラスターが稼働していることを確認することが推奨されます。
  • --local オプションを指定すると、ローカルノードでのみ変更が実行されます。
pcs cluster setup [--start] [--local] --name cluster_ name node1 [node2] [...]
次のコマンドは指定ノード (複数指定可) でクラスターサービスを起動します。
  • --all オプションを使用するとすべてのノードでクラスターサービスを起動します。
  • ノードを指定しないとクラスターサービスはローカルのノードでしか起動されません。
pcs cluster start [--all] [node] [...]
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