7.15. 仮想化
AMD SEV-SNP が有効な仮想マシンでローカル kdump が失敗しなくなりました
この更新前は、Secure Nested Paging (SNP) 機能が有効な AMD Secure Encrypted Virtualization (SEV) を使用する RHEL 10 仮想マシン (VM) で、ローカル kdump が失敗していました。その結果、AMD SEV-SNP が有効な仮想マシンでは、カーネルクラッシュダンプを取得できませんでした。
このリリースでは、基盤となるコードが修正されました。その結果、AMD SEV-SNP が有効な仮想マシンでローカル kdump が失敗しなくなりました。
Jira:RHEL-10019[1]
--migrate-disks-detect-zeroes オプションが仮想マシン移行で失敗しなくなりました
この更新前は、RHEL 10 で仮想マシン (VM) を移行するときに、--migrate-disks-detect-zeroes オプションが機能せず、指定されたディスクに対してゼロブロック検出が実行されないまま、移行が続行されることがありました。この問題は QEMU のバグによって発生していました。そのバグとは、ミラーリングジョブがパンチホール操作に依存していたために、宛先ファイルがスパースファイルになるというものでした。
このリリースでは、QEMU が修正されました。これにより、すべてゼロであると宛先システムが読み取った場合、かつイメージをさらにスパース化するための追加処理が行われていない場合に、スパース性が維持されるようになりました。その結果、仮想マシンの移行で --migrate-disks-detect-zeroes オプションが期待どおりに機能するようになりました。
不整合な破棄 I/O 要求を送信する仮想マシンが、discard_granularity が設定されていない場合でも一時停止しなくなりました
この更新前は、ホストカーネルが不整合な破棄 I/O 要求を失敗させていました。QEMU はそのような失敗に対応するために、werror= policy パラメーターを使用していました。werror が stop: werror=stop に設定されている場合、破棄要求が失敗し、仮想マシン (VM) が一時停止していました。その結果、この状況を修正して仮想マシンを再開することができませんでした。
このリリースでは、QEMU が更新され、不整合な破棄 I/O 要求をサイレントに無視するようになりました。これにより、正しい discard_granularity 値を持たないゲストが一時停止しなくなりました。その結果、discard_granularity が設定されていない場合でも、破棄 I/O 要求を送信する仮想マシンが一時停止しなくなりました。ただし、不整合が発生した際に、破棄要求を無視するのではなく、破棄要求が本来の効果を発揮できるように、discard_granularity の値を設定することを推奨します。
Jira:RHEL-86032[1]
開いているファイルが大量にある共有ディレクトリーにアクセスしても virtiofsd がクラッシュしなくなりました
この更新前は、開いているファイルが大量にある virtiofs 共有ディレクトリーに仮想マシン (VM) からアクセスすると、Too many open files エラーが発生して操作が失敗し、virtiofsd プロセスがクラッシュすることがありました。
このリリースでは、基盤となるコードが修正されました。その結果、仮想マシンから多数のファイルが開いている virtiofs 共有ディレクトリーにアクセスすると、仮想マシンでエラーが発生する可能性はありますが、virtiofsd プロセスはクラッシュしなくなり、仮想マシンで virtiofs 共有ディレクトリーにアクセスできる状態が維持されるようになりました。
Jira:RHEL-87161[1]
ESXi 上の RHEL 9 ゲストをカスタマイズしてもネットワークの問題が発生しなくなりました
以前は、VMware ESXi ハイパーバイザー上の RHEL 9 ゲストオペレーティングシステムのカスタマイズが、NetworkManager キーファイルに対して正しく機能しませんでした。その結果、ゲストがそのようなキーファイルを使用している場合、IP アドレスやゲートウェイなどのネットワーク設定が正しいものになりませんでした。この問題は修正され、上記の状況で NetworkManager キーファイルによってネットワークの問題が発生することはなくなりました。
Jira:RHELPLAN-106947[1]
仮想マシンに RHEL をインストールするための予想されるシステムディスクをインストールプログラムが表示するようになる
以前は、virtio-scsi デバイスを使用して仮想マシンに RHEL をインストールすると、device-mapper-multipath のバグにより、これらのデバイスがインストールプログラムに表示されない可能性がありました。その結果、インストール時に、シリアルセットを持つデバイスとシリアルセットを持たないデバイスがある場合、シリアルセットを持つすべてのデバイスを multipath コマンドが要求していました。このため、仮想マシンに RHEL をインストールするために必要なシステムディスクをインストールプログラムが検出できませんでした。
この更新により、multipath はシリアル番号のないデバイスを World Wide Identifier (WWID) がないものとして正しく設定し、それらを無視するようになりました。インストール時に、multipath は multipathd がマルチパスデバイスのバインドに使用するデバイスのみを要求し、インストールプログラムは仮想マシンに RHEL をインストールするための予想されるシステムディスクを表示します。
Jira:RHELPLAN-66975[1]
AMD EPYC CPU を搭載したホストで v2v 変換を行った後、Windows ゲストの起動がより安定する
virt-v2v ユーティリティーを使用して、Windows 11 または Windows Server 2022 をゲスト OS として使用する仮想マシン (VM) を変換した後、以前は仮想マシンの起動に失敗していました。これは、AMD EPYC シリーズ CPU を使用するホストで発生していました。現在、基礎となるコードが修正され、仮想マシンは説明した状況で期待どおりに起動します。
Jira:RHELPLAN-147926[1]
nodedev-dumpxml が、特定の仲介デバイスの属性を正しくリストする
この更新より前は、nodedev-dumpxml ユーティリティーは、nodedev-create コマンドを使用して作成された仲介デバイスの属性を正しくリストしませんでした。この問題は修正され、nodedev-dumpxml が該当する仲介デバイスの属性を適切に表示するようになりました。
Jira:RHELPLAN-139536[1]
virtqemud または libvirtd を再起動した後、virtiofs デバイスをアタッチできるようになる
以前は、virtqemud サービスまたは libvirtd サービスを再起動すると、virtiofs ストレージデバイスをホスト上の仮想マシン (VM) に接続できなくなりました。このバグは修正されており、説明されているシナリオで期待どおりに virtiofs デバイスをアタッチできるようになりました。
Jira:RHELPLAN-119912[1]
IBM Z 上の virtio-gpu で blob リソースが正しく動作するようになる
以前は、virtio-gpu デバイスは IBM Z システム上の blob メモリーリソースと互換性がありませんでした。その結果、IBM Z ホスト上で virtio-gpu を使用して仮想マシン (VM) を設定し、blob リソースを使用すると、仮想マシンにグラフィカル出力がありませんでした。
この更新により、virtio デバイスにオプションの blob 属性が追加されました。blob を on に設定すると、デバイス内の blob リソースが使用できるようになります。これにより、virtio-gpu デバイスで説明した問題が防止され、ゲストとホスト間のピクセルデータのコピーが削減または排除されるため、ディスプレイパスも高速化されます。blob リソースのサポートには QEMU バージョン 6.1 以降が必要であることに注意してください。
virtio-win ドライバーを再インストールしても、ゲストの DNS 設定がリセットされなくなる
以前、Windows ゲストオペレーティングシステムを使用する仮想マシンでは、ネットワークインターフェイスカード (NIC) の virtio-win ドライバーを再インストールまたはアップグレードすると、ゲストの DNS 設定がリセットされていました。その結果、Windows ゲストのネットワーク接続が失われる場合がありました。
この更新により、上記の問題が修正されました。したがって、virtio-win の最新バージョンを再インストールまたはアップグレードすると、問題は発生しなくなります。ただし、virtio-win の以前のバージョンからアップグレードしても問題は解決されず、Windows ゲストで DNS リセットが引き続き発生する可能性があることに注意してください。
Jira:RHEL-1860[1]
VNC ビューアーが、ramfb のライブマイグレーション後に仮想マシンディスプレイを正しく初期化する
この更新により、仮想マシン (VM) のプライマリーディスプレイとして設定できる ramfb フレームバッファーデバイスが強化されます。以前は、ramfb は移行できなかったため、ramfb を使用する仮想マシンではライブマイグレーション後に空白の画面が表示されていました。現在、ramfb は、ライブマイグレーションと互換性があります。その結果、移行が完了すると仮想マシンデスクトップが表示されます。