5.9. フェンスレベルの設定
Pacemaker は、フェンストポロジーと呼ばれる機能を用いて、複数デバイスでのノードのフェンシングに対応します。トポロジーを実装するには、通常の方法で各デバイスを作成し、設定のフェンストポロジーセクションでフェンスレベルを 1 つ以上定義します。
- レベルは、1 から昇順で試行されていきます。
- デバイスに障害が発生すると、現在のレベルの処理が終了します。同レベルのデバイスには試行されず、次のレベルが試行されます。
- すべてのデバイスのフェンシングが正常に完了すると、そのレベルが継承され、他のレベルは試行されなくなります。
- いずれかのレベルで成功するか、すべてのレベルが試行され失敗すると、操作は終了します。
ノードにフェンスレベルを追加する場合は、次のコマンドを使用します。デバイスは、stonith ID をコンマで区切って指定します。stonith ID が、指定したレベルで試行されます。
pcs stonith level add level node devices
次のコマンドを使用すると現在設定されている全フェンスレベルが表示されます。
pcs stonith level
以下の例では、ノード
rh7-
2 にフェンスデバイスが my_ilo
と呼ばれる ilo フェンスデバイスと、my_apc
という apc フェンスデバイスが設定されています。このコマンドはフェンスレベルを設定し、デバイス my_ilo
に障害が発生し、ノードがフェンスできない場合に、Pacemaker がデバイス my_apc
の使用を試みるようにします。この例では、レベル設定後の pcs stonith level
コマンドの出力も示しています。
#pcs stonith level add 1 rh7-2 my_ilo
#pcs stonith level add 2 rh7-2 my_apc
#pcs stonith level
Node: rh7-2 Level 1 - my_ilo Level 2 - my_apc
次のコマンドは、指定したノードおよびデバイスのフェンスレベルを削除します。ノードやデバイスを指定しないと、指定したフェンスレベルがすべてのノードから削除されます。
pcs stonith level remove level [node_id] [stonith_id] ... [stonith_id]
以下のコマンドを使用すると、指定したノードや stonith id のフェンスレベルが削除されます。ノードや stonith id を指定しないと、すべてのフェンスレベルが削除されます。
pcs stonith level clear [node|stonith_id(s)]
複数の stonith ID を指定する場合はコンマで区切って指定します。空白は入力しないでください。以下に例を示します。
# pcs stonith level clear dev_a,dev_b
次のコマンドは、フェンスレベルで指定されたフェンスデバイスとノードがすべて存在することを確認します。
pcs stonith level verify
Red Hat Enterprise Linux 7.4 では、フェンストポロジーのノードは、ノード名に適用する正規表現と、ノードの属性 (およびその値) で指定できます。たとえば、以下のコマンドでは、ノード
node1
、node2
、およびnode3
を、フェンスデバイス apc1
およびapc2
を使用するように、ノードnode4
、node5
、およびnode6
を設定して、フェンスデバイス apc3
およびapc4
を使用します。
pcs stonith level add 1 "regexp%node[1-3]" apc1,apc2 pcs stonith level add 1 "regexp%node[4-6]" apc3,apc4
次のコマンドでは、ノード属性のマッチングを使用して、同じように設定します。
pcs node attribute node1 rack=1 pcs node attribute node2 rack=1 pcs node attribute node3 rack=1 pcs node attribute node4 rack=2 pcs node attribute node5 rack=2 pcs node attribute node6 rack=2 pcs stonith level add 1 attrib%rack=1 apc1,apc2 pcs stonith level add 1 attrib%rack=2 apc3,apc4