9.3. リソースとしての仮想ドメインの設定
pcs resource create コマンドを使用し、
VirtualDomain
をリソースタイプとして指定して、libvirt
仮想化フレームワークが管理する仮想ドメインをクラスターリソースとして設定できます。
仮想ドメインをリソースとして設定する場合は、以下の点を考慮してください。
- 仮想ドメインは、クラスターリソースとして設定する前に停止する必要があります。
- 仮想ドメインをクラスターリソースにすると、クラスターツールを使用しない限り、起動、停止、または移行を行うことができません。
- クラスターリソースとして設定した仮想ドメインを、ホストの起動時に起動するように設定することはできません。
- すべてのノードは、それぞれの管理される仮想ドメインの必要な設定ファイルおよびストレージデバイスにアクセスできる必要があります。
クラスターが仮想ドメイン内のサービスを管理できるようにする場合は、仮想ドメインをゲストノードとして設定できます。ゲストノードの設定は、「pacemaker_remote サービス」 を参照してください。
仮想ドメインの設定は、仮想化の導入および管理ガイドを参照してください。
表9.3「仮想ドメインリソースのリソースオプション」 は、
VirtualDomain
リソースに設定できるリソースオプションを説明します。
フィールド | デフォルト | 説明 |
---|---|---|
config
| |
(必須)この仮想ドメインの
libvirt 設定ファイルへの絶対パス。
|
hypervisor
|
システムに依存
|
接続先のハイパーバイザーの URI。virsh --quiet uri コマンドを実行すると、システムのデフォルト URI を確認できます。
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force_stop
| 0
|
停止時にドメインを常に強制的にシャットダウン (破棄) します。デフォルト動作では、正常なシャットダウンの試行に失敗した後でのみ、強制シャットダウンを実行します。これは、仮想ドメイン(または仮想化バックエンド)が正常なシャットダウンに対応していない場合にのみ
true に設定する必要があります。
|
migration_transport
|
システムに依存
|
移行中にリモートハイパーバイザーに接続するのに使用されるトランスポート。このパラメーターを省略すると、リソースは
libvirt のデフォルトトランスポートを使用して、リモートハイパーバイザーに接続します。
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migration_network_suffix
| |
専用の移行ネットワークを使用します。移行 URI は、このパラメーターの値をノード名の末尾に追加することにより設定されます。ノード名が完全修飾ドメイン名 (FQDN) の場合は、FQDN の最初のピリオド (.) の直前に接尾辞を挿入します。この設定されたホスト名がローカルで解決可能であり、関連する IP アドレスが優先ネットワークを介して到達可能であることを確認してください。
|
monitor_scripts
| |
仮想ドメイン内でサービスの監視を追加で実行する場合は、監視するスクリプトのリストとともに、このパラメーターを追加します。注記: 監視スクリプトを使用する場合、
start および migrate_from の操作は、すべての監視スクリプトが正常に完了した場合にのみ完了します。この遅延に対応できるように、この操作のタイムアウトを必ず設定してください。
|
autoset_utilization_cpu
| true
| true に設定すると、エージェントは virsh から domainU のvCPU 数を検出し、モニターの実行時にリソースの CPU 使用率に置きます。
|
autoset_utilization_hv_memory
| true
|
true に設定すると、エージェントは
virsh から Max memory 数を検出し、モニターの実行時にソースの hv_memory 使用率にします。
|
migrateport
|
ランダムハイポート
|
このポートは
qemu の移行 URI で使用されます。これを設定しないと、ポートにはランダムハイポートが使用されます。
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snapshot
| |
仮想マシンイメージが保存されるスナップショットディレクトリーへのパス。このパラメーターが設定されている場合、仮想マシンの RAM 状態は、停止時にスナップショットディレクトリーのファイルに保存されます。起動時にドメインのステータスファイルが存在すると、ドメインは、最後に停止する直前の状態に復元されます。このオプションは、
force_stop オプションと互換性がありません。
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VirtualDomain
リソースオプションに加えて、allow-migrate
メタデータオプションを設定して、リソースの別のノードへのライブマイグレーションを可能にします。このオプションを true
に設定すると、状態を失うことなくリソースを移行できます。このオプションがデフォルトの状態である false
に設定されている場合、仮想ドメインは最初のノードでシャットダウンされ、2 番目のノードから別のノードに移行するときに 2 番目のノードで再起動されます。
以下の手順に従って
VirtualDomain
リソースを作成します。
- 仮想マシンを管理するために
VirtualDomain
リソースエージェントを作成する場合、Pacemaker では、ディスクのファイルに仮想マシンの xml 設定ファイルをダンプする必要があります。たとえば、guest1
という名前の仮想マシンを作成した場合は、ホストのどこかのファイルに xml をダンプします。任意のファイル名を使用できますが、この例では/etc/pacemaker/guest1.xml
を使用します。#
virsh dumpxml guest1 > /etc/pacemaker/guest1.xml
- ゲストノードが実行している場合はシャットダウンします。Pacemaker は、クラスターで設定されているノードを起動します。
- pcs resource create コマンドを使用して、
VirtualDoman
リソースを設定します。たとえば、以下のコマンドは、VM
という名前のVirtualDomain
リソースを設定します。allow-migrate
オプションはtrue
に設定されているため、pcs resource move VM nodeX
コマンドはライブ移行として実行されます。# pcs resource create VM VirtualDomain config=.../vm.xml \ migration_transport=ssh meta allow-migrate=true