6.4. リソースのメタオプション
リソースには、リソース固有のパラメーターの他に、リソースオプションを設定できます。このような追加オプションは、クラスターがリソースの動作を決定する際に使用されます。表6.3「リソースのメタオプション」 では、このようなオプションを説明します。
フィールド | デフォルト | 説明 |
---|---|---|
priority
| 0
| |
target-role
| Started
|
クラスターが維持するリソースのステータスです。使用できる値は以下のようになります。
* Stopped - リソースの強制停止
* Started - リソースの起動を許可 (多状態リソースの場合マスターには昇格されません)
|
is-managed
| true
| |
resource-stickiness
|
0
| |
requires
|
Calculated
|
リソースを起動できる条件を示します。
以下の条件を除き、デフォルトでは
フェンシング に設定されます。以下の値が使用できます。
*
nothing - クラスターは常にリソースを起動できます。
*
quorum - クラスターは、設定されているノードの過半数がアクティブな場合にのみこのリソースを起動できます。stonith-enabled が false の場合、またはリソースの standard が stonith の場合は、この値になります。
*
fencing -設定されているノードの過半数がアクティブで 障害が発生しているノードや不明なノードの電源がすべてオフになっている場合にのみ、クラスターはこのリソースを起動できます。
|
migration-threshold
| INFINITY
|
指定したリソースが任意のノードで失敗した回数です。この回数を超えると、そのノードには、このリソースのホストとして不適格とするマークが付けられます。値 0 は、この機能が無効になっていることを示します(ノードは不適格としてマークされません)。一方、クラスターは
INFINITY (デフォルト)が非常に大きいものの、有限数として扱います。このオプションは、失敗した操作に on-fail=restart (デフォルト)があり、クラスタープロパティー start-failure-is-fatal が false の場合にのみ有効になります。migration-threshold オプションの設定の詳細は、「障害発生によるリソースの移動」 を参照してください。start-failure-is-fatal オプションの詳細は、表12.1「クラスターのプロパティー」 を参照してください。
|
failure-timeout
| 0 (無効)
| migration-threshold オプションと併用すると、障害が発生しなかったかのように動作し、障害が発生したノードにリソースを戻せるまで待機する秒数を示します。時間ベースのアクションと同様に、cluster-recheck-interval クラスターパラメーターの値よりも頻繁にチェックされる保証はありません。failure-timeout オプションの詳細は、「障害発生によるリソースの移動」 を参照してください。
|
multiple-active
| stop_start
|
リソースが複数のノードでアクティブであることが検出された場合に、クラスターが実行する動作です。使用できる値は以下のようになります。
*
block - リソースを unmanaged としてマークします。
*
stop_only - アクティブなインスタンスをすべて停止してそのままにします。
*
stop_start - すべてのアクティブなインスタンスを停止し、1 つの場所のみでリソースを起動します。
|
リソースオプションのデフォルト値を変更する場合は、次のコマンドを使用します。
pcs resource defaults options
たとえば、次のコマンドは、
resource-stickiness
のデフォルト値を 100 にリセットします。
# pcs resource defaults resource-stickiness=100
pcs resource defaults で options パラメーターを省略すると、現在設定されているリソースオプションのデフォルト値のリストが表示されます。以下の例は、
resource-stickiness
のデフォルト値を 100 にリセットした後のこのコマンドの出力を示しています。
# pcs resource defaults
resource-stickiness:100
リソースのメタオプションにおけるデフォルト値のリセットの有無に関わらず、リソースを作成する際に、特定リソースのリソースオプションをデフォルト以外の値に設定できます。以下は、リソースのメタオプションの値を指定するときに使用する
pcs resource create
コマンドの形式です。
pcs resource create resource_id standard:provider:type|type [resource options] [meta meta_options...]
たとえば、以下のコマンドは
resource-stickiness
の値を 50 にしてリソースを作成します。
# pcs resource create VirtualIP ocf:heartbeat:IPaddr2 ip=192.168.0.120 cidr_netmask=24 meta resource-stickiness=50
また、次のコマンドを使用すると既存のリソース、グループ、クローン作成したリソース、マスターリソースなどのリソースメタオプションの値を作成することもできます。
pcs resource meta resource_id | group_id | clone_id | master_id meta_options
以下の例では、
dummy_resource
という名前の既存のリソースがあります。このコマンドは、failure-timeout
メタオプションを 20 秒に設定し、同じノードで 20 秒で再起動を試行できるようにします。
# pcs resource meta dummy_resource failure-timeout=20s
このコマンドを実行すると、
failure-timeout=20s
が設定されているか確認するためにリソースの値を表示できます。
# pcs resource show dummy_resource
Resource: dummy_resource (class=ocf provider=heartbeat type=Dummy)
Meta Attrs: failure-timeout=20s
Operations: start interval=0s timeout=20 (dummy_resource-start-timeout-20)
stop interval=0s timeout=20 (dummy_resource-stop-timeout-20)
monitor interval=10 timeout=20 (dummy_resource-monitor-interval-10)
リソースの clone メタオプションについては 「リソースのクローン」 を参照してください。リソースの master メタオプションについては 「多状態のリソース: 複数モードのリソース」 を参照してください。